2017年:北海道大学 工学部情報 エレクトロニクス学科

自己紹介

名前:江藤 亘平
出身高専:釧路高専 電子工学科
学科順位:5→20→38→13 (平均40人中,4年まで)
受験年:2017
受験大学(受験科目):北海道大学工学部情報エレクトロニクス学科
併願大学:苫小牧高専専攻科 釧路高専専攻科
部活や資格:アーチェリー部・科学ボランティア部
TwitterID:xso960671

なぜ編入をしようと思ったか

3年までは「編入勉強してるって言ってれば褒められるから」,4年後期からは「勉強が楽しいから」「自宅から通って親孝行したいから」「違う自分に会いたいから」.

3年までの志望動機は自分が高専大会直前にアーチェリー部の部長を一方的に辞めた現実から逃げるために無理やり決めたものである。4年後期からは編入勉強を通じてに本気で取り組む大事さを学んだため、そのような目標になった。

科目ごとの勉強方法

[数学]

北大数学の特徴
北大数学の基本は原理から導き出す問題は少なく、教科書その他の基本的な問題からの出題が多い。また、問題の難易度も高くなく、線形代数であれば回転行列による線形変換、逆行列を求める程度で、表現行列、基底ベクトルを求めるといった問題は出たことがない。

また、問題数に対して試験時間が長いことを特徴のひとつ。具体的には物理・化学が60分であるが、数学は90分ある。多くのコースで数学の配点は高いためゆっくり時間をかけて解くことができる。

しかし,これらの特徴は今後役に立たなくなるかもしれない.まだ,数学にはH30年度編入で級数が出題されたぐらいで範囲が変わった程度であるが,物理や化学では範囲に加え,難易度,問題傾向が変わった.

数学のやったこと
4年までは学校の数学のみをやり,4年からは過去問を軸に問題集等はその補助として解いた.また,解き方を少し工夫して,過去問をやって丸付けをして,できなかった所を参考書で補填してさらにもう一回,ダメならもう一回,などした.過去問は合わせて60年分を平均3周やった.

また,4年以降は選択科目の数学Ⅱで知り合った編入仲間と分からない問題を聞きあったり,休日に学校に集まって勉強会をしたりした.

数学のやったことの利点と問題点
過去問を軸としたため,本番での基本的な問題のミスは一つもなかった.そのおかげで例年出題されることのなかった級数が出来なくてもなんとかできた.

問題点としては,例年出なかった級数が解けなかった.つまり,問題範囲自体への変更に弱い点である.

数学のオススメ
3年までは学校の数学を受けるだけでいいと思う.演習も高専の数学1,2,3でOK.但し,どれぐらい分かっているかは定期テストの点数では反映してくれないので注意.定期テストは問題を解けるかどうか,であって決して理解しているかの試験ではない.オススメなのは定理の証明を何も見ないでできるか.教科書さえあればできる.

4年以降は逆に学校の数学をやってはいけない.テストは赤点にならない程度に今,自分の理解が足りない単元の勉強をしよう.無論,内職はしよう.

前期は教科書に載ってる定義から定理を導き出して,参考書で問題を解こう.参考書は自分が過去問人間であったから具体的な本はオススメできないが,最初は簡単すぎるぐらいの参考書を選ぼう.難しすぎると挫折してしまう.実際私は最初に徹底演習に手を出して挫折した.教科書の章末問題や高専の数学のA問題程度.

後期は過去問演習をしていこう.量はあるだけ,範囲は先述した千葉,北大,筑波(応理),和歌山,京工繊,九大がオススメ.重複している単元が多い.

それぞれ,千葉はグラフを書かせる問題が頻出し,時折,数学の定番から面白みなく外れるようなことをする.自分は好きじゃない.

北大は自分一人で解いたときには「解かせるための問題だな」ぐらいにしか思っていなかったが,後で編入仲間から話を聞くとかなり面白いことを面白くないように見せかけて出題していた.分かっている人にはニヤッとさせられる問題が多い.

筑波(応理)は簡単な問題と難しい問題が混在しており緩急をつけた問題構成で面白い.定義に忠実に,冷静に解ける力が身について面白かった.

和歌山は,問題の難易度が自分にとって極めてちょうどよく,解法を染み込ませるのを楽にできた,恩師のような存在.但し,公式の解答は「あっそこ省略します????」みたいなのが多く丸付けに少し時間がかかるのが難点.

京工繊は一味捻った問題が多い.単調な問題演習に飽きてしまった時にやるとスパイスがかかって編入勉強にやる気がでる.感謝してる.

こんな風に大学の出す問題の特色を探ってみると,出題者の意図を自然と探すようになって,解答も試験向きに変わっていくのでオススメである.

[物理]

北大物理の特徴
H30以前の北大物理は力学(解析的な問題を除く質点,剛体まで),熱力学(エントロピーまで),波(高校範囲),電磁気学(ガウスの法則,ローレンツ力など)をやれば良く,問題の難易度,量,全て大したものではなかったが,今年度より一変.力学は慣性系,波は大学範囲,電磁気学は試料内部の電場問題となった.熱力学のみ変わらなかった.

