編入体験談

2026年:九州大学 芸術工学部 音響設計コース

自己紹介

名前:いしだ
出身高専:群馬高専電子情報工学科
学科順位:1,2年次 : 30位 3年次 : 25位 4年次 : 20位
受験年:2026年度
受験大学(受験科目):九州大学芸術工学部音響設計コース
併願大学:東京都立大学(不合格) 長岡技科大(合格)
部活や資格:TOEIC 765 将棋部
TwitterID:svjyedx

なぜ編入をしようと思ったか

もともとピアノとDTMをしていて音楽が好きだった。
仕事で音楽関係に就きたいし学問としても学びたかった。
旧帝ってかっこよすぎるから。

科目ごとの勉強方法

数学

参考書は徹底研究を基本に場合の数/確率については「ハッと目覚める確率」と「合格る確率」を使いました。また、受験の月という大学受験用のサイトがあるのですが、そこでは場合の数、確率について丁寧に説明があるのでそちらでもいいと思います。

また、線形代数は徹底研究だと計算練習の問題が多いのですが、証明の問題が多く出ます。それらを演習できる参考書でもあればいいのですがあまりないため、他大学の編入試験を探してそれで練習するのが一番いいと思います。

後は関数描画の練習しといた方がいいと思います。

それらが一通り終わったらchatgptに過去問渡して予想問題を作らせていました。解説もしてくれるのでお勧めです。

動画教材がお好きなら3blue1brownがおすすめです。数学自体が好きになりますし、線形代数のエッセンスには本当にお世話になりました。10周はしました。

参考程度ですが過去問は簡単な年だと8割、難しい年は6割弱でした。

物理

なし

化学

なし

英語

2,3年の頃からちょっとずつ勉強していました。それくらいの学年の方は早めに手を付けといてもいいと思います。やっていたことといえば金フレや銀フレ、金の熟語を暗記するくらいでした。

3年のipで550点。

4年になり本格的に勉強し始めました。秋に650点くらいで5年の頭に765点(R:300 L:465)をとりました。バランスが悪すぎるのでR:380 L:380を目指すくらいがいいと思います。

勉強のコツはYoutubeでも見てくれた方がいいのですが、私はYoutuberが言っていた勉強法では伸びなかったので我流の勉強法を載せておきます。

銀フレ、金フレ、金の熟語を全部覚える(コラムや単語の解説に出てくる単語まで)。黒フレの上の方の単語もする。
公式問題集のpart2,3,4をリスニングしまくる。シャドーウィングは効果がわからなかったので倍速で聞いて耳を慣らしました。覚えるまで聞くのが大切だと思います。覚えて飽きたら次に行きましょう。
Part6,7を解いて読んで、知らない単語を覚える。どんな問題か覚えるくらいまで周回する。飽きたら次に行く。公式問題集はabceedみたいなアプリで読み上げてくれるので、それを聞きながら文章を追うのが結構効いたと思います。
文法特急みたいな青い本をする。でる1000でもいいと思います。

TOEICは単語が大事なのでできる限り毎日やりましょう。また、最新の情報が大切です。できる限り最新のTOEICの傾向を把握しましょう。使う教材を迷ったら公式が出している最新のものをお勧めします。

ほかの人の編入体験談をみると800点越えで意味わからないスピードで点数が伸びている人がいますが、あまり参考にできません。点数が伸びないときは伸びないのでそんなもんだと思って気長にやりましょう。ある時急に伸びます(本人も理由はわからない)。

専門科目

なし

試験当日

試験内容

皆さんどんな形式かはご存じだとは思うので形式については割愛します。
今日時点(10/30)では載っていないですが後でホームページに過去問が載るはずです。それを参考にして下さい。

簡単に各大問の概要を示します。

大問1 確率

ボールを箱にわける確率と素数にかかわる問題

あまり勉強していませんでした。7割くらい回答して点数は5割くらいもらえたと思います。

大問2 線形代数

線形独立に関する問題

7割解きました。書いた部分は全部あっていると思います。

大問3 微分積分

媒介変数表示に関する積分

4割くらい解きました。過去に一回出題されていたのですが、難化したのかなと思い演習量が足りていませんでした。

大問4 重積分

文字が多い重積分

後の方に解いたら全然時間が足りませんでした。3割くらいだと思います。

全体的に傾向が変わっています(周りの受験生もそう言っていた)。来年(2026年)から入試が8月くらいになるらしいのでそこで試験内容を変えるための試運転のようなものでしょうか。わかりませんが、これを見るに点数としても5割くらいしか解けていないと思います。これで受かるからといって参考にしない方がいいでしょう。7割取れれば安心できると思います。

こんな人はいないと思いますが、私はどうせ教室に時計があるだろうと思い時計をもっていかなかったら時計が置いてありませんでした。腕時計は持っていきましょう。重積分の点数が低いのはこれのせいです。時間が短いので実戦形式で時間配分を気にした演習もおすすめです。

面接

私が一番重要だと思うのは面接です。そのため詳細に記します。ほかのコースの方はあまり内容が参考にならないと思います。

入室したら7人の試験官がお出迎えしてくれます。9人だったかもしれません。申し訳ございません。九州大学芸術工学部の音響設計コースは音文化学、音響環境工学、音響情報科学という3つの分野からなっているのですが、自分が話したことに対して最も分野が近い教員の方が面接を行うという方式のようです。面接時間は10分固定で面接中はタイマーが表示されています。これは志望動機の話初めから面接終了までの時間が10分ということに注意してください。時間を過ぎると今聞かれた質問について話し終わったら「時間になりましたのでここで面接を終了します。」と強制終了されます。志望動機と自己アピールの内容が話し終わるとそれらについて深堀されます。

