編入体験談

2026年:北海道大学 工学部 機械知能工学科 機械システムコース

自己紹介

名前:しろ
出身高専:苫小牧高専 機械系
学科順位:1年次:8/213,2年次:18/45,3年次:10/44,4年次:1/42
受験年:2026年度(2025年度実施)
受験大学(受験科目):北海道大学工学部機械知能工学科機械システムコース
特別選抜:小論文,面接 → 不合格
一般選抜:数学,物理,化学,TOEIC,面接 → 合格
併願大学:東京農工大学工学部機械システム工学科航空宇宙・機械科学コース(合格),室蘭工業大学創造工学科航空宇宙工学コース(合格)
部活や資格:陸上部,TOEIC 725点
TwitterID:@wtnr_622

なぜ編入をしようと思ったか

自分のやりたい仕事をするためには,まだ学ぶ必要があると思ったから.

学年ごとの勉強内容

1~3年

1~2年生の間は就職するか進学するか迷っていました.どちらかというと早く働きたい,進学にはお金がかかるといった理由から就職寄りでした.そのため,自分が行きたい業界の企業は少し調べていましたが,進学については何一つ調べていませんでした.また,試験勉強は1週間前から始めており意識は低かったです.学年順位は担任に直接聞かなければ知ることができないシステムだったのですが,聞こうという発想もなく知らなかったです(5年生のときに過去の成績を調べて初めて知った).あと,1年から2年に上がるときの系配属で化学系に振り分けられてしまった場合,学校を辞めようと思っていたほどには化学が嫌いでした.

2年生では部活やゲーム中心の生活のおかげで成績が一気に下がりました.2年前期に23位を取ったことで勉強しなくてはと思い始めます.

低学年の内から進学を目指している皆さんは学外活動をしておくと良いと思います.当たり前ですが,人に軽く自慢できるくらいの実績を作っておくと推薦では大きな武器になります.私には何も実績などありませんが...

3年の4月にようやく進路について考え始めました.進路相談室みたいなところに行って卒業生の就職先を調べてみました.自分の思い描いていた仕事はできないかもしれないなということで進学を目指すことにしました.
8月に初めてTOEIC公開テストを受け,結果は535点でした.一応3年の始めから毎日20分英文を読む・聴くことは続けていましたが受験者平均点の高さに驚きました.しかし,ここでTOEICの勉強を頑張るわけでもなく,受験料が割引される半年後の試験の2週間前にTOEIC対策を再開しました(現在のリピート割は次の試験からすぐ適用される形に変更されています).5年生の私はこの頃の私を恨むことになります.やはり,3年生の内にTOEICの点数を伸ばしておいて損はありません.

また,3年生の間は金沢大学,岡山大学,横浜国立大学,千葉大学や北海道大学など志望校をコロコロ変えていました.このときは,推薦を取れるかどうかが決まる4年次では4位(上位10%)以内に入れたらいいなーぐらいに考えていました.編入試験対策はTOEIC以外手を付けていませんでした.

結局,3年生では試験勉強を頑張りましたが推薦がもらえるようような席次には届きませんでした.試験期間以外にも予習・復習するという発想がなかったので当然です.

4年前期

3年次の成績が思うように上がらなかった私は心を入れ替え,北大を目指して4年次の定期試験に挑むことにしました.私の高専では北大の推薦は4年次の成績で判定し,原則クラスで1人だけです.そのため,この1年間は厳しい戦いになるだろうなと予想していました.まず,試験で点数が取れなかった原因を明確にし,対策することにしました.具体的な原因としては,

  • 片道2時間通学&週3バイトのため寮生と同じだけの勉強時間を確保できない.周りと同じ時期に試験勉強を始めても勉強時間で負けてしまうこと.
  • 苦手分野であっても1周しか勉強していなかったこと.

がありました.そのため,

  • 周りに流されず遅くとも一か月前から試験対策を始めること.
  • 苦手分野は優先して最も早くから対策を行い,全範囲2周以上勉強すること.

を実行しました.前期中間試験の成果としては,プログラミング以外の科目は満足な点数を取ることができました.プログラミングは解答欄の書き方を間違え35点をたたき出すという絶望的な状況に陥りました.この点数を見たときは推薦という文字が遠のいていくのがわかりました.この科目だけクラスの平均点を大きく下回りショックでした.というか人生最低点だったのでメンタル崩壊しそうでした.

どんよりとした気分で夏休みに突入しました.そんな中,8月は北大の研究室をインターンとして訪れました.研究室の方々とお話をして,実験を見学させていただきました.このインターンを経験してからは,この素晴らしい環境で学んでみたい,自分の見ている世界を広げたいという思いが強くなりました.また,この頃からZenpenを読んだり,色々な大学の編入試験の募集要項を読んで情報を集めていました.

そして,夏休み中は9月の前期末試験に向けて勉強していました.この時点で編入試験対策は行っていません.なんとしてでも前期中間試験での失敗を取り戻さなくてはならないのです.結果だけ書くと,前回失敗したプログラミングは危機を脱しました.特に,クラスの75%が再試となった鬼畜科目の材料力学では運良く1位を取ることができました.それだけでなく,平均点の低いこの科目で差をつけることができた,ということもあり前期の総合成績で1位となりました.これにより北大が現実的な目標に思えてきました(調子乗るな).

