自己紹介
名前:Haru
出身高専:九州の高専 情報系学科
学科順位:1年 : 15位 (学年) 2年 : 3位 (学年) 3年 : 1位 (学科) 4年 : 1位 (学科)
受験年:2025年7月5,6日
受験大学(受験科目):大阪大学基礎工学部 情報科学科 数理科学コース(合格),数学・物理学・面接(口頭試問)
併願大学:九州工業大学情報工学部物理情報工学科(合格),筑波大学理工学群工学システム学類(合格)
部活や資格:TOEIC760
Noteで編入に関する記事を書いています.https://note.com/ready_orca2291
なぜ編入をしようと思ったか
情報系の学科に所属していますが,情報系の王道分野である「通信」,「ネットワーク」,「人工知能」,「自然言語処理」といったものに興味が湧かず,数学や物理学に興味があったため,阪大の数理科学コースを受験しました.
科目ごとの勉強方法
数学
編入のために使用した教材は以下のとおりです.
・新版数学シリーズ 新版 確率統計 改訂版 (1周)
・細野真宏の数学が本当によくわかる本 確率が本当によくわかる本 (総合問題を除き2周)
・新 基礎数学 確率・統計 問題集 改訂版 (2周)
・編入数学徹底研究 (5周)
・編入数学過去問特訓 (A/B問題4周,C問題3周)
微積分と線形代数は,2~3年生の授業で勉強していたので,「編入数学徹底研究」と「編入数学過去問特訓」で十分でしたが,確率に関しては授業が編入に間に合っていなかったので,高校内容から復習して勉強しました.
基本的には,1つの問題集を完璧にするまで周回して,次の問題集に移る感じです.周回すると言っても,2周目以降は前の周回で間違った箇所のみを解くので,周回を重ねるにつれて解く量は減っていきます.ほとんどの問題を理解することが出来たら次の問題集に進みましょう.
物理
力学
編入のために使用した教材は以下のとおりです.
・物理のエッセンス[力学・波動](力学のみ2周)
・物理入門コース 新装版 力学 (1周)
・弱点克服 大学生の初等力学 改訂版 (4周)
私の所属する学科は,大学レベルの力学を授業で扱わないため,独学で勉強しました.
「物理のエッセンス」で高校物理の力学を復習し,「物理入門コース 新装版 力学」で大学レベルの力学の基礎を学びました.この教科書は1通り読んだだけで,隅から隅まで理解したわけはありません.理論を理解することは重要ですが,大体の編入試験では問題を解く能力を測られるので,「弱点克服 大学生の初等力学 改訂版」で実際の問題の解き方を学びました.
電磁気学
編入のために使用した教材は以下のとおりです.
・物理のエッセンス 熱・電磁気・原子(電磁気のみ2周)
・新版数学シリーズ 新版応用数学 改訂版
・電磁気学I 電場と磁場 (物理入門コース 新装版) (1周)
・電磁気学入門 (物理学レクチャーコース) (1周)
・電磁気学Ⅱ変動する電磁場 (物理入門コース 新装版) (マクスウェル方程式まで1周)
・理工基礎物理学演習ライブラリ3 電磁気学演習第3版
こちらも独学で進めました.
電磁気学はベクトル場を扱うので,応用数学等の教科書で「ベクトル解析」を学んでから勉強したほうが良いと思います.具体的には,線積分,面積分,勾配,発散,回転,ガウスの発散定理,ストークスの定理等を視覚的に理解する必要があります.これをするだけで,電磁気学の捉え方が変わります.
こちらも力学と同様に,教科書で基礎的な理論を理解して「理工基礎物理学演習ライブラリ3 電磁気学演習[第3版]」で実際の問題の解き方を学びました.
化学
なし
英語
使用した教材は以下のとおりです.