実際の面接の流れ

まず面接試験が始まる前に部屋に集まり、教員の方から「最初に志望動機と自己アピールをする時間を2、3分とるので準備をしておいてください。」と言われます。そこから受験番号順に部屋に呼ばれます。控室ではスマホなどの使用は可能なので私は志望動機のカンペを読み込みながら音楽を聴いて待機していました。面接は受験番号順なので遅めに出願すると面接までの猶予をとることができます。(裏技)

椅子に案内されて「志望動機を2、3分で教えてください」といわれるとタイマーがスタートします。志望動機は大体3分ぴったしで用意していたのである程度話すことができたと思います。以下に箇条書きで何を話したかを示します。

  • 昔からピアノやDTMをやっていて音楽が大好きです。
  • そこから音響にも興味を持ちました。高専で信号処理の授業があってフーリエ変換や畳み込み演算と音響はとっても相性がいいし学問的にも面白いと思います。リバーブの原理やフィルターの原理なども独学で勉強しました。
  • 4年生で対位法の学習アプリケーションを作りました。
  • 卒業研究でビジュアルジョッキーシステムの研究をしています。(詳細は後で書きます。)
  • 将棋部で全国大会優勝しました。

これで3分くらいでした。そこから卒研の内容を深く掘られました。まず初めに卒研の内容を軽く紹介しておきます。

ライブ演奏をする際に映像を自動で切り替えるシステムをpythonで実装するという研究をしています。また、従来では行われていない(と思われる)アドリブにも対応したものの実装を目指しています。音響特性はクロマベクトル(12音階の強さをベクトルにしたもの)をもとに作成しています。

こんな風に話しました。どんなことが聞かれるかある程度考えて面接に臨んだのですが、卒研の内容が8割でした。おそらく音楽系の研究だったからだと思います。

卒研について簡単に志望動機のところで話したのでどういうシステムか詳しく聞かれました(3-5分)。その後、「信号処理が好きだと言っていたが成績が低いけどどういうこと?」と質問され、「テストで計算ミスをしてしまったのとz変換の理解が曖昧でした。」と正直に答えました。そのうえで「ただフーリエ変換の計算をするだけでは面白くないと思います。でもフーリエ変換の性質自体面白いですし、FFTにする高速化アルゴリズムにも感動しました。また、畳み込み演算や音響と相性がいいと思います。」と付け足しました。そうすると「成績が悪いのは大切じゃなくてやっていて苦痛じゃないかどうか。」だと言われました。僕の席次は20位前後だったのですが、本当に成績はあまり見ないみたいです。

この後何かの質問をされて答えたらウケました。緊張しすぎて覚えていません。これ面接の合否に関係あるんですかね?去年の人も「事実上浪人です」って言ってウケていたので。場の雰囲気が和む程度の効果は期待できるのかもしれません。

そして最後に「リアルタイム追従って信号ベースでやるのが主流だと思うんだけど、なんでクロマベクトルを採用したの?」と聞かれました。そこで「クロマベクトルは私自身が楽器を演奏するため直感的でわかりやすいからといった側面もありますが、正直言って音響についての知識を持っていないという理由もあります。私は高専に入学する前はコンピュータがどういうものでどういったことができて、逆にこういったことは扱えないとか、そもそもコンピュータサイエンスの学問の全体像があまりよくわからない状況でした。しかし、5年間高専で勉強する内にそういったことも理解することができたと思っています。音響工学という学問はその学問の中でさらに分野が分かれていると思うのですが、どのような分野に分かれているかすらわかっていません。ですが、もし貴学に入学できたら音響工学や音楽についての知識を取り入れて、高専で学んだコンピュータの知識を活かし、クロマベクトルと信号ベースやその他手法でどのような特徴の違いが比較する、そのような研究をするのも面白いと思います。」と述べタイマーがなりました。

最後の質問については即興ながらもよく答えられたなと思います。

面接を対策する上での重要だと思うポイント

私は志望動機について話せば話すほどいいと思っていましたが、志望動機含めて10分のため簡潔に重要なポイントを2分程度で終わらせて質疑応答に時間を回した方がいいと思います。志望動機より質疑応答の方が重要だと思います(教授が気になることを質問してくれるため)。

高専からの編入なので高校からの受験生と違ってこういうことを学んでいて、私が持っている技術を使えばこういうことができると言えることが重要だと思います。そのための編入制度です。

受験後に他の受験生とお話しする機会があったのですがみんな思っていたのと違った予想外の質問が飛んできたと言っていたので、面接対策はこんなこと聞く?というくらい対策をしておいても損はないと思います。私も志望動機で行ったことを均等に浅く聞かれると思っていたのですが、卒研の内容が多く焦りました。

卒研で音響関係の研究ができる人はそのような研究テーマにすると卒研の話をメインに聞いてくれると思います。教授らにも音楽に興味がある研究熱心な学生というアピールできると思いますし、質問も予測しやすいので一石二鳥です。

噂ですが九州大学芸術工学部は面接重視だと言われています(私もそう思う)。数学やTOEICも大切ですが、面接で音響関連のことについてどれくらい語れるかが合否を分けると思います。練習もよくしておきましょう。

後輩に伝えたいこと

ここまで読んでいただきありがとうございます。

正直合格するとは思っていませんでした。数学の出来が良くなかったですしね。合格している人間がこの程度なので私より勉強ができている方は安心してください。慢心はしないでね。

あと僕の予想ですがおそらくボーダー制です。(取る人数に制限はあまりなくて、合格に値するかどうかで判断する。)ほかに優秀そうな受験生がいても気負わないこと。周りの人もみんな不安です。

なにか質問があったらTwitterでDMしてください。あと半年程度は高専なので入学後の様子は答えられません。

オススメの参考書

金の熟語(逆張り)