4年後期

前期末試験が終わった後はすぐに後期中間試験の勉強を始めました.また,それと同時進行で編入数学の対策を始めました.数学はまず,学校で使っていた教科書の復習から行いました.「新基礎数学」「新微分積分I」「新微分積分II」から必要そうなところだけかいつまんで取り組みました.学校の教科書の復習は1か月ほどで終了して,いよいよ「編入数学徹底研究」に手を出しました.10月のことです.また,この時期は高専生活で最も多くのレポートが課されており,とことん時間を切り詰めての生活でした.少しでも空いてる時間があれば課題を消化し,編入の勉強をしていました.徹底研究の1周目は1ページ進むのに30~60分かかり,かなり苦戦しました.4章まではきちんと全ての問題を解いていましたが,このままの進行速度では危険だと判断して5章以降は例題だけ取り組むことにしました.内容の理解に努めていれば例題だけでもそれなりに力がつきます. 12月末に1周目が完了しました.また,物理は問題集に手をつけていませんでしたが,「橋元流解法の大原則1」という高校生向けの本を通学中に読んでいました.知識ゼロだった電磁気学への抵抗感を和らげるのには役立ちました.化学に関しても,低学年の時に使っていた高校化学の教科書を読むだけでした.12月にTOEIC-IPを受けた後,TOEICの勉強は一旦終了することにしました.

勉強時間は平均で9~11月が4時間/日,12月が6時間/日でした.

冬休みに初めて8時間勉強を7日継続することができ,それ以降7時間程度の勉強を習慣化することに成功しました.ここで習慣化できていなかったら北大には落ちていたと思います.冬休みから2月中旬まではひたすらに後期末試験の勉強をしていました.後期末試験は全教科満点を取るつもりで頑張りました.結果として4年の総合成績で1位を維持することができ,北大特別選抜の(高専側での)出願資格を得ました.

一方,冬休み明けにはTOEIC-IPの結果が返ってきました.725点でした.満足のいく点数には届かなかったのでもう一度TOEICを受けるべきか迷いました.編入試験までに残された時間は限られており,貴重な時間をTOEICに割いてよいのか悩みました.もし点数が上がらなかったら追加で勉強した時間は無駄になります.そんなことを考えながら3月のTOEICに申し込みました.私は妥協をしたくなかったのだと思います.

後期末試験は終わり春休みが始まりました.まず,「理工系の電磁気学」という本を使って電磁気学の勉強を開始しました.1周目は理解しきれない部分もあり苦しかったです.数学では,徹底研究の2周目をガンガン進めました.1周目の際には解かなかった類題と章末もきちんと解くようにしていました.1周目よりも理解度が上がり,格段に速く解けるようになったことに驚きました.3月下旬には徹底研究の2周目が終わり,それ以降は過去問に取り組み始めました.北大数学の過去問は半分程度しか解けなかったので,もっぱら専攻科や併願校の過去問に取り組んでいました.また,3月下旬から「基礎物理学演習I」を解き始めました.いわゆる「黄色い本」です.この本は問題密度が高い上,初めて見るような問題も多かったため1ページ進むのに1時間以上かかりました.しかしその分,力学,流体,波動や熱にわたる広い範囲をしっかり網羅できるのでとても力がつきました.この頃,化学は週2時間ほど教科書の章末問題だけ解いていました.一応手をつけておこうくらいの気持ちでした.

そして,TOEICは試験日までの1か月間毎日2時間弱勉強していました.前回の試験までは多読多聴を軸としていたのに対して,今回はTOEIC対策の参考書しか使いませんでした.もしかしたら800点取れるかもとか思ってました.えー,結果は645点でした.春休みに勉強した時間は無駄になりました.現実を受け入れられませんでした.これにより,それまで迷っていた農工大への出願を決めました.農工大は当日に英語の試験があり,TOEICを使わないためです.農工大の英語でTOEICの無念を晴らしたい,ただそれだけで受験科目を一つ増やすという愚かな決断をすることになりました.
さすがにこれ以上受ける余裕はないのでこれにてTOEIC終了です.TOEICの点数変遷を以下にまとめました.

3年8月:535点
3年3月:630点
4年9月:705点
4年12月:725点(IP)
4年3月:645点

小論文対策は3月後半から少しずつ始めました.小論文を書く上で最も役に立ったのが「社会人入試の小論文」という本です.小論文の基本は課題,対策,根拠の3つであるということはこの本で知りました.
小論文を書く練習をしている内に,書き方の手順がわかってきました.問題文を読みアイデアを出す段階では,まず上記3つをメモに書きだして明らかにします.何も思い浮かばなかった場合は知識不足の可能性があります.複数の課題や対策が思い浮かんだ場合には,構成を考えて最も書きやすそうなものを選びます.字数を稼ぎたいときには複数選ぶのもありです.課題と対策を書いただけではまだ余白が多いはずです.そこで,根拠をしっかり書くことが大切となります.根拠によって文章の説得力は増します.特に理系学部では,論理的な文章を書けるかどうかが評価基準となるため根拠は重要です.
こんなことを落ちた奴が書いてても説得力ないですね…

ちなみに,9月からコツコツ読んでいたZenpenの体験談は3月に全て読み終えました.500本全てです.また,行きたい研究室の教授の論文も100本弱読みました.論文の内容は大して理解できませんでしたが英文を読む練習にはなりました.

1~3月の勉強時間は平均で7時間/日でした.

5年前期

4月

大学編入試験の募集要項が続々と公開されるようになりました.志望校の出願日,試験日,発表日,確約書の締切などが発表されるので,出願する大学を決める時期となりました.併願校選びには様々な要素が絡んでくるので難しい部分もあると思います.

