編入体験談

2026年:東北大学 工学部 建築・社会基盤工学科 土木系

自己紹介

名前:フィボナッチ
出身高専:蟹高専
学科順位:1年次:7/43 2年次:10/43 3年次:1/42 4年次:1/41
受験年:2025年
受験大学(受験科目):東北大学 工学部 建築・社会基盤工学科 土木系
併願大学:北海道大学(未受験)、山梨大学(不合格)、長岡技術大学(未受験)
部活や資格:バドミントン部、水質関係第1種公害防止管理者、実用数学技能検定準1級、実用英語技能検定2級、TOEIC760点
Email:aoi.1135813@gmail.com

なぜ編入をしようと思ったか

・高専でせっかく学んだことを深めきれないのはもったいないと思った
・大学生活をしてみたかったから
・学生のうちにしかできないことをもっとやりたかった
・院卒で就職したいと思っていた

学年ごとの勉強内容

1~3年

1~2年

1年生の頃から漠然と進学したいとは思っていたものの、特にこれと言って志望校を決めたり明確な目標は持っていませんでした。部活に行ったり、友達と遊んだり、普通に高専生活を楽しんでいました。テスト期間だけはそれなりに頑張って、なるべく高い成績を維持していました。暇な時間でなんとなく英検や数検も受けました。

3年

進学に向けて志望校を考えなきゃなと思い、いろいろな大学について調べていました。勉強にも力を入れ初めて、3年前期からは席次1位を維持し続けていました。とはいえ普通に遊んだり、バイトしたりもしていました。TOEICが多くの学校の編入で必要なことはこの時点で分かっていたのですが、英語が苦手だったのでなかなか腰が上がらず、やっとの思いで3年最後の春休みに受験しました。結果は585点で、これは4年で頑張って点数を上げないとまずいと思いました。

4年前期

このころから、将来は水環境系の分野で研究や仕事がしたいなとという意思が固まってきたので、それをもとに第一志望の大学を東北大学に決めました。私はあまりアピールするようなガクチカが無かったので、6月に数検準一級、夏休みに公害防止管理者という国家資格を取得しました。資格以外の課外活動も必要だと感じ、学校が企画している水環境系のプロジェクトに参加し、実際の水道局で水質検査を体験しました。また、東北大学には高専生の実習制度があったので、私の学校の先生を通じて東北大学の先生に許可をもらい、制度を利用して、興味のあった研究室に5日間見学に行きました。

それから、学校の成績評価の基準がこの年に変更され厳しくなったので、より一層学校の勉強にも力を入れていました。東北大学の推薦基準は4年次のクラス席次が5%以内であることだったのでかなり大変でした。

4年後期

東北大学の推薦選抜ではTOEICは必要なかったのですが、落ちることも想定したら絶対に必要でした。前期は資格に取り組んだり何かと理由をつけて避けていましたが、後期は絶対に取り組まなければと思っていました。しかし思っていたよりも学校の勉強が大変で、本気で取り組めたのは春休みからでした。流石に遅すぎるのではないか、今回の試験で良い点数が取れなかったらどうしようと思い、かなり焦っていました。私は留学経験もなかったので、もっと早く取組むべきでした。

TOEICの勉強に気が向かないときは編入数学の勉強をしており、徹底研究は春休みが終わる頃には1周は終えていました。

また、春休み頃から編入の募集要項が公表されていくので、逐次確認して出願忘れ・被りがないようにスケジュール管理も行っていました。

5年前期

4月

主に編入数学と、専門教科の三力(構造力学、水理学、土質力学)の勉強をしていました。数学と専門4:6ぐらいの割合で進めていました。このころから過去問も集めて勉強に活用していました。

5月

6月の東北大学の推薦試験に向けて、口頭試問と面接の対策をしていました。口頭試問は「土木工学に関連する科目等に関する基礎知識」と募集要項に掲載されており、曖昧な記述で何が出るか全く読めなかったので、学校で習ったほとんどの専門教科について復習し、用語や理論の説明は自分の言葉でできるようにしていました。面接の練習も何度も行い、学科の先生に5回(毎回違う先生)、先輩や友達に5回の計10回行い、口頭試問の予想などもやってもらいました。この頃は編入数学の勉強はほとんどせず、口頭試問と面接7割、専門教科の勉強3割の比率で進めていました。

6月

7日に東北大学の試験が行われ、17日に結果発表でした。合格したのでこの時点で受験が終了しました。

試験当日

試験内容

当日の流れ

〜8:20 一階ロビーで待機(受付開始まで)
8:20〜8:50 学科ごとに順番に受付。受付終了後、順次大会議室へ移動。
8:50〜8:55 全員が揃った時点で、代表教員より激励のスピーチ
8:55〜 学科ごとに別の部屋(おそらく学科の建物)へ移動。さらに、土木系・建築系に分かれて面接へ。今年の建築・社会基盤工学科では土木系が6人、建築系が1人でした。

