編入体験談

2024年:豊橋技術科学大学

自己紹介

名前:あまおう
出身高専:某高専 機械工学科
学科順位:1年:20位、2年:25位、3年~5年:Dラン ※3~5年は順位が数字ではなくA~Eの5段階で評価されました
受験年:2023
受験大学(受験科目):英語(独自試験)、数学、国語、専門科目
併願大学:山口大学 工学部 機械工学科(合格)、大阪公立大学 工学部 機械工学科(不合格)、熊本大学 工学部 機械数理工学科(未受験)
部活や資格:TOEIC L&R590点取得(22年3月)

なぜ編入をしようと思ったか

はじめに、僕は他の人と違って卒業時に進路が決まっていませんでした。つまり浪人して編入試験に臨みました。一般的に、高専➡大学の編入で全落ちした人は就職を選ぶことが多いと思います。しかし僕は、どうしても大学に進学したかったことや高専卒で就職すると非常に後悔するのではないかと考え、浪人を選びました。

そのほかの志望理由は以下の通りです。

  • 「機械」というものをもっと広義的に学びたかった
  • 愛知県に位置しており、就活を有利に進められる
  • 院進学がほぼフリーパス

科目ごとの勉強方法

数学

豊橋技術科学大学の数学は例年次の出題になってます。
【線形代数、積分の計算、偏微分の小問集合、確率、微分方程式】
※出題傾向が一気に変わることも想定したうえで勉強してください。
※1変数の積分計算も含みます
※確率は高校範囲です

高専を卒業する直前まで、大阪大学(基礎工学部)の編入を意識してたので豊橋技術科学大学用の対策はしてませんでした。
対策としては数学の問題集の他に、僕は編入予備校に通っていた関係で宿題としていろんな大学の過去問題を解いてました。過去問は2年間解いただけです。

問題集は次の3冊を用いました。

  • 編入数学徹底研究
  • 大学編入のための数学問題集
  • 細野真宏の確率が本当によくわかる本
編入数学徹底研究

編入したい人はおそらくほとんどの方が持っているであろう問題集です。微分積分、微分方程式、線形代数の範囲を2周しました。(ただし、2周目は間違えた問題のみ)

大学編入の数学問題集

これは4年時の授業で用いられたものなんですが、はっきり言って上記の徹底研究より難易度高いです。さらに、この問題集は「大日本図書」の教科書で数学を履修してきた方を前提に作成されています。もし大日本図書の教科書で履修していないならば、「編入数学過去問特訓」や森北出版の「大学編入試験問題 数学/徹底演習(第3版)」を用いるようといいでしょう。

この問題集も微分積分、微分方程式、線形代数の範囲を2周しました。

細野真宏の確率が本当によくわかる本

最初に確率を勉強するのに用いた参考書です。正直これ一冊をこなせば技科大の対策は十分だと思います。旧帝大併願する人は物足りないかも…

過去問

過去問は本番2ヶ月前に初めて解きました。よくある勉強法として、最初に過去問を解くことが挙げられます。ただ、正直なところ基礎固めもできていないのに過去問を解いても僕は全く意味がないと思います。ある程度基礎ができてから解くことで足りていない分野やもっと勉強するべき分野が見えてくるのではないかと思います。
過去問は2年分を2周しました。

物理

特になし

化学

特になし

英語

豊橋技術科学大学は独自の英語試験があります。ただ、問題の難易度はそれほど高くないのでTOEICの勉強に単語と文法の復習をすると良いと思います。
ただ、例年長文問題が出題されているので長文問題が苦手な人は必ず対策するようにしてください。
長文に関して、私は過去問のみで十分でした。

TOEIC関連以外で用いた参考書は次の通りです。

  • Next Stage(ネクステージ)
  • 英文法・語法問題GRAMMAR MASTER(グラマスター)
  • 総合英語EMPOWER Mastery
Next Stage