私の場合,まずは航空宇宙系のコース・研究室があることを必須条件にしました.次に,併願校には確約書の締切が本命大学の学力試験の合格発表後である,または確約書がない大学を探しました.確約書には強制力がないので,確約書を提出した後に辞退することも可能です.しかし,そのような行為は罪悪感を抱えることになりますし,大学や他の受験生に不利益を与えるかもしれません.他には,試験科目,予算,受験の労力(願書を書くための時間,移動や試験日に使う時間,面接のための下調べ・練習)などを考慮しました.

進学するにあたっては,環境を変えて新しい世界に飛び込むことに意味があると思うので専攻科は受けませんでした.

また,北大特別選抜の前に面接練習として一校受けるべきかどうか迷いましたが,結局は北大特別選抜が最初の本番面接となりました.後から書きますが,この面接は失敗したので本命の前に一校受けておくことをおすすめします!実際に編入試験の面接を受けることで,全ての流れを経験することができる上,高専の先生や友人との面接練習では気が付かなかった視点からの質問が飛んできたりします.

さて,4月は流体力学と応用数学をメインに勉強していました.流体系の研究室に配属されたので,研究内容への理解度を上げるためにも流体力学の教科書を1周する必要がありました.応用数学は,過去問を解くにつれ徹底研究では対応できない部分もあると感じたため,高専の教科書も使うようにしました.
また,4月からは日本機械学会誌の購読を始め,通学中に毎日読んでいました.近年の機械工学の動向を知ることができた上,小論文を書く際の語彙を増やすことができました.小論文・面接対策として学会誌は非常に有効だと思います.受験終了までに直近5年分ほど読みました.

平均勉強時間は7時間/日でした.

5月

小論文は過去問を毎週1~2年分,本番通りに書く練習をしていました.書いた文章は研究室の先生,国語の先生,AIに添削してもらいました.機械知能工学科の小論文テーマは輸送機械・ロボット,環境・高齢化,学問などの分野から出題されます.これらの分野の前提知識は必須です.実際に過去問に取り組んでみて,わからなかったことは必ず調べるようにしていました.字数についてですが,機械知能工の小論文は字数指定が存在しないため,情報エレクトロニクス学科の小論文の1問800字制限を目安にしました.

学校の先生との面接練習を始めました.「特別選抜で受かる学生は何か特別なものを持っているはずです.そこをアピールできるといいですね.」という感じのことを言われたのを覚えています.また,情報をかき集めて過去に機械知能工学科の面接で聞かれたことをまとめました.まずは過去に聞かれた各質問に対して回答を考えることにしました.その後は自分の志望動機についてマインドマップを作成するなどしていました.

数学は主に農工大の過去問を解いていました.物理は農工大の過去問,理工系の電磁気学,基礎物理学演習Iです.北大特別選抜が迫るにつれ,必然的に学力対策の勉強時間は減りました.

平均勉強時間は6時間/日です.

6月

小論文は毎週4~5年分書きました.なるべく本番の試験に近い状況で書くことを意識していました.練習を重ねるにつれ,この分野ではこの話題が書きやすいといったコツがつかめてきました.過去問12年分の2周目が終わった後は,生成AIに作ってもらった問題を使っていました.しかし,時間に余裕がないのは毎度のことでした.

小論文対策で一番大切だと思ったのは,本や学会誌などを読んで土台を固めることです.英語と同じように,大量のインプットがあればより良いアウトプットができると思います.

面接は機械系の先生全員と1回ずつ練習しました.本番では面接官がどんな性格なのかわからないので,複数の先生と練習しておくと良いと思います.機械知能工学科の面接で口頭諮問が行われるかどうかについては最後まで情報を見つけられず,念のため軽く対策を行いました.口頭諮問のある他大学を受ける友人に質問をしてもらいました.わからない部分はその都度調べて理解するようにしました.

6月の第2日曜日,特別選抜の2週間前でしたが私は北大祭に行きました.お目当ての研究室が一般公開をしていたためです.学祭を楽しみたかったわけではありませんよ?受験生ですからね.この年はロケットの燃焼実験が行われず残念でしたが,研究室の方々と小一時間話すことができました.この日は北大の雰囲気をたっぷりと味わい,受験への士気が大いに高まりました.

一方,6月は学力対策にも時間を割く必要がありました.農工大の試験が北大特別選抜の3日後だったためです.というわけで私はこの時期にようやく農工大の赤本を買い,農工大英語の対策を始めました.詳しくは農工大の体験談に書いておきます.

平均勉強時間は7時間/日です(小論文・面接対策含む).

7月

7月4日,特別選抜の結果は不合格でした.
延長戦に突入しました.ここから一般選抜編の始まりです.

北大が最初の受験だったので,この時点ではどこにも受かっていませんでした.7月にもなると周りには進路確定している人が多かったです.併願校の農工大は物理が半分取れているか怪しかった上,倍率高かったので受かっている気がしませんでした.室工大の試験はこの後受けますが,学力試験なのに面接が配点の半分を占めていたので失敗する可能性もありました.

このような状況だったので全落ちを覚悟しました.このときの気持ちは正直に「どうしよう.北大無理かも.」が7割,「学力試験頑張るぞ」が2割,「人生面白くなってきたー!これは良い体験談が書けそう」が1割でした.
しかし,併願校の結果は冒頭に書いたとおりでした.

さて,不合格発表の日はまず数学の過去問を解きました.出来は10割でした.数学はある程度仕上がっていましたが,不安が残る複素関数だけ復習することにしました.また,7月中旬では物理6割,化学3割の出来具合でした.