・TOEIC(R) L&R TEST ロジカル勉強地図 (著者がHaruですが私と一切関係ありません)
・TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ) (10周以上)
・1駅1題! TOEIC L&R TEST 文法特急 (TOEIC TEST 特急シリーズ) (4周程度)
・公式TOEIC Listening & Reading問題集 11
・abceed (サブスクで模試をたくさんやりました)
英語は取り組んだ分だけ伸びます.しかしながら,勉強法を間違えると絶対に伸びません.編入学試験では4年生までにTOEICを終わらせるのが定石ですから,はやめに取り組むことをおすすめします.
勉強を始める前に,TOEICの勉強の見通しを立てるとよいです.私は「TOEIC(R) L&R TEST ロジカル勉強地図」を軽く読みました.
TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ
これをやらないと何も始まりません.10周以上しましょう.
基本的には,英単語を見て意味がパッと出るようにしましょう.ですから,赤シートはいりません.
私は100個ずつ覚えていました.英単語を隠して,3秒以内に意味を思い出すことが出来なければ,意味を確認して,次の英単語に進みます.これを100回繰り返して,1日に2セット行います.ほとんど覚えることが出来たら次の100個に進んで,単語帳を1周(1000単語)します.Supplement等はとりあえず飛ばしてよいです.これを10周以上やります.
3秒以内という事が重要です.なぜなら,英単語は覚えるものではなく,何度も何度も見て「これ見たことあるな~」という状態を作り出して,さらに何度も何度も見て自然と記憶に定着させることが大事です.プライドや意地が邪魔して,クイズのように思い出すまで粘るようなことはせず,分からなかったらすぐに答えを見ましょう.
これ1日数回,毎日継続していれば自然と覚えることが出来ます
1駅1題! TOEIC L&R TEST 文法特急
この本は,TOEICに頻出する文法を学ぶことが出来ます.すなわち,これ以外にわざわざ文法本をやる必要はありません.
こちらは,1問ごとに目安となる時間が乗っているので,それを参考にしてください.間違ってはいけないのは,答えとなる選択肢を覚えるのではなく,解説を覚えましょう.結果的に,文法,熟語,英単語等の包括的な知識を得ることが出来ます.
公式TOEIC Listening & Reading問題集 11
主に,Part1,2,3,4,7の対策のために使いました.リスニングパートのシャドーイングを行い,Part7で速読,精読の練習をしました.
ですが,あまりうまく活用出来た気はしません.
abceed
サブスクを払って,15分の模試を何度も行っていました.特に,Part7のスピード感になれるために使っていました.解いた問題は必ず復習して,リスニングパートはシャドーイングを行っていました.
結果的に760点をとることが出来ましたが,このTOEICの勉強法は参考にならないかもしれません.ですので,ZenpenやNoteで色々な方の勉強法を見ても良いかもしれません.
専門科目
過去問は,阪大基礎工を25年分解きました.
実際の試験を想定して,時間配分,記述の仕方,解ける・解けない問題の取捨選択を練習しました.
ですが,解答が一切なかったので,数学や物理の先生に解答の作成をお願いしました.
面接は,研究室の先生にお願いして練習してもらいました.口頭試問は,「微分方程式」,「複素解析」,「フーリエ解析」,「確率・統計」という漠然とした範囲から出題されます.ChatGPTのDeepResearchで傾向を事前に調べて,対策プリントを作成して挑みました.(といいつつ,結局教科書で出てくるほとんどの定理,定義,公式を覚えた)
試験当日
試験内容
基礎工学部全体の受験者は50名程度でした.そのうち,数理科学コースは8名でした.
数学 (9:30 ~ 11:30)
解答用紙はA4サイズで無地で,表裏使ってよいです.実際の問題は過去問を請求して確認してください.また,受験番号と志望学科・コースを試験が始まってから書きますが,問題用紙,解答用紙の全てのページに書くので,最初の5分はこれに奪われます.実質試験時間は,115分です.
