自己紹介
名前:ITTO
出身高専:新居浜高専 電子制御工学科
学科順位:1年次: 1位 2年次: 1位 3年次: 1位 4年次: 1位
受験年:2024年(2025年度)
受験大学(受験科目):東京大学工学部 物理工学科(合格),受験科目: 英語 数学 物理
併願大学:大阪大学基礎工学部電子物理科学科物性物理科学コース(不合格),大阪大学工学部(出願のみ),東北大学工学部(出願のみ)
部活や資格:TOEIC公開テスト 800点(L:445 R:355)
なぜ編入をしようと思ったか
高専2年次の頃,当時担当してくださった物理の先生の講義により,物理学のもつ面白さを目の当たりにした.
4年次には,核融合科学研究所(NIFS)にてインターンシップ研修を行い,研修を通じて,量子の世界のもつ不思議な理論・現象・ふるまいに惹かれたことにより,大学に進学して現代物理学に関する理論を深く勉強し,さらなる高度な実験や研究をやってみたいと思ったことが動機である.
科目ごとの勉強方法
数学
高専の定期試験においては,満点以外は許されないという心得の下で試験対策を行なった.最終的に満点を取得した答案は25枚となった.具体的な計算演習のみならず,抽象的な議論もしっかりと習得することで,表面上の理解ではなく,生きた理解となるよう,心掛けた.
以下,私が使用した編入対策の参考書を取り上げる.
例: (通し番号) 参考書名/主にその参考書を使用した学年/主観的難易度
(1) 編入数学徹底研究/3年次/普通
大学編入の対策にはおなじみの参考書.基本的かつ編入に必要な数学を
ある程度網羅できている.最初の1冊には丁度良い参考書.
(2) マセマ 微積・線形代数・常微分方程式・ベクトル解析/3年次/普通
徹底研究と並行して使用した.高専で習う内容とは違い,大学教養課程に則った内容で,おおまかに理論を把握して演習を積むことができる.厳密性には欠けるが,初学者が独学でその分野の概論を掴むには丁度良い参考書.全体を通してしゃべり調である為,苦手な方は他の参考書をあたった方が良い.
マセマシリーズのおすすめの勉強法は,まずやさしい説明・議論を読んで内容を理解した上で本を閉じ,本を見ないで(少々ちら見は許容)
改めて自分の言葉で説明・議論の一連の流れをまとめてノートを作っていくと,理解が深まり易い.
(3) 大学編入のための数学問題集/3~4年次/やや難
基本的な問題からかなり歯応えのある問題まで幅広く収録されている.
応用数学分野については,少々物足りないが,東京大学編入試験で頻繁に出題されている常微分方程式,確率,複素解析,線形代数を中心に問題Cまで解けるように
演習を行なった.
(4) 編入数学過去問特訓/4~5年次/やや難
全体的にやや難易度の高い問題あるいはかなり難易度の高い問題が中心に収録されている.編入対策がある程度固まってきたときの演習書におすすめ.
(5) 数学徹底演習/5年次/やや難
受験直前に,東京大学編入試験で頻繁に出題されている範囲の所のみ,追加で学習する際に使用した.この演習書は他のそれとは違い,初見の問題が多く掲載されていたので,様々な問題に対して対応できるスキルを身につけることができる.
(6) ベクトル・行列・行列式徹底演習/4年次/普通
その名の通り,線形代数を徹底的に学習することができる良書.編入試験でよく出題されるCayley-Hamiltonの定理や,固有値の性質,線型写像に関する問題が非常に多く収録されており,深い理解を得ることができる.
行列指数関数についても非常に詳しく解説されており,Henselの定理や,Leontief逆行列まで踏み込まれている.東京大学編入試験の対策には必携本である.完璧にしておきたい1冊である.
(7) 細野真宏の確率が本当によくわかる本/4年次/普通
離散的な確率に関する問題はこれ1冊で十分に習得することができる.入試問題も含めて全て完璧に解けるようになれば,東京大学編入試験に出題される離散的な確率の問題は十分に対応できる.
離散的な確率の問題については,抽象論をマスターするよりは,具体的な問題を周回していろいろな問題を解いて,感覚を掴んでいくのが近道である.しかし,連続的な確率の問題が出題されることもあるので,
高専の確率の教科書等で別途対策する必要有.なお,漸化式の問題をマスターしたい方は,YouTubeで,予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」(以下,ヨビノリ)の,「漸化式全パターン解説」を視聴することを勧める.