ここで,各科目について解説しておきます.

数学

北大の数学は大問4つで構成され,試験時間は120分です.微分方程式は毎年出題され,行列,ベクトル空間,フーリエ級数や複素関数はたいてい出題されます.確率・統計は出題されたことがありません.ラプラス変換やベクトル解析はたまに出てきます.
徹底研究を解いていれば大問3つは完答できることが多いです.しかし,徹底研究だけでは応用数学への対策が弱いため高専の教科書を併用するのが無難です.また,過去問には高専の教科書や問題集の類似問題が出題されていることもあります.

正直,数学の難易度は低めです.高得点争いになることが予想されるため,解ける問題を落とさないことが重要です.試験時間は十分にあるので解きなおしや見直しを徹底する必要があります.

物理

北大の物理は基本的に力学,電磁気学,熱力学,波動の大問4つで構成され,試験時間は90分です.流体力学は私の知る限り,波動の代わりに1度だけ出題されたことがあります.物理は基礎的な問題が多いですが,範囲の広さが難しさの要因となっています.過去問を元に,それぞれの分野の問題を大まかに分けると次のようになります.

力学:物体の運動,剛体,振動,座標系変換,万有引力
電磁気:荷電粒子,コンデンサー,電磁誘導,RLC回路,ホイートストンブリッジ,その他回路
熱:カルノーサイクル,ピストン,分子運動論,その他サイクル(ディーゼル,ブレイトン,オットー,スターリングなど)
波動:薄膜,ヤングの実験,プリズム,レンズ,ドップラー効果,波の基本式
流体:ベンチュリ管,トリチェリの定理

毎年1つか2つの大問だけ難しい問題が出題されます.そのため,原理を理解し,式を導出できるようになることが大切です.また,試験時間に余裕はないため速さと正確性が求められます.

化学

中学レベルの知識から化学の勉強を始めた私の情報は信頼性に欠けるかもしれないということを前置きしておきます.北大の化学は高校化学が7~8割,大学化学が2~3割くらい出題されます.試験時間は90分です.無機化学では電子配置・混成軌道,酸化還元・電離,電気分解,電池,結晶構造,熱化学方程式,系統分析など,有機化学では立体化学を含む構造式,反応生成物,元素分析,高分子化合物,各種反応などが出やすいです.構造式と反応生成物はほぼ毎年出るというような傾向はありますが,最近はR7の半導体やR8の表面張力といった予測不能な問題が登場しています.機械系の受験生なら機械材料学を復習しておくのもありだと思います.

化学は数学や物理よりも勉強量が点数に繋がりやすい科目です.非化学系の学生はほとんど一から勉強を始めることになるので, 化学の配点が低いコースではこの科目を捨てる受験生もいるでしょう.しかし,だからこそ化学で点数差がつくのではないかと思います.

英語

ご存じの通り北大の英語はTOEIC提出です.募集要項にはTOEIC L&R 600点を100点満点の80点に換算すると書かれていますね.しかし,いったいTOEIC何点を取れば100点に換算されるのか気になりますよね.そこで,いくつかの有力な説を紹介します.

730点説
筑波大学の編入試験で730点が満点として換算されることに由来します.

750点説
横軸をTOEICの点数,縦軸を北大の換算点として,原点と600-80の点を通る直線を引くと750点が満点に相当するためです.

山口大学方式説
山口大学では北大と同じく,TOEIC600点が筆記試験の80点に換算されます.ただし,計算式が公開されており,結論から言うと990点が満点です.600点までは原点からの直線,600点以降は傾きが小さくなっています.山口大学の募集要項を読んでみてください.あとこの説は有力でもなんでもなく,私が勝手に提唱しているだけです.

7月からは「初歩から学ぶ基礎物理学 熱・波動」(高専の教科書)と「物理のエッセンス」(赤と青両方)を使い始めました.力学と熱は定期テストのときにさんざん勉強していたため,参考書では基本的に飛ばしていました.電磁気と波動はほとんど授業で扱っていなかったのでかなり力を入れました.化学は高校化学の教科書をひたすら進めていました.

一日の勉強としては,過去問を全教科一年分解き,化学,電磁気,波動の参考書を進めるということが多かったです.休日は朝起きてから夜寝る前まで13時間ほど机に向かっており,休憩時間や集中していない時間を除くと勉強時間は10時間になることが多かったです.受験初期は机に向かった時間の7~8割しか勉強時間にならないことに苦しみましたが,だんだん仕方がないことだと思い,無理に効率を上げるようなことはしませんでした.あと睡眠は絶対に削らないようにしていました.
参考書や過去問の間違えた問題には印をつけ,次に解く際は印のついた問題だけを解く,ということを徹底していました.

平均勉強時間は8.5時間/日です.

8月

数学はわんみんの微分方程式を少し解くことにしました.過去問では微分方程式が簡単であることが多いですが,多少難しい問題にも対応できなければ周りに差をつけられてしまうのではと考えました.
また,試験10日ほど前から高専の線形代数の問題集を復習しました.過去問を解いているうちに,平面の方程式あたりは徹底研究で対応しきれないと気付いたためです.もちろん,間違えた問題はもう一度解きました.

波動と電磁気はひたすら多くの問題を解き,なんとか戦える状態になってきました.電磁気の応用問題は最後まで苦手のままでした.
物理の参考書では波動と電磁気だけ解いていましたが,試験数日前に熱の分子運動論を復習しました.分子運動論を初見(あるいは忘れている状態)で正解にたどり着くのは非常に難しいと思います.