大問1は積分の問題でした.めちゃくちゃ緊張していたので,思うように解けませんでした.(1) ~ (4)までありましたが,(1),(2)しか解けませんでした.(3)は惜しいところまで行けたらしく(面接の時に言われた),(4)はそれっぽいことを書きました.
大問2は線形代数の問題です.2次の正方行列を色々やっていく問題でしたが,例年と問題の作り方が違う雰囲気を感じました.1問だけ計算の重い問題がありましたが,それは方針だけ書き,ほかをしっかりと解きました.
大問3は確率の問題です.過去問を解いていて,数学は確率が解けるかがボトルネックになると思っていましたが,拍子抜けするほど簡単な問題でした.おそらくすべてあっていると思います.
全体的に,7~8割ほど取れたと思います.
終わったことは考えても無駄なので,物理と面接で巻き返そうと頑張りました.
物理 (13:00 ~ 14:30)
これを読んでいる人は知っていると思いますが,数理科学コースの物理の試験は,力学,電磁気学,熱力学から2つを選んで解答します.熱力学は一切勉強していないので,力学と電磁気学を選びました.
ぱっと見て,力学はヤバそうだったので,電磁気学から先に解きました.「理工基礎物理学演習ライブラリ 3 電磁気学演習[第3版]」の64ページの問題4.3の類題で,とても簡単でした.全て解けました.
力学は,ここにきて傾向が変わっていました.毎年,99%の確率で剛体の問題が出ていましたが,なぞの円運動でした.ベクトルで色々する問題で,類題は「弱点克服大学生のための初等力学」の182ページの問題57で見たことあるだけでした.しかも,最初の3問ぐらいがこれの類題であとは,初見の問題でした.なんとか自分の持っているベクトルの知識をひねり出し,小問9個中6個は確実に取ることが出来ました.残り3つはそれっぽいことを書きました.
こちらも,7~8割は取れたと思います.電磁気学に救われました.
この時点で受かるか怪しいラインでしたが,諦めず,次の日の面接を頑張ろうと思いました.
面接
順番は受験番号の小さい順で,私は1番最後だったの2時間ほど待ちました.面接時間は全員例外なく,20~25分でした.面接官は6人ほどで,実際に話していらっしゃったのは3人でした.以下は聞かれた内容です.
面接官1人目
- 受験番号,氏名
- 志望理由
- 数理科学といっても幅広いですが,特に学びたい分野はありますか?
- 併願校 (合否には関係ない)
面接官2人目
- 昨日解けなかった問題は?(しれっと口頭試問にうつる)
- 解けなかった問題を解いてみて (解けない...)
面接官3人目
- 電磁気学に興味があると捉えられたので,そこから掘り下げられる
- 電磁気学の中でどのような分野が好きか
- 電磁気学で偏微分方程式を解いたことがあるか,フーリエ級数を用いた解法を知っているか?(ここで,自信満々に答えていたら偏微分方程式とかフーリエ級数に関する質問をされていたかも)
- 先の質問で「応用数学の本で見たことがある」といったら「誰の本?」,「なんの本?」と深堀りされました.
- 正則な複素関数が調和関数であることを証明して(おそらく電磁気学つながりで聞かれた)
- コーシー・リーマンの関係式の導出
- 複素関数が正則であるとはなにか
面接官1人目に戻る
- 卒業研究について教えて(深堀りされました)
もう一人の受験生に聞いたところ,正規分布の確率密度関数,対数正規分布について聞かれたそうです.おそらく,自分の興味のある分野や勉強・研究したいことに関連した分野が口頭試問で問われそうです.
昨年と異なり,面接の控室では私語厳禁で皆静かに過ごしていました.もちろん,スマホ等の電子機器は使えないので,教科書や対策プリントを持っていくことをオススメします.
後輩に伝えたいこと
Noteでも編入に関する記事を書いていますので参考にして頂けると幸いです.
オススメの参考書
編入数学過去問特訓は愛着があります.