(8)マセマ複素関数 /5年次/普通
東京大学編入試験の数学で出題されている複素解析は,ざっくりと,いろいろな複素関数(指数関数,三角関数などといった諸初等関数の複素領域での計算法),写像,Cauchy-Riemannの関係式の利用,留数定理を用いた積分(実積分への応用)の4つに分類でき,例年幅広い範囲から出題されている.
マセマ複素関数では,4つのうち,いろいろな複素関数,写像の2分野について詳しく書かれており,演習をたくさん積むことができる.
しかし,留数定理をもちいた積分(実積分への応用)の分野については,かなり強力な定理であるJordanの補助定理については記載されていないので,別途参考書で学習するべきである.
(9) 工業系学生のための複素関数攻略への一本道/5年次/普通
先ほどのマセマ複素関数で記載されていないJordanの補助定理について,深く学び,演習を積むことができる必携本である.しかし,いろいろな複素関数,写像の分野についてはマセマ複素関数の方が詳しく載っているので,(8)と(9)の2冊で複素解析分野の対策をすると良い.
(10)高専の教科書に付随した問題集のB・C問題/3~4年次/普通
たくさん問題を解きたかったので,東京大学編入試験で頻繁に出題されている常微分方程式,確率,複素解析,線形代数を中心に問題Cまで解けるように演習を行なった.
物理
東京大学編入試験の物理は,最も傾向が不安定な科目であり,かつ高難易度な問題も頻繁に出題されている.そのため,ありとあらゆる問題を解いて経験を積み,本番では,正答を狙うよりは多くの部分点をもらいにいくという考えで臨んだ方が良いと思われる.数学でもそうだが,「私はここまで知っているぞ!理解しているぞ!」をためらうことなく全力で答案用紙にアピールすることをおすすめする.実際私も本番の時には,特に設問では問われていないが,無駄にその分野にまつわる話を広げたり,無駄に法則の証明をしたりした為,合格できたのではないかと考えている.
(1) マセマ力学・電磁気学・熱力学/3年次/普通
数学と同様,初学者が独学で勉強し易い参考書.おすすめのマセマシリーズの使い方も数学と同様である.
(2) よくわかる初等力学/3年次/普通
この参考書は,力学について理解を深めたい,もっと力をつけたい方には非常におすすめである.私はこの本を通じて,力のベクトルの作図において最も重要な点は「作用点を明確化する」ことであると学び,これが後の力学でかなり役に立ち,問題が非常に解き易くなった.
他にも,垂直抗力とは?摩擦力とは?といった一見よく知ってそうな物理用語でも,実はまだまだ知らなかったりすることが多いので,読んでて非常に面白い本であった.
(3) 物理のエッセンス/3年次/やや易
物理の基礎固めにはおすすめ.高校物理の内容ではあるが,抜けている分野や,忘れた分野(波動など)を補填する際に用いた.物理試験を受けるにあたっては,特に波動分野については,解いておくことをお勧めする.(忘れがちかつ近年出題されている分野である)
(4) 弱点を克服,大学生の初等力学/5年次/やや難
受験直前に,物理試験の大問1,剛体力学の分野のみ解いた.良問揃いかつ編入によくでる典型的な問題が多く収録されている為,非常におすすめ.
(5) セミナーライブラリ 演習 力学/5年次/普通
物理試験の大問1,剛体力学の範囲の対策に利用した.
(6) 基礎物理学演習I /4~5年次/普通
物理試験の大問3対策におすすめ.だが,全て解くのにはボリュームがあるので,時間があれば取り組んだので構わない.
(7) 詳解 電気回路演習上・下/1~5年次/難
物理試験の大問2では,まれに電気回路の問題が出題されるので,その対策に利用した.下巻については,直流過度現象の問題(特にコンデンサのふるまい)
はマスターしておくべきである.
(8)詳解 力学演習/5年次/難
物理試験の大問1,剛体力学の範囲の対策に利用した.現実的に出題される可能性が極めて低い問題については飛ばしても良いと思う.
しかし,少しでも試験に問われそうな雰囲気があれば,その問題は解いておいた方がよい.電磁気分野,数学などにもいえることだが,できる限り解ける問題のバラエティーを増やしておくことは非常に重要であり,初見の問題が出てきた時に処理する力も向上する.その際,解法をやみくもに暗記するのではなく,きちんと状況を整理し,類題が出題された時はどのように手を打つべきなのかをシュミレーションすることが重要である.