化学では,「化学基礎」を2周,「化学」を3周しました.また,大学化学の問題に対応するべく,「有機化学1000本ノック 命名法編」と「有機化学1000本ノック 反応生成物編」に取り組みました.命名法編は2日(10時間)で終わらせました.しかし,反応生成物編は私の前提知識が不足しているせいで理解が進まず,結局500問ほど解いたところでやめました.反応機構編を先に取り組めばよかったのかもしれません.どちらにしろ時間が足りませんでしたが…

過去問はほぼ2周しました.試験直前では,数学9割,物理7割,化学5割くらいの仕上がりでした.

平均勉強時間は10時間/日です.

試験当日

試験内容

特別選抜

小論文

令和8年度は,問1が空飛ぶクルマの実用化に向けた課題についての問題,問2が「挑戦すること」「失敗すること」「基礎学力を身につけること」について自身の経験をふまえて論じる問題でした.

問1は最初の10分でアイデアを出し,その後45分ほどで書き終えました.輸送機械は自動車,鉄道や航空機ばかり意識していたので空飛ぶクルマは想定外でした.私は無地の紙に書き慣れていなかったので,最初の数行だけ大きめの字で書いてしまいました.書き直す時間はないと判断してそのまま書き進めました.

問2も最初の10分でアイデアを出し,その後は50分ほどで書きました.私は自身の経験として中学~高専1,2年のことを書きましたが,今振りかえると高専での経験をもっと書いておけば良かったなと思います.
最後の5分で見直しをして終了しました.どちらの問題も解答用紙いっぱいに書くことができました.内容的にも練習以上の力を出せたと思っています.

特別選抜の予想点数は調査書6割,小論文9割,面接5割です.

一般選抜

1日目は試験会場に向かう途中でバスを乗り間違えた上,地下鉄が遅延していて焦りましたが無事間に合いました.1時間以上余裕をもって出発していて正解でした.

特別選抜の時と異なり一般選抜は面接が2日目なので,1日目は私服(フォーマルなもの)で受験しました.2日目はスーツです.

試験教室に入り座席表を見ると,受験者数は20人ほどでした.受験番号から予測して28人くらいだと思っていましたが,想像以上に少なかったです.
試験前の雑談にて,同じコースの受験生が某進学実績トップ高専だと知ったときは動揺しました.だんだんと不合格が現実味を帯びてきました.しかし,特別選抜に落ちたときからすでに覚悟はできていたはずです.自分にできるのは,ただ目の前の問題に集中することだけでした.

数学

難易度はそこまで高くありませんでしたが,傾向が変わった印象でした.

問1は平面の方程式についての問題でした.設問は3問です.設問2, 3は解法がすぐに思いつかなかったので飛ばしました.(雑魚すぎる)

問2は行列の問題でした.設問は3問です.設問1, 2はかなり簡単な答えが出たのでかえって不安になりました.問3は飛ばしました.

問3は微分方程式でした.設問は2問です.設問1は例年と異なり,ただの計算問題ではなく曲線の一般形を求める問題でした.解けそうで解けなかったです.設問2は例年通りの計算問題でしたが,明らかに難しかったです(設問2が微分方程式だったため設問1も微分方程式を扱う問題であると予測できた).試行錯誤してなんとか解くことができました.

問4はフーリエ級数の問題でした.設問は2問です.問1~4の中では唯一過去問と同じ出題形式でした.解きやすくて実家のような安心感でした.

60分経過時点でとりあえず最後の問題まで来ましたが半分くらい解けていません!このままでは最初の科目でゲームオーバーです.
そんなことを思いましたが,落ち着いて一問ずつ解いていくと9割解けました.危なかった…!問3設問1だけは最後までわかりませんでした.ちなみに後日解き直しをしたところ問2の証明問題で減点が見つかりました.

この試験で感じたのは,幅広く勉強しておいて本当に良かったということです.平面の方程式は念のため追加の問題集を使って対策していましたが,もしもこの判断を間違えていたら問1はまるごと落としていたでしょう.また,北大の微分方程式はこれまで簡単なものがほとんどでしたが,難化して冷や汗かかされました.

予想点数は8.5~9割です.

物理

問1は力学で斜方投射の問題でした.今年は壁が追加され,変形量を求める計算問題も出題されました.完答できました.ただ,解答欄が微妙に小さかったため答えのみを書くのか計算過程も書くのかが不明でした.力学では結局,試験終了間際に計算過程を消して提出しました.

問2は熱で定積・断熱変化の問題でした.最後の設問6で等温線の書き方を間違えました.

問3は電磁気で,内部抵抗ありの可変抵抗の問題でした.直流です.電池の最大電力を求める問題は計算を間違えて答えが0になってしまったため,各電流値での電力をグラフにプロットして力づくで最大電力を求めました.

問4は波動で,設問1が語句問題,設問2が屈折の法則に関する問題でした.物理のエッセンスや基礎物理学演習をやっていれば語句問題は全て解けると思います.設問2はこの年の物理で最も難しい問題でした.私は1問目で計算ミスして正しい式を出せなかったため,それ以降の問題も解けませんでした.というか時間が足りなかったです.

予想点数は7割です.

化学

問1は亜鉛に関する問題でした.半分は解けました.
結晶構造は体心立方か面心立方しか出ないだろうと思っていたので,今年は六方最密構造が出題されて焦りました.図を描くところから始めたので時間はかかりましたが,配位数と単位格子当たりの原子数を導くことができました.