後述するグラマスターと類似の問題集で、主に英文法と語法の定着を図るためのものです。グラマスタ-と比べてネクステージのほうが難しいです。それ以外の違いはありません。なので、時間がない人はいきなりネクステージから始めても大丈夫だと思います。
ただ、TOEICの対策してる人だと、必要ない人が多いかもしれません。

英文法・語法問題GRAMMAR MASTER

ネクステージよりもこちらの方が易しい問題集になります。ネクステージを使わずにこれだけを用いるのもいい戦略だと思いますし、技科大の英文法対策には必要十分な量が揃っているでしょう。こちらも、TOEICの対策してる人だと、必要ない人が多いかもしれません。

総合英語EMPOWER Mastery

これは3年の時に、コロナ禍で自宅学習が増えた際に用いた参考書です。
これ一冊で英文法の基礎を固められますし、中学の英文法も載っているので中学の復習にも使える万能な参考書です。余裕がある人のみ使うといいでしょう。

専門科目

機械工学課程の専門科目は例年次の出題になってます。
【材料力学、熱力学、流体力学、材料学、機械加工学】

併願していた大阪公立大学で専門科目が試験範囲であったことから、豊橋技術科学大学用の対策は材料学と機械加工学のみしました。
力学関係は大阪公立大学の対策で必要十分でした。
過去問は2年間を2度解いただけです。

技科大の専門科目は授業で用いた教科書だけでほとんど乗り切れますが、一応私が使用した問題集を掲載しておきます(力学関係のみ)。
材料学と機械加工学は各高専で使用した教科書で大丈夫です。最終的に暗記に辿り着くので。

使用した問題集(力学関係のみ)

  • 材料力学Ⅰ・Ⅱ (森北出版)
  • 熱・統計力学演習 (サイエンス社)
  • 演習で学ぶ「流体の力学」 (秀和システム)
材料力学Ⅰ・Ⅱ

材料力学の授業で用いた教科書です。問題の数が非常に豊富でこれ1冊あれば対策できます。Ⅰが中心で、Ⅱは曲り梁の問題のみ解きました。

熱・統計力学演習

学校で用いた熱力学の教科書が数値代入ばかりだったので購入しました。熱力学関数までやっておくといいでしょう。統計力学はやる必要ありません。

演習で学ぶ「流体の力学」

かつて”演習で学ぶ「流体の力学」入門”という名の問題集が発売されており、それからポテンシャル流れや次元解析、ナビエストークス方程式の問題が削除されたものになります。難関大学だとポテンシャル流れや次元解析は出題される可能性があるので演習でやっておく必要があるのに記載が消えてしまいました。つまり前より使いにくくなってしまったので、それらの対策をしたい場合は別の問題集も追加で買ってください。

試験当日

試験内容

英語

長文問題と品詞問題、文法問題、並べ替え、リスニングが1つずつ出題されました。これと言って難しい問題はなく、過去問の傾向通りでした。
長文問題に50分ほど時間を使えるので焦る必要はないと思います。
品詞・文法問題も基本単語さえ覚えていれば十分解ける問題でした。
出来は75%ほど。

数学

概ね過去問通りでしたが、線形代数は線形変換に関する問題が出題されました。勘で解いたので0か100です。そのほかはほぼ満点取れているので、80~90%の出来だと予想してます。

国語

文章読解が1つになりましたが量は非常に増えました。関関同立の入試問題ぐらいあるのではないかと思います。それでも時間が60分しかなく、文章読解は45分ほどしか使えないのでハードでした。出来は60%ほど

専門科目

①流体力学

定常流れの流速や流量を求めたり、運動量保存則を用いて力の大きさを求める問題が出題されましたがあまり出来が良くありませんでした。

②熱力学

前半はポリトロープ指数から何の状態変化なのかとその理由も求める問題、後半はポリトロープ比熱のグラフを描く問題が誘導形式で出題されました。教科書の内容を理解していれば十分でしょうか。出来はほぼ満点だと思います。