面接待機室の様子とスケジュール

待機室のホワイトボードに、A4用紙で面接の時間割が掲示されていました。

1人あたり20分ずつで、9:30に1人目の面接が開始。
3名終了後に30分程度の休憩(記憶曖昧)。その後、残り3名の面接が同様に進行。

面接順はおそらく50音順?(確証なし)

面接の5分前になったら、荷物を持って隣室の面接待機椅子へ移動。

面接終了後は、荷物を持ったまま待機室には戻らず、直接帰宅するよう指示された。

試験会場に入ったらスマホやiPadは使えないので、待機時間用に何かしら面接対策や口頭試問対策のノート・教科書を少しだけ用意しておくことをお勧めします。

面接

面接は、通常の面接の後にそのまま口頭試問を行う流れでした。

面接内容

①希望コース(土木関係3コース)の確認
②志望理由
③高専で取り組んだこと・頑張ったこと
④高専で取り組んでいる研究内容について
⑤将来の進路希望
⑥インターン・留学の経験の有無について
⑦学外や学会での発表経験の有無について
⑧勉強以外の課外活動等で頑張ったこと
⑨長所と短所

口頭試問

土木関係3コースから各1問出題されました

① 社会基盤デザインコース
静定構造物と不静定構造物の説明、および例の提示
 例)単純支持梁(静定)、両端固定梁(不静定)

② 都市システム計画コース
「都市計画」か「プロジェクト評価手法」から選択(→都市計画を選択)
スプロール現象の説明、それによる課題、および対策について

③ 水環境デザインコース
BODとCODの違いについての説明
それぞれがどのような場面で用いられるかも追加で問われました

残り時間での面接

口頭試問終了後、残りの時間で代表の先生から「他の先生方から何か質問ありますか?」という形式で追加質問がありました。

口頭試問に関して:「よく答えられていたが、対策などしていたか?、今考えて話したのか」
成績に関して:「1〜2年次の席次も悪くないが、3年次から特に成績が向上している理由は?」
英語学習について:「どのように勉強してきたか?」

感想・所感

9:30以前の待機時間や移動中に、他の受験生と少し会話する時間があり、適度に緊張を緩和できました。

面接は、1問に対して1〜2問程度の深掘り質問がある形式でした。しかし、そこまで難しい内容は問われなかったため、大きく動揺せずに対応できました。

面接官は皆、自分の目をしっかり見て話を聞いてくれたため、緊張しながらも、意思をしっかり伝えることができたと感じました。

後輩に伝えたいこと

①資格を取ったり学校の企画やプロジェクトに積極的に参加する

後々ガクチカを話すときかなり助かります。私は4年生のときに焦っていろいろ取り組んで大変でした。どこの高専もいろいろやっていると思うので、自分の興味のない分野だったとしても、積極的に参加してみてください。

②学校の勉強もそれなりに頑張っておく

高専の大学編入といえど、倍率はそれなりにあります。そんなに甘くはありません。推薦入試を実施している大学を目指すのであれば、推薦を貰えるように(大学指定の基準を満たせるように)努力することを強くお勧めします。たとえ推薦入試を実施しない大学を受けることになったとしても、選抜時にほぼ確実に成績は評価されるので、そこで有利になれるのはかなり大きいので、1年生から努力しておいて損は無いです。

③TOEICは早めに受験する

私は結果的にTOEICの結果は使いませんでしたが、多くの場合必要になります。
早め(4年夏休みまでくらい)に取っておくことをおすすめします。あまり勉強しなかった私が言うのもなんですが、低学年の頃から継続的に勉強しておくことで、かなりの高得点を目指せると思います。TOEICが早い段階で満足できれば、後々編入の勉強に集中できるので心理的負担もかなり減らせます。

④大学(研究室)の見学に行く

もし親が経済的に援助してくれるなら、4年の夏休みに自分の興味のある大学(研究室)に見学に行くことをおすすめします。面接でもアピールになりますし、実際の様子を見に行って分かる情報もたくさんああります。東北大学は公式に実習制度がありましたが、他の大学でも直接研究室の教授に連絡すれば、受け入れてくれると思います。難しければ学校の先生に相談しましょう。