問2は液滴の表面張力に関する問題でした.これは7月のところで前述した予測不能問題です.遠い過去に機械材料学の授業で扱った記憶がありましたが,式は全く導けませんでした.全滅です.

問3は二酸化炭素に関する問題でした.メタノールの完全燃焼の化学反応式と,二酸化炭素の固定法についてです.化学的な固定法は当然知らなかったため,CCS(Carbon dioxide Capture and Storage,地中に固定する方法)と書きました.

問4は構造式,酸性度,反応生成物の問題でした.構造式は6/8答えられました.酸性度の並べ替えはひっかけ問題ではないと信じて素直に答えました.反応生成物はあまりわからなかったです.

問5は元素分析の問題でした.完答できました.

問6は核酸(DNAとか)に関する問題でした.全て語句を答える形でしたが,1/3くらいわからなかったです.残り2/3を答えられたのは毎晩寝る前に布団の中で「アデニン,グアニン,シトシン,チミン」などと唱えていたおかげです.

ゆっくり解きましたが30分ほど余りました.
予想点数は6割です.

筆記試験全体において,わからなくても何かしら自分の思考を解答欄に書くようにしていました.少しでも可能性があるなら途中点をもぎ取る意識が大切だと思います.

面接

特別選抜

小論文の後は2時間の昼休みを挟んで面接です.私は大学構内のセコマで昼飯を買いました.買いに行く時間がもったいない,面接対策に時間を使いたいという人は予め昼飯をもってくるのがいいと思います.時間になると学科やコースごとに呼ばれて待合室に移動しました.面接の順番は受験番号通りでした.受験番号はおそらく家が遠い順です.私の番号は学科で最後だったので1時間半待ちました.他の人が呼ばれる時間間隔を記録していたのですが,面接時間はほぼ全員15分でした.

部屋に入るときは面接官の人が先にドアを開けてくれました.ここからは実際のやりとりを再現したものです.順番は多少前後してるかもしれないです.

私「失礼します.」(お辞儀してない)
面接官は4人でした.私から見て左の面接官から順に面接官1, 2, 3, 4と書きます.
面接官2「受験番号を教えてください.」
私「OO番です.」

対戦開始.

・志望動機
面接官2「志望動機をお聞かせください.」
私「私は〇〇〇研究室に興味があるので北海道大学を志望しました.北大はエネルギー関係の研究が~~~以下略.」
面接官2「エネルギー関係の研究が盛んって具体的には?」
私「〇〇〇研究室とかです.」
面接官2「ふーん.」
面接官1「小論文の内容からもうかがえますが,航空機が好きなんですね.航空機のどのようなところに惹かれますか?」
私「~~~(無駄の多い話)で,機能がつまっているところです.」

・卒業研究
面接官2「あなたの卒業研究について説明してください.」
私「私の卒業研究テーマはテスラバルブに関する~~~です.テスラバルブは〇〇〇なバルブで,私は~~~について研究しています.」
面接官2「私はテスラバルブについて詳しくないのですが,どのようなものか仕組みを説明してください.」
私「(身振り手振りで説明)」
面接官2「わかりました.ちなみに,なぜテスラバルブと呼ぶのですか?」
私「ニコラ・テスラさんが発明したものだからです.」
面接官2「なるほど.電気と関係あるとかではないんですね.」
私「はい.」

・小論文
面接官2「小論文の出来はどうでしたか.」
私「失敗はしなかったと思います.」
面接官2「小論文のテーマに『失敗』が入っていたけどそのことについて話してください.」
私「(中略)失敗から学べることは多いと思います.」
面接官2「では小論文から学んだことはなかったということですか?」
私「……」
面接官2「冗談ですよ」
私「ハハ…」

・進路
面接官2「学部卒業後の進路はどのように考えていますか.」
私「修士までは行くつもりです.博士は修士を経験してから考えます.ですが,どちらかというと行きたいです.」
面接官2「もし博士修了した後は?」
私「航空宇宙開発してる企業に入りたいです.」

・併願校
面接官2「北大の特別選抜に落ちたらどうしますか?」(フラグ)
私「東京農工大学と室蘭工業大学を併願しています.あと北大の一般選抜受けます.」(思い出したように北大一般選抜を付け加えるのは良くなかった)
面接官2「農工大と室工大はもう受けたんですか?」
私「これからです.」

・成績
面接官1「3年から4年にかけて成績上がりましたね.何があったんですか.」
私「勉強しました.」(大学教授の前で自分の努力を語るのは滑稽だ,とか思ってこの一言だけ)
面接官1「何かきっかけはあったんですか?」
私「4年の夏休みに〇〇教授の研究室にインターンに行ったことです.」
面接官1「その後頑張ったんですね.」
私「はい.」
面接官2「え,2学期から頑張ったんですか?」
私「いえ,前期の定期試験は夏休み後でしたので.」
面接官2「なるほど.間に合ったんですね.」
面接官3「2, 3年の勉強には興味なかったということですか?北大は全学教育を重視していますが,専門以外の科目は重要ではないということですか?」
私「いいえ.例えば,航空機では環境性能が問われますし,旅客機開発では黒字化できるかどうかの判断のために経済学を使います.」
面接官3「なるほど.」
面接官4「2, 3年の成績悪いですけど何してたんですか?」
私「趣味に没頭してました.」
面接官4「どんな趣味?」
私「〇〇〇です.」
面接官4「ふーん.」

・高専に入った動機
面接官4「自宅から高専まで遠いですが,なぜ高専に入ったのですか?」
私「私は中学生の時からエンジニアを目指していて,高専では専門的に学ぶことができるからです.」
面接官4「(微妙な反応)」
面接官2「最後まで待たせて悪かったね.これで終了です.」
私「あ,ありがとうございました.失礼します.」(リュックサックを片方の肩にかけ,逃げるように退出.面接官1がドアを閉めてくれた.お辞儀してない.)

