自己紹介
名前:Haru
出身高専:九州の高専 情報系学科
学科順位:1年 : 15位 (学年) 2年 : 3位 (学年) 3年 : 1位 (学科) 4年 : 1位 (学科)
受験年:2025年6月21日
受験大学(受験科目):九州工業大学情報工学部物理情報工学科(合格) 数学・物理学(電磁気学)
併願大学:筑波大学理工学群工学システム学類(合格) 大阪大学基礎工学部情報科学科数理科学コース(合格)
部活や資格:TOEIC760
普段はNoteで編入に関する情報を発信しています.https://note.com/ready_orca2291
なぜ編入をしようと思ったか
情報系の学科に所属していますが,情報系の王道分野である「通信」,「ネットワーク」,「人工知能」,「自然言語処理」といったものに興味が湧かず,物理学に興味があったため.
科目ごとの勉強方法
数学
編入のために使用した教材は以下のとおりです.
・新版数学シリーズ 新版 確率統計 改訂版 (1周)
・細野真宏の数学が本当によくわかる本 確率が本当によくわかる本 (総合問題を除き2周)
・新 基礎数学 確率・統計 問題集 改訂版 (2周)
・編入数学徹底研究 (5周)
・編入数学過去問特訓 (A/B問題4周,C問題3周)
九工大の対策のみであれば,確率・統計は不要です.
微積分と線形代数は,2~3年生の授業で勉強していたので,「編入数学徹底研究」と「編入数学過去問特訓」で十分でしたが,確率に関しては授業が編入に間に合っていなかったので,高校内容から復習して勉強しました.
基本的には,1つの問題集を完璧にするまで周回して,次の問題集に移る感じです.周回すると言っても,2周目以降は前の周回で間違った箇所のみを解くので,周回を重ねるにつれて解く量は減っていきます.ほとんどの問題を理解することが出来たら次の問題集に進みましょう.
九工大では,筆記試験がありません.面接と口頭試問なので,1ヶ月前から練習をはじめました.数学の口頭試問の練習は先程の数学の先生にお願いしました.
編入試験の面接で聞かれることはある程度決まっているので,対策が容易でしたが,口頭試問に関しては情報が少なかったので,解答用紙を見なくても1通りの解説がホワイトボードでできるように練習しました.
物理
物理学の口頭試問では,力学,電磁気学,電気回路のうち1つを選ぶことになります.
他大学の受験科目との兼ね合いで,電気回路は捨てて,力学と電磁気学を勉強しました.
力学
編入のために使用した教材は以下のとおりです.
・物理のエッセンス[力学・波動](力学のみ2周)
・物理入門コース 新装版 力学 (1周)
・弱点克服 大学生の初等力学 改訂版 (4周)
私の所属する学科は,大学レベルの力学を授業で扱わないため,独学で勉強しました.
「物理のエッセンス」で高校物理の力学を復習し,「物理入門コース 新装版 力学」で大学レベルの力学の基礎を学びました.この教科書は1通り読んだだけで,隅から隅まで理解したわけはありません.理論を理解することは重要ですが,大体の編入試験では問題を解く能力を測られるので,「弱点克服 大学生の初等力学 改訂版」で実際の問題の解き方を学びました.
電磁気学
編入のために使用した教材は以下のとおりです.
・物理のエッセンス 熱・電磁気・原子
・新版数学シリーズ 新版応用数学 改訂版
・電磁気学I 電場と磁場 (物理入門コース 新装版) (1周)
・電磁気学入門 (物理学レクチャーコース) (1周)
・電磁気学Ⅱ変動する電磁場 (物理入門コース 新装版) (マクスウェル方程式まで1周)
・理工基礎物理学演習ライブラリ3 電磁気学演習第3版
こちらも独学で進めました.
電磁気学はベクトル場を扱うので,応用数学等の教科書で「ベクトル解析」を学んでから勉強したほうが良いと思います.具体的には,線積分,面積分,勾配,発散,回転,ガウスの発散定理,ストークスの定理を視覚的に理解する必要があります.これをするだけで,電磁気学の捉え方が変わります.
こちらも力学と同様に,教科書で基礎的な理論を理解して「理工基礎物理学演習ライブラリ3 電磁気学演習[第3版]」で実際の問題の解き方を学びました.
口頭試問としての対策は数学と同様です.
化学
なし
英語
使用した教材は以下のとおりです.
・TOEIC(R) L&R TEST ロジカル勉強地図 (著者がHaruですが私と一切関係ありません)
・TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ) (10周以上)
・1駅1題! TOEIC L&R TEST 文法特急 (TOEIC TEST 特急シリーズ) (4周程度)
・公式TOEIC Listening & Reading問題集 11
・abceed (サブスクで模試をたくさんやりました)
英語は取り組んだ分だけ伸びます.しかしながら,勉強法を間違えると絶対に伸びません.編入学試験では4年生までにTOEICを終わらせるのが定石ですから,はやめに取り組むことをおすすめします.
勉強を始める前に,TOEICの勉強の見通しを立てるとよいです.私は「TOEIC(R) L&R TEST ロジカル勉強地図」を軽く読みました.
TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ
これをやらないと何も始まりません.10周以上しましょう.
基本的には,英単語を見て意味がパッと出るようにしましょう.ですから,赤シートはいりません.
私は100個ずつ覚えていました.英単語を隠して,3秒以内に意味を思い出すことが出来なければ,意味を確認して,次の英単語に進みます.これを100回繰り返して,1日に2セット行います.ほとんど覚えることが出来たら次の100個に進んで,単語帳を1周(1000単語)します.Supplement等はとりあえず飛ばしてよいです.これを10周以上やります.