⑤面接練習はなるべく多く

面接練習はなるべくたくさんやりましょう。「もう十分だろう」と思ってから、その倍やってください。たくさん練習を重ねるうちに、うまく答えられない質問を発見できたり、突っ込まれそうな質問に気づくことができます。一度失敗しておけば、本番での失敗を防ぐことができます。面接練習をする際は、なるべく毎回人を変えて練習すること、先生等の大人と緊張感を持ってやることが大切です。面接の想定質問集なども作っていたので、東北大に限らず、編入を考えている人は遠慮なく連絡ください。

東北大について

倍率についてですが、合否の発表日から1週間程度、工学部のホームページに各学科の合格者受験番号を確認でき、そこから各学科のおおよその倍率を把握できます。自分はR7推薦、R7一般、R8推薦の合格者数情報は持っているので、もし知りたければ連絡ください。

最後に

高専の大学編入では、高校生が受ける大学受験に比べて、圧倒的に少ない労力でレベルの高い大学に進学することができます。とはいえ普通に努力は必要です。高をくくっていると痛い目に合います。私は東北大学に合格することができましたが、山梨大学は不合格だったので、もし両方落ちていたと思うとゾッとします。高専に入れるレベルの人であれば、ポテンシャルは十分にあります。どの大学に進むにしろ準備を怠らなければ、必ず良い結果はついてきます。

それから受験は情報戦です。情報を多く持っている人はとても有利です。知りたいことがあれば、先生、先輩、体験記を書いてる人など、なるべく多くの情報をもらうようにしましょう。先輩たちも同じように苦労してきたはずですし、きっと親切にサポートしてくれると思います。私自身、このサイトで非常に多くの体験記を参考にし、たくさん助けられたので、今この体験記を書いています。もしあなたがこれを読んで少しでも参考になったと感じたら、受験が終わった後、ぜひ自身の体験記も投稿してみてください。

オススメの参考書

数学

編入数学徹底研究

多くの人がおすすめしているので特に説明はいらないと思います。一周しておいて損はないですし、問題の解き方を忘れたときに辞書的な使い方もできます。

高専の数学 問題集1・2・3

問題数がかなり豊富で、編入試験で出題された問題も多く扱っているので、全部解くとかなり力になります。しかし解説が載っていないところが少しネックです。私は昔ネットに掲載されていた解説を当時ダウンロードしていたので、それを見ながら解いていました。もし欲しければ言ってください。探せば今のネットの何処かにもあるかもしれません。

長岡技術科学大学過去問解答集

https://www.nagaoka-ct.ac.jp/~tawara/
長岡技科大の平成18年度以降の数学の過去問が解説付きで分かりやすくまとめられています。技科大(豊橋、長岡)を受ける人はもちろん、そうでない人にとってもおすすめです。

MathDF

https://mathdf.com/ja/
積分、微分方程式、行列等の計算ができます。解法もある程度確認できて便利なのでよく使用していました。

構造力学

構造力学徹底演習 鈴木基之 著

問題数が豊富で、多くの人がおすすめしたいたので自分も入手しました。243問ありますが、「そんな形の構造物、編入で出ないだろ!」みたいな問題もそこそこあります。構造力学は、「基礎的な問題をいかに速く正確に解けるか」、「S図・M図の概形を悩まず瞬時に描くことができるかどうか」だと思うので、この問題集に限らず学校の図書館などで借りた本で演習を重ね、多くの問題を解くことをおすすめします。

構造力学I・Ⅱ

https://www.str.ce.akita-u.ac.jp/~gotou/kouzou/kouzou1.html
https://www.str.ce.akita-u.ac.jp/~gotou/kouzou/kouzou2.html
秋田大学の構造力学の授業資料です。構造力学の理論の復習に役立てていました。

-構造解析法へのアプローチ-

http://kouzoukaihou.html.xdomain.jp/index.html
構造力学の理論の復習に役立てていました。

水理学

水理学演習 有田正光・中井正則 共著

問題数が豊富ですが少し難易度が高いです。例題を中心に解くことをおすすめします。

図説 わかる水理学 井上和也 編

式の導出や用語の説明、問題の考え方などが充実しています。演習問題はあまりないです。

土質力学

わかる土質力学220問 安田進ら著

演習問題中心です。

地盤工学 演習問題

http://geotech.eng.niigata-u.ac.jp/lecture/index.html
新潟大学の地盤工学の授業の演習問題です。解説が丁寧で、問題も豊富なのでおすすめです。

土質ノート

https://civil.meijo-u.ac.jp/lab/kodaka/lecture.htm
京都大学の土質力学の講義ノートです。理論を理解するのに役立てていました。

専門教科全体

授業プリント、学校のテスト

どの教科でも大いに役立ちました。無駄だと思っても捨てずに取っておくと後で助かります。