帰りの地下鉄の中で速攻,記憶が新しいうちに面接での会話をメモしました.これを読んでいるあなたも受験の際には,面接が終わったらすぐにメモしておきましょう!

一般選抜

2日目の面接ではTOEIC IPのスコアシートを受付に提示します.公開テストのスコアを提出した方は不要です.私のときは面接室に入る時もスコアシートを持っていきました.

一般選抜の面接内容は少し要約して書いていきます.

今回も私の順番は最後でした.他の受験生の面接時間は10分が多かったですが,5分で終わっている人もいました.受験票とTOEIC IPのスコアシートを手に持ち面接室に入りました.面接官は3人で,特別選抜の時と同じメンバーでした(1人少なくなってるけど).部屋に入り挨拶をした後,面接官の内の一人にスコアシートを手渡しました.受験番号や名前を言った後,スコアシートの確認が終わり返却されました.ここから対戦開始です.

・志望動機
特別選抜の時の志望動機を少し変えて,希望の研究室を全面的に押し出しました.
→希望の研究室は人気だけど…

・他の研究室
→その研究室でやってること何か知ってる?
私:こんなことやってます
→うん,合ってますね.

・卒研
メインの面接官に発表会の質疑応答のように深堀りされました.私は知りうる限りのことを話し議論しました.最後はサブの面接官がメインの面接官に対し,それは見当違いなんじゃないかみたいなことを言って切り上げました.

・試験について
→試験の出来はどうでしたか.
私:波動の計算問題で間違えたことにより,夜はあまり眠れませんでした.

・英語
→航空宇宙分野なら特に英語大事だよね.TOEICの点数微妙だけど,これから伸びしろありますか?(謎質問)
私:はい.がんばります.(そうとしか言えない)

・成績
→3年次の成績悪かったようですが(直球),どういうことですか?
私:元々は就職しようと考えていました.進学目指してから成績上がり始めたので,目的を持つことは非常に大切だと思います.

・通学
→遠距離通学は大変ですよね.
私:絶対休まないようにしていました.
→その話特別選抜のときにも聞きましたよ.
→じゃあいいか.(深堀りなし)

・進路
→将来どのような道に進むことを考えていますか.
→どこの企業を考えていますか.

・調査書
→この調査書は先生に全部書いてもらったんですか?
→調査書の内容は見たことありますか?
→内容には満足していますか,それとももっと書いてもらいたかったですか?
私:もっと書いてもらいたかったです.
→それはどういう点が?
私:北大インターンのことは書いてもらいたかったですね.
(私が担任に提出した自己PRを参考に調査書を書いてもらうという方式でした.私は特別選抜のときの調査書の内容を見ていませんでした.一般選抜の調査書も特別選抜と同じ内容で提出しました.調査書の内容を見たのは一般選抜の願書を出した後です.)

特別選抜のときよりも面接官は優しくなっていました.結局,特別選抜も一般選抜も面接で口頭諮問や英語での質問は出題されませんでした.

一般選抜の結果は合格でした.これにて受験終了です.

後輩に伝えたいこと

受験者数や合格者数といったデータを書いていきます.これらの情報は実際に私が受験会場でメモしたり,インターネットの体験談や学校に保管してある体験談から集めたりしたものです.令和8年度以外はほとんど工学部全体のデータのみです.不備や間違いがありましたらご連絡ください.
以下,合格者数 / 受験者数

令和8年度(令和7年度実施)
特別選抜
工学部全体:22/42
応用物理工学コース:1/2
応用化学コース:3/6
応用マテリアル工学コース:1/1
情報理工学コース:2/4
電気電子工学コース:2/3
生体情報コース:1/1
メディアネットワークコース:1/3
電気制御システムコース:2/4
機械情報コース:2/4
機械システムコース:1/3
社会基盤学コース:5/5
建築都市コース:0/5
国土政策学コース:1/1
環境工学コース:0/0
資源循環コース:0/0

(会場で受験者数メモしてる時間あったら試験対策しろよ…)

一般選抜
工学部全体:10/18 (19?)
応用物理工学コース:1/2
応用化学コース:1/2
応用マテリアルコース:0/0
情報理工学コース:1/3
電気電子コース:2/2
生体情報コース:1/1
メディアネットワークコース:0/1
電気制御システムコース:0/0
機械情報コース:1/3
機械システムコース:2/2
社会基盤学コース:0/0
国土政策学コース:0/0
建築都市コース:1/2
環境工学コース:0/0
資源循環コース:0/0

ちなみに志願者数は23人でした.

令和7年度
特別選抜:22/(受験者数不明)
一般選抜:10/(受験者数不明)

令和6年度
特別選抜:22/54?(機械知能工:4/13)
一般選抜:不明

令和5年度
特別選抜:22/59
一般選抜:不明

令和4年度
特別選抜:22/50
一般選抜:10/40?

