編入体験談

2026年:東京農工大学 応用化学科

自己紹介

名前:たん
出身高専:某高専 材料工学科
学科順位:1年次:4位 2年次:6位 3年次:2位 4年次:16位
受験年:2025年
受験大学(受験科目):東京農工大学・応用化学科 数学、英語、口述試験(専門科目)
併願大学:東京都立大学、東京科学大学
部活や資格:TOEIC815(4年生3月)

なぜ編入をしようと思ったか

高専入学時から漠然と編入を考えていました。4年生のインターンシップにて自分が希望する職種に就くためには博士号が必要だと分かり、大学編入を決めました。

学年ごとの勉強内容

1~3年

定期テストのための勉強をしていました。部活動もアルバイトも人並み程度に取り組んでおり、テスト期間に入ったらがっつり勉強するというスタイルでした。

学校の勉強以外だと、2年生の時に英検2級を取得しました。

3年生まではクラス順位が一桁に入るよう努力していたので、推薦受験も視野に入れて大学調べをしていました。お世話になった部活の先輩に進学される方が多かったので、少しずつ情報を得ていきました。3年生の冬休みに金フレと出る1000を始め、1月にipで625を取得しました。

4年前期

私が所属している部活動では4年生が中心となって運営を行うのですが、私の代は活動人数がとても少なく、部活動の仕事に追われていました。進学希望者向けに開講されている授業(数学と物理)を取っていましたが、正直全く勉強できないまま前期を終えました。私の勉強不足と周りの子の追い上げでクラス順位も一気に下がり、推薦受験はできないかもしれないと思い始めました。TOEICは受けていましたが、それ以外の受験勉強はしていませんでした。4月のipが565、公開が600、6月のipが665、7月の公開が640でした。

4年後期

夏休みで部活動に一区切りがついたので受験勉強のために休部しました。

しかし、驚くほど勉強していませんでした。推薦の可能性を捨てきれず、少しでも順位を上げようとテスト勉強はしていました。年内にTOEICを終えることを目標としており、11月のipで530、公開で725を取りました。ここで終えて受験勉強に全振りすることも考えたのですがどうしても満足できず、3月の公開で815を取ってTOEICを終えました。公開の次の日、3月2日から受験勉強を始めました(遅い)。

3月

平均勉強時間は4時間でした(少ない)。主に有機化学と数学、英単語を中心に勉強しました。内訳は以下の通りです。
・有機化学演習(30時間)
・徹底研究(27時間)
・東工大数学過去問(14時間)
・東工大の英語(10時間)
・システム単語帳(6時間)
・東工大化学過去問(4時間)
・福間の無機(2時間)

5年前期

本格的に受験勉強を始めました(本当に遅い)。過去問を見ながら必要な範囲を参考書や演習書で勉強していきました。通電車通学の時間が長かったので単語に充て、放課後は研究室に残って勉強していました。農工大の英語過去問が手に入らなかったので、東工大の赤本と東工大の編入過去問で対策しました。化学の過去問は13年分、数学の過去問は8年分解きました。口述試験対策として、過去問でできなかった問題を有機化学、無機化学、物理化学に分けて一冊のノートにまとめていました。月ごとの勉強内容を次に示します。

4月

平均勉強時間は6時間でした。授業中も受験勉強に全振りしていました。有機化学と英文法を中心に勉強し、過去問が解けるようにしていきました。内訳は以下の通りです。
・有機化学演習(50時間)
・英文解釈技術100(21時間)
・詳解微積分演習(20時間)
・システム単語帳(18時間)
・都立大化学過去問(16時間)
・東工大数学過去問(13時間)
・東工大化学過去問(12時間)
・無機化学演習(8時間)

5月

平均勉強時間は8時間でした。有機化学は充分勉強できていたので、物理化学と無機化学を中心に勉強しました。無機化学はいろいろな大学の問題を解きながら覚えていきました。システム単語帳を覚えたので鉄緑会の単語帳始めました。内訳は以下の通りです。
・化学熱力学中心の基礎物理化学(55時間)
・都立大化学過去問(40時間)
・農工大化学過去問(36時間)
・有機化学演習(35時間)
・無機化学過去問(色んな大学)(21時間)
・東工大の英語(13時間)
・鉄緑会東大英単語熟語鉄壁(12時間)
・東工大化学過去問(10時間)