③材料力学

不静定問題が出題されました。誘導形式で棒の応力を求める問題で、授業の教科書で類似問題があったのですぐに解法が思いつきました。満点予想です

④材料力学・材料学

前半は応力ひずみ曲線から小問が5つ、おもに材料力学と材料学の内容が混合していました。後半は平衡状態図の読み取り問題。暗記と理解が試される問題でした。
暗記の部分は概ねできましたが、平衡状態図は勉強不足でした。

出来は全体で70%ほどではないかと予想してます。

面接

豊橋技術科学大学は面接がありません!!!
なので面接苦手な人はメリットが大きいです。
※長岡技術科学大学はあります。

後輩に伝えたいこと

全体

編入したい大学とその学部は早めに決めておきましょう。理想は4年の夏、遅くても秋には決めて受験勉強を始めるといいでしょう。
大学受験の勉強はかなり大変なので、適度に息抜きすることを勧めます。

浪人について

僕は大学編入で浪人を経験しました。浪人するのは悪くないと思いますが、様々な不利益を受けます(後述)。

個人の考えとして大学編入の浪人は留年と同じだと思います。大学編入の試験範囲は主に大学1年、2年で習う内容であるため、編入試験に合格できない=大学での学びが身についていない証になってしまいます。それは大学の定期試験で例えると点数が悪くて単位が認定されず留年してしまった事と同じです。

浪人ができない、またはしたくないけど進学希望で国公立&技科大&専攻科全滅してしまった人は私立大学を受けるしかありません。正直なところ、自校の専攻科に落ちた人はMARCH・関関同立レベルの私立大学も合格できるかどうか怪しいと思います。
学費の面を含め、様々なリスクとリターンを考慮したうえで浪人の決断をしてください。

浪人における有利・不利な点

浪人することのメリットとデメリットを挙げておきます。

メリット
  • 浪人をすることでさらに難関大学にチャレンジできる
  • どうしてもその大学に進学したい場合、合格可能性を高められる
デメリット
  • 推薦試験を受けることは原則不可
    • 推薦試験は卒業見込みのがくせいでなければ受験資格が与えられないことがほとんどです。推薦入試でしか入学できない大学(ex:九州工業大学の一部の学部学科、豊田工業大学)は浪人した瞬間、受験資格を失います。どうしてもexで挙げた大学へ進学したい場合は大学受験で1年次から入学をしなければならないので気を付けてください。
  • 編入試験が終わったら暇になる
  • ほとんどのクラスメイトが進路決まった中で勉強するのが大変
  • 浪人が不利に作用する場合がある
    • 大学編入での浪人は受ける大学によって減点される可能性があるので気をつけてください。蛇足ですが、浪人した理由は面接で聞かれやすいです。答えられるようにしておきましょう。
  • 奨学金が一切借りれない可能性がある
    • まず給付型奨学金の受給条件は現役で大学編入することです。つまり浪人をした瞬間に給付型奨学金は一切受けられなくなります。次に貸与型奨学金ですが、こちらも現役で大学に編入しなければ、審査を通過できずに学費を全額納めることになるかもしれません。覚悟しておきましょう・・・

オススメの参考書

★を付けた参考書は特におすすめです

英語

  • Next Stage(ネクステージ)★
  • 英文法・語法問題GRAMMAR MASTER(グラマスター)★
  • 総合英語EMPOWER Mastery

数学

  • 編入数学徹底研究★
  • 大学編入のための数学問題集
  • 細野真宏の確率が本当によくわかる本★

国語

  • 国語便覧

専門科目

  • 材料力学Ⅰ・Ⅱ (森北出版)
  • 熱・統計力学演習 (サイエンス社)★
  • 演習で学ぶ「流体の力学」 (秀和システム)★
12/26開催!高専生向けのキャリアイベント