令和3年度
特別選抜:不明(機械知能工:4/11)
一般選抜:不明(情報理工学:1/13)

令和2年度→不明

平成31年度
特別選抜:19/40~50
一般選抜:10/40~50

平成30年度
特別選抜:不明
一般選抜:10/50?(機械知能工:3/15~20)

平成29年度
特別選抜:不明
一般選抜:10/61~62

平成28年度→不明

平成27年度→不明

平成26年度
特別選抜:21/54(機械知能工:2/10)
一般選抜:10/57

平成25年度
特別選抜:不明
一般選抜:10/60

合格者数は基本的に特別選抜22人,一般選抜10人となっているようです.

長文を最後まで読んでいただきありがとうございました.受験は選択の連続であると思います.合格した人の選択が最善とは限りませんし,最善を尽くした人が不合格になることもあるでしょう.出願状況や試験内容は毎年変動します.体験談を信じすぎず,自分はどう動けばいいのか考えてみてください.選抜試験においては他の受験生と比較されます.ライバルと差をつけるにはどうすればよいのか,ということを常に心に留めておいてほしいです.

編入を目指したなら,まずは徹底的に情報を集めてください.志望校選び,参考書選び,勉強計画,時間の使い方などで後悔のない選択ができるはずです.

オススメの参考書

使用した参考書をまとめておきます.これまでの文章と被っている部分もありますが気にしないでください.各教科の参考書は重要度順に書いています.

数学

編入数学徹底研究(桜井基晴,金子書房,2020)

受験のために買った数学の参考書はこの一冊だけです.4年10月~5年8月の期間使い,2周半しました.広い範囲をカバーでき,最初から最後まで頼りになる万能型の参考書です.北大受験生の場合確率は2周目以降飛ばしてもいいと思います.傾向の変化に対応するという点においては,1度だけでも解いておくことが有効です.他の編入数学シリーズは学校の図書館にあったものを数ページ解いた程度です.

物理

基礎物理学演習I(永田一清,サイエンス社,2021)

そこそこ難しくて時間はかかりますが解く価値はあると思います.ただ,いきなりこれに取り組むのではなく,他の易しい参考書で基礎力をつけてから使うことをおすすめします.受験は時間との戦いなので,これに時間を使いすぎるのも良くないです.使用期間は4年3月~5年8月です.0.8周しました.第1編の質点系と剛体の力学の部分は,学校の授業や試験ですでに学習していたので飛ばしました.

物理のエッセンス 熱・電磁気・原子(浜島清利,河合出版,2021)

高校生向けの参考書ですが,解説がわかりやすかったため苦手分野を克服することができました.使用期間は5年7月~8月です.電磁気の章を4周しました.熱は学校ですでに学習していましたが,分子運動論の部分だけ1周しました.原子には触れていません.

物理のエッセンス 力学・波動(浜島清利,河合出版,2021)

こちらも苦手克服にとても役立ちました.使用期間は5年7月~5年8月です,波動のみを3周しました.

基礎と演習 理工系の電磁気学(高橋正雄,共立出版,2023)

ほとんど簡単な問題しか載っていません.ゼロから電磁気学を始めた私にとってはちょうどいい難易度でした.使用期間は4年2月~5年8月です.3周しました.

初歩から学ぶ基礎物理学 熱・波動(大日本図書,2022)

高専の教科書です.問題集の方もあわせて使い,波動を2周しました.熱は分子運動論だけ1周しました.必要な内容がコンパクトにまとめられているので便利でした.問題集には編入試験問題が掲載されている点も良かったです.

ファインマン物理学I 力学(R. P.ファインマン著,坪井忠二訳,岩波書店,2022)

参考書というよりは読み物です.初めて読んだときは感動しました.物理学の面白さに惹かれることでしょう.巻末の演習問題には手をつけませんでした.使用期間は4年12月~4年2月です.

化学

化学基礎 改訂版(斎藤烈,藤嶋昭,啓林館,2020)

低学年のときに使っていた教科書です.始めは1周読むだけ,その後は章末問題を2周解きました.使用期間は4年10月~5年8月です.

化学(斎藤烈,藤嶋昭,啓林館,2021)

こちらも低学年のときに使っていた教科書です.章末問題を3周解きました.周回するごとに本文を熟読していました.化学基礎と合わせてしっかり勉強すれば試験で半分は取れると思います.過去問でわからなかった部分を確認する際に重宝しました.使用期間は4年2月~5年8月です.

1000本ノック 命名法編(矢野将文,化学同人,2025)

命名法の問題が1000問載っていますが,2-メチルプロパン,2-メチルブタン,2-メチルペンタン…のように規則的に出題されるので頭を使わなくても解けてしまいます.そこは改善してほしいところですが,初心者の私はこの本で命名法を手に覚えさせることができました.北大の大学化学では命名法と生成反応物が高確率で出題されるので,対策しておけば確実に点数を稼ぐことができます.試験直前の夏休み,このことに気づいた次の日に本屋で買ってきて10時間(2日)で終わらせることができました.化学の1割程度を10時間の勉強で取れるならやる価値はあると思います.使用期間は5年8月です.

1000本ノック 反応生成物編(矢野将文,化学同人,2024)

命名法編を終わらせた後に追加で買ってきました.こちらは命名法編のようにスラスラ進まず,半分の500問解いたところで放棄しました.試験直前の勉強時間をどう使うかという点においては妥当な判断だったと思います.使用期間は5年8月です.

小論文

大学院・大学編入学 社会人入試の小論文 [改訂版](吉岡友治,実務教育出版,2016)

小論文の本質を突いた一冊です.例題が豊富なので小論文への理解が深まりました.編入試験の小論文に対しては最良の本だと思います.機械知能工の小論文対策は2章まで読めば十分です.使用期間は5年3月~5年6月です.