また、問題数に対して試験時間が60分と短い.多くのコースで物理の配点は高いため戦略的に問題を解く必要がある.

物理のやったこと
4年までは数学の知識が足りず,本格的な勉強はしなかったが,編入用の教科書を読むのと波の勉強をした.波は高校範囲である(と思っていた)からした.教科書は小出昭一郎の物理学,波は大学入試 漆原晃の 物理I・II[波動・原子編]が面白いほどわかる本を使った.

4年からは過去問を軸に問題集,参考書を補助として解いた.問題集は力学は後藤憲一らの基礎 物理学演習(黄色が難しすぎる人はこちらから),熱力学は澤柳先生謹製の熱力プリント.参考書は力学はマセマ,電磁気は小塚洋司の電気磁気学その物理像と詳論,熱力学はマセマを使った.また,4年以降は選択科目の数学Ⅱで知り合った編入仲間と分からない問題を聞きあったり,休日に学校に集まって勉強会をしたりした.過去問は合わせて60年分を平均3周やった.

物理のやったことの利点と問題点
過去問を軸にしたため,初見の問題でも必ず取れるところはあるはずだと信念を持って問題に取り組めた.おかげで合格ギリギリではあるが点は取れた.また,新しく教科書を買った点も自分の物理の理解度がまだまだ足りなかったことが分かったので良かった.

問題点としては,出題範囲,難易度,量が変わりつつあった北大物理に対応しきれなかった.H29年の時点で流体力学が出題された時点で何か変えてくると思えれば良かった.

物理のオススメ
まず,編入を決めた時点で信頼できる教科書を買おう.そして,力学,電磁気学,波,熱力学の順番でやろう.電磁気学はできれば力学と並行してやってほしい.力学は物理学の中でも最重要と言っていいぐらい基本原理が詰まっており,力学ができれば波も熱力もできる.また,電磁気学は普段意識することのない「場の理論」であり,難しいので「並行して」という言葉を使った.

また,物理は学年にかかわらず決めたその日からやろう.なぜなら,物理は付け焼き刃で得た知識であっても,日常を見渡してそれに適用すれば,すぐに応用が利いて復習できるからである.

特に,その分野の基礎方程式として扱われる式を用いると様々なことが手軽にわかる.例えば,高速運転中の特急列車内で優雅に車内販売を楽しむことができるのは,運動方程式の加速度が速度の時間微分で表せるからであったり,入浴中,湯船に浸かっている最中に自分のことをもしかして足が長いのでは・・・!?と錯覚してしまうのは,波の屈折のためであったりなど.

また,受験用の勉強は過去問半分問題集半分ぐらいの配分でやった方がいいと思う.

[化学]

北大化学の特徴
北大化学は多くのコースで配点が非常に低い(参考までに電気電子工学コースでは数学物理がそれぞれ125点であるのに対し化学は50点).しかし,内容は教科書レベルなので,数学物理の大門一個分ぐらいのミスはカバーできる.従って,これもノー勉で臨むことは避けたい.

化学のやったこと
3年から化学勉強会にて週2回,近藤先生の指導の下,編入仲間と勉強した.具体的には先生が用意してくれた基礎的な確認事項が載ったプリントや過去問演習を行った.4年以降も変わらず週2でやり,化学勉強会以外では化学の勉強はしなかった.

化学のやったことの利点と問題点
北大化学の配点の低さを考えると,週2回この日だけは化学やる!としたのは正解だった.おかげで,数学物理の変更も過去問演習のみではあったが量をやっていたため抑えることができた.

問題点としては,始める時期が早すぎた.当初の計画としては,4年までに北大化学を終える予定だったが,半年もすると最初の方にやった内容が抜けてしまう.有機化学は前回習ったこととの関連も多いのだが無機化学は単純暗記が鬼のように多い.したがって忘れないようにする努力を数学物理の勉強と並行しながらというのが厳しい.

化学のオススメ
無機,有機ともに4年後期から始めよう.教科書は普通高校の進学校が使う教科書でOK.私は高等学校理科用 文部科学省検定済教科書 化学 東京書籍(化学 301)を使った.具体的な方法はグループでやるでも個人でもやるにしてもあまり変わらないと思う.数学物理の勉強法の練習と考えて勉強すればいいだろう.

[英語]

北大TOEICの特徴
TOEICは全コース共通で100点満点で要項には「600点を80点とする」とあるが,先輩情報によると700点で100点満点らしい.よって北大編入を目指す人は700点を目標にしよう.また,スコアシートの有効期限が2年間なので,低学年の時に取ってしまおう.そうすれば受験直前の大事な期間を数学物理などに集中してつぎ込める.

また,意外にもIPのスコアシートが有効である.これは,試験の雰囲気がムンムンな公開テストが嫌いな受験生には地味にありがたい.

TOEICのやったこと
2年の春休みから5年前期まで一貫して数学物理の休憩としてやった.問題は濱崎先生のとにかく600点突破をやってから公式問題集P3-6をやった,単語は神崎先生の出る順ボキャブラリー990をやってから出る単特急金のフレーズをやった.