3秒以内という事が重要です.なぜなら,英単語は覚えるものではなく,何度も何度も見て「これ見たことあるな~」という状態を作り出して,さらに何度も何度も見て自然と記憶に定着させることが大事です.プライドや意地が邪魔して,クイズのように思い出すまで粘るようなことはせず,分からなかったらすぐに答えを見ましょう.
これ1日数回,毎日継続していれば自然と覚えることが出来ます
1駅1題! TOEIC L&R TEST 文法特急
この本は,TOEICに頻出する文法を学ぶことが出来ます.すなわち,これ以外にわざわざ文法本をやる必要はありません.
こちらは,1問ごとに目安となる時間が乗っているので,それを参考にしてください.間違ってはいけないのは,答えとなる選択肢を覚えるのではなく,解説を覚えましょう.結果的に,文法,熟語,英単語等の包括的な知識を得ることが出来ます.
公式TOEIC Listening & Reading問題集 11
主に,Part1,2,3,4,7の対策のために使いました.リスニングパートのシャドーイングを行い,Part7で速読,精読の練習をしました.
ですが,あまりうまく活用出来た気はしません.
abceed
サブスクを払って,15分の模試を何度も行っていました.特に,Part7のスピード感になれるために使っていました.解いた問題は必ず復習して,リスニングパートはシャドーイングを行っていました.
結果的に760点をとることが出来ましたが,このTOEICの勉強法は参考にならないかもしれません.ですので,ZenpenやNoteで色々な方の勉強法を見ても良いかもしれません.
専門科目
なし
試験当日
試験内容
九工大の編入は特殊で,一般選抜でも筆記試験はなく,面接と口頭試問のみです.口頭試問は,出願時に選択した科目の問題が試験前にweb上で公開されますので,それを解いたものを期日までに提出して,本番でその解答用紙を下にして口頭試問がなされます.
物理情報工学科は,数学と,情報または物理(力学,電磁気学,電気回路の中から1つ)が口頭試問の選択肢となっており,私は数学と物理(電磁気学)を選択しました.
2026年度の編入試験(2025年実施)では,5/30(金)に問題が公開され,解答用紙を6/6(金)までに九工大に郵送で提出する必要がありました.私の場合,公開された5/30(金)に解答を作成し,週明けの6/2(月)に数学と物理の先生のもとへ確認を行ってもらいました.問題の概要は以下のとおりです.
数学は線形代数の基本的な問題で,対称行列Aについて色々します.
(1) Aを係数行列とした連立1次方程式が自明な解を持つときの,Aの各成分に対する条件.
(2) Aの固有値が異なる2つの実数のときの,Aの各成分に対する条件.
(3) Aの固有値が異なる2つの実数で,それぞれの固有ベクトルが与えられたとき,Aの2乗を計算する問題.
電磁気学は,半円の円周上に位置する電荷と有限長の直線状の電荷がつくる電場を求める基本的な問題.ChatGPTが作った解答の間違いを探すという今どきな問題でした.
面接練習は研究室の先生にお願いしました.また,数学の口頭試問の練習は先程の数学の先生にお願いしました.
編入試験の面接で聞かれることはある程度決まっているので,対策が容易でしたが,口頭試問に関しては情報が少なかったので,解答用紙を見なくても1通りの解説がホワイトボードでできるように練習しました.
実際の面接,口頭試問の内容は後述します.
面接
面接時間は20分(厳守),面接官は三人(面接担当,数学担当,物理担当),口頭試問→面接の順でした.机の上に自分の解答用紙と鉛筆,背後にはホワイトボードがありました.
緊張を和ませるためか,口頭試問が始まる前に「どうやって来たか」,「朝ご飯は食べたか」等を聞かれました.他の受験生も同様のことを聞かれていた人もいました(学科によって異なりそう).おそらく,面接の内容には関係ないと思いますので,普通に話せばよいです.
まずは数学の口頭試問です.聞かれたことは以下の通りです.
・行列Aをなにか(対称行列)
・「⇔」はなにか
・自明な解とはなにか
・非自明な解をもつとき,Aの列ベクトルの関係をなんと言うか
・なぜ,固有多項式がこのような形になるか
・固有値,固有ベクトルの関係をベクトルではなく行列で表せ(ホワイトボードで)
・対角化とはなにか(ホワイトボードで)
・この問題ではAの2乗を求めているが,一般に,Aのn乗を求める方法を教えて(ホワイトボードで)
次に電磁気学です.
・この問題の回答は自分で作成したのか
・クーロンの法則について説明して
・ガウスの法則について説明して
・クーロンの法則とガウスの法則は等価なものであるが,なぜこの問題ではガウスの法則を使わなかったのか
・ChatGPTの解答のどこが間違っているのか
ほとんど答えられましたが,「非自明な解をもつとき,Aの列ベクトルの関係をなんと言うか」は間違った解答をしてしまいました.
面接で聞かれたことは以下の通りです.
・受験番号,出身高専,氏名
・情報工学部のことをどこで知ったか
・卒業研究について
・面接に関係ないですが最後に1人の面接官の方が感想を仰っていました
面接の最後に解答用紙と鉛筆は持って帰ってくださいと言われましたが,それを聞いていなくて,立ち去ろうとしたら笑われました.
後輩に伝えたいこと
Noteにも編入に関することを上げていますので参考にしてください.
https://note.com/ready_orca2291/n/nf14fe3d6bc04
オススメの参考書
編入数学徹底研究と過去問特訓はド定番なので,おすすめです.