6月

平均勉強時間は7時間45分でした。農工大対策の数学を始めました。内訳は以下の通りです。
・農工大数学過去問(42時間)
・農工大化学過去問(40時間)
・都立大化学過去問(40時間)
・口述試験対策(25時間)
・東工大の英語(8時間)
・化学熱力学中心の基礎物理化学(8時間)

試験当日

試験内容

午前中に数学、英語の筆記試験が行われました。

数学

例年通りでした(極値、重積分、行列、微分方程式)。難易度は高くないので満点を取る気概で臨みましょう。残り5分で大問2の楕円の面積を求める重積分の積分範囲を誤ったことに気づき急いで修正しようと努めましたが、時間が足りなかったのでこの問題は落とした自覚があります。それでも部分点h与えられると思うので、最後まで粘ることをお勧めします。

英語

東工大の過去問しか触れてこなかったので本番で初めて形式を知りました。記号選択と語群並び替えが多く、完答しないと得点にならなさそうでした。個人的に捉えにくい内容の長文2つでしたが、なんとか埋めました。

面接

今年度から応用化学科では理科の筆記試験がなくなり、口述試験のみで配点が倍になりました。午後から学科ごとの控室に分かれて待機し、私語厳禁というような雰囲気でした。時間は移動も含めて厳密に組まれており、一部屋当たり 10 分ですべての問題を解くことが要求されました。試験官の誘導に従って有機化学、無機化学、物理化学、人物面接の順に部屋を移動しました。専門科目の試験官は1人、人物面接の試験官は2人でした。

有機化学

  1. Ph-CH2-Cl と(CH3)3-CH2-Cl SN2 反応が早く進むのは?その理由は?
  2. ベンゾフェノンからジフェニルメタノールを合成する際の試薬として適切なのは、
    NaBH4 と銀/塩酸のどちらか?その理由は?
  3. 2-メチルプロペンに酸性条件で加水分解したときと塩基性条件でボランを付加したときの構造の違い

無機化学

  1. VSEPR 則に基づいて BrF4-の構造を予測
  2. 0.10mol 安息香酸に 20ml に 0.10mol 水酸化ナトリウム溶液を 20ml 加えた時の pH は?(安息香酸の pH と log2、log3 は与えられている)

物理化学

  1. Cp,m=a+bt+c/T2 が与えられている。定圧下で T1→T2に昇温したときのΔH,m の式を導出して説明
  2. ファンデルワールス状態方程式とヴィリアル状態方程式を書いてそれぞれ説明
  3. 第2ヴィリアル係数を求めよ
  4. ボイル温度について説明

人物面接

  1. 志望動機
  2. 興味のある研究室について
  3. 学部卒業後の進路について→(研究者になりたいと答えたので)研究所で働きたい?大学?
  4. 中学の時に高専を選んだ理由は?
  5. 4年生で成績下がってるのはなぜ?
  6. 上京は金銭的に大丈夫?
  7. 併願校はどこか?すべて合格したらどこに行く?

専門科目の出来は壊滅的でした。とにかく緊張しました。解いた答えだけでなく自分の考え方を論理的に説明する能力が求められるため、普段の勉強から「なぜそうなるのか?」を大切にしていくと自分の力になると思います。また、少しでも多く自分の知っていることをアピールした方がいいと思います。私は物理化学でヴィリアル状態方程式がかけず雪崩式に②③が解けなかったのですが、ボイル温度の代わりに臨界温度について説明しました。有機・無機では理由となる考え方を丁寧に説明すると、理解しているなと思ってもらえると思います。

後輩に伝えたいこと

高専のいいところの1つは、進学校とは違って高校生年代の3年間を自由に使えるところだと思います。もちろん低学年の頃からコツコツと努力を積み上げている方々には尊敬で頭が上がりませんが、せっかくなら効率よく合格できるような勉強方法を自分なりに考えてみると良いと思います。

オススメの参考書

  • 有機化学演習
  • 化学熱力学中心の基礎物理化学
  • システム単語帳
  • 鉄緑会東大英単語熟語鉄壁
  • 編入数学徹底研究
  • ポレポレ英文読解プロセス50(個人的に英文解釈の技術100よりも解説が分かりやすかった)