やったことの利点と問題点
完全に失敗した.やる期間が長すぎた.英語の学習ならばこれでも良いのだろうけど,TOEICは英語力ではなくTOEIC力を図る試験である.短期間にTOEIC力の育成のみをして一気にとってしまうのが正解だった.おかげでTOEICの受験料だけでPS4が買えてしまうぐらい無駄に受けてしまった.スコアも590で提出した.

TOEICのオススメ
理想は3年生の8月から11月の間に700点を取ってしまうことである.この期間はまだ,数学物理も深く勉強できないので時間がある.4年生以降では数学物理の勉強もしなければならないが,3か月TOEICに専念する期間を設けてスコアを取ろう.受験生の心境としてはこんなTOEICばかりやってて大丈夫かな,と思うところだと思うが,大丈夫.本気でやれば遅れはいつでも取り戻せる.しかし,願書の関連もあるので遅くても4年生の3月までに取ろう.

[専門科目]
専攻科のみ専門科目があったが、あまり対策はしなかった。
試験2週間前とかに本科の過去問を洗いざらいやった程度。

苫小牧はそれで通じなかったが、後で苫小牧高専の人に聞くと、学科全体が「専攻科いる・・・・?」となっているところもあり、内部受験でさえ勧めていない学科があるぐらいなので、外部はなおのこと受かりにくいと思う。

試験当日

[試験内容]
数学は例年通り平易な内容だったが複素数が出題されず代わりに初めて級数の収束発散が出題された。級数を全く勉強していなかったため大問一つを落としてしまった。他はほぼ正解していたため8割ぐらい。

物理は4つの大問中3つが今までの傾向とはかけ離れたものが出題された。

まず一問目はポアソンの関係式を導出する問題で唯一変わらなかった。

二問目は力学の衝突問題で静止座標系と慣性座標系とを使い分けるかが焦点となった。今までの北大力学は現実的な問題しか出なかった.具体的には斜面で球を転がしてみたりばねが3つぐらい繋がってみたり.しかし今回は解析的な問題が出てきた.かっっなり驚いた.

三問目は電磁気学で試料中の電場を求める問題。こちらも今までは回路問題に付随するような形で電場、磁場を求める問題が多かったので電場磁場がメインの問題が出てきてかなりビックリした。編入対策としてはノーマークだったが専門の電子材料の科目ですでに習っていたため何とかなった。ありがとう。○口先生。

四問目は波動。与えられた空気の密度変化の式を用いて騒音の波長を求めるという問題。途中までは波動というより数学だったので解けたが三問目以降は三角関数の引数を条件に従って零と等号を取るという発想にならず解けなかった。「北大波動は高校範囲でOK」というのは終わったのかもしれない。昨年流体力学が出題されたり来年推薦入試の期日が変更されたりと北大は編入試験に変更を加えているようだ。今までの傾向を踏まえた上で他分野も手広く勉強したほうがいいだろう。出来映えとしては6割ぐらい。

物理ほどではないが化学にも変更があった。今までは無機と有機の割合が4と6であったのに今回になって逆転。6の4になった。また、変更に伴って有機の内容が変わった。前までは有機で名前から構造式を書き出す問題が20問ほどあり得点源となっていたが4問に減少。思ったよりもかなり取れなかった。具体的な構成は一問目に電池の問題、二問目に系統分離の問題、三問目に周期の問題、四問目に構造式を書き出すのと性質に当てはまる化合物を選ぶ問題、五問目は収率とタンパク質の問題だった。半分も取れなかったと思う。

[面接]
面接試験は1日目に試験を受けた会場からコースごとに移動して試験を受けた。自分が受験した電気電子工学コースは情報科学研究科棟にて面接を受けた。面接は1対3。質問内容は

• 卒研何をしているか?
• 志望動機は?
• 編入勉強でなにをしたか?
• 編入勉強をどれぐらいしたか?
• 英語は得意か?T
• TOEICはどんなことをやったか?
• 手応えはどうだったか?
• 通学するのか?

ぐらいだった気がする.後いくつか質問があった気がするが,終始和やかなムードで,雑談に近いことも話した.
募集要項には200点とかなり高い配点となっているが,一般的な面接対策で十分対応可能である.

後輩に伝えたいこと

今後、編入対策をしようと思っている君へ。編入とは進路である。従って、最後は自分が将来何をしたいかで編入試験を受ける大学を決めるので、自分についてとてもとても深いところまで探っていくことになる。

この作業はかなり辛い。どうつらいのかはやれば分かる、としか言えない。今、自分が持っている語彙ではあまりにも小さく表現されてしまう。この文も何度も書き直した。

ただ、どうしても言いたいのは編入勉強は辛い。やっぱり辛い。ただ、必死に、貪欲に、私利私欲を捨て、編入対策を進めれば、「自分とは何者か」という究極の問の答えが手に入る。

漠然と今までを生きてきた、何となくで高専に来た、何かに本気になったことがないような人は是非、編入勉強に挑戦して自分が何者かその目で見てほしい。

オススメの参考書

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是非見て欲しい。