(9)詳解 電磁気学演習 /3~5年次/難
物理試験の大問2,電磁気学分野では,毎年のようにコンデンサに関する問題が出題されている.(勿論,その他の問題も出題されている.)なので,詳解電磁気学演習内のコンデンサに関する問題を全てマスターしておくと,自信をもって試験に臨むことができる.後述するが,今年の編入試験においても,コンデンサに関する問題が出題され,詳解電磁気学演習に載っている問題が出題されたので,命中したという気持ちになった.
(10) 演習 電気磁気学(森北出版) /4~5年次/やや難
私が,電磁気学の勉強をする上で最もやりこんだ問題集である.編入試験に出題され易い電磁気学の問題が網羅しており,今年の編入試験においても,この問題集の応用問題と同じ問題が出題され,命中したという気持ちになった.非常におすすめである.
(11) 趣味で量子力学 /5年次/やや難
10年ほど前,物理試験の大問3で量子力学に関する問題が出題されていたこともあり,その対策に利用したが,近年は,大問3であってもそういった高度な分野の問題は出題されていないように思える.
私は単純に興味があったので量子力学をさわったが,編入試験の対策においては,時間があれば概要を掴んでみる程度で構わない.(他,相対性理論など)
化学
特になし
英語
TOEICの勉強については,担当してくださっていた英語の先生からの依頼により,後輩に向けて書いたものをそのまま引用したので,参考にされたし.
1年次と2年次では,My wayやまるまるリスニングBookのような学校の教材を使って,暗唱できるまで何度もCDを聞いてシャドーイングし,課された課題はしっかりとこなしてきました.
3年次では,大学編入をすると決めたので,TOEICの点数をあげるために関先生の「Study Sapri English」(以下スタサプ)を使って,TOEICを受ける際の心構えや,勉強法などを講義動画で学び,練習を積み重ね,およそ400時間ほど学習しました.テキストは不要で,スマホがあればできるので,スキマ時間での学習がしやすかったです.(500点→630点)
4年次前期では,TOEICの点数もだんだんあがってきて,スタサプの内容がだんだん簡単になってきたので,「abceed」というアプリに切り替えました.このアプリでは,会員になれば,書店に売っているさまざまなTOEIC参考書をほぼ全て使用できるというものでした.そこで自分は,さらなる高みを目指して以下の参考書を使いました.(630点→745点)
- TOEIC L&R テスト 文法問題 でる1000(2〜3周,最後のTOEIC公開テストではPart5の正答率が95%でした)
- TOEIC L&R テスト 出る単特急 金のフレーズ(30周以上,単語を見て1秒以内に意味がでてくるようになるまで)
- TOEIC L&R テスト 精選模試リスニング3(公式問題集より少し難しめ)
- TOEIC L&R テスト 精選模試リーディング3(同じく公式問題集より少し難しめ)
- TOEIC L&R テスト 読解特急3 長めの記事編(Part7の記事問題が苦手だったのでそこを重点的に勉強した)
- TOEIC L&R テスト 難攻不落のPart7記事問題 完全攻略(これは記事問題に限らず,Part7の勉強に役立った)
- TOEIC L&R テスト 極めろ!リーディング解答力 (リーディングが苦手だったので,ひたすら問題演習した)
実は4年後期に入るまで,公式問題集をしたことがなかったので(もっと早くしておけばよかったです)後期からは,公式問題集7・10をやってみました.出来はLもRも70~80%台で推移しました.リスニングのナレーターが本番と同様だったので,聞きなれをしておいたらリスニングの点数が伸びるかもしれないと思ったので,1.5倍速で,リスニングを聴きながらディクテーションとシャドーイングを綿密に行いました.(すると,本番でリスニングを聞いた時,遅く感じました)
ディクテーションは,聞き取れた英語をWordで書き出して,聴き間違えたところは赤で印を入れて,そこだけをリピートして聞き取れていないところをつぶしていきました.
リーディングは,今まで通り,abceedや参考書等で学習を続けました.
さらに,担当の英語の先生から,楽しく英語を学ぶように薦められ,Appleのスティーブ・ジョブズのiPhone発表のプレゼンを字幕なしで見たり,
自分の好きな本であるLonely Castle in the Mirrorを読みました.(日本語版だと,鏡の孤城と呼ばれる本で,もともと自分はこの本しか好きではありませんでした.昔の自分と状況が非常にマッチしていた物語だったので読みやすかったです.)
また,担当の英語の先生が授業中で行っていた構文解析(Sはどこか?Vはどこか? このitはどこを修飾しているか?)をTOEICのReadingを題材に,行っていきました.おそらく800点に行けた理由は,この構文解析と1.5倍速リスニングが非常に大きかったと思います.(745点→800点)
自分は,もともと英語が得意な人間ではなく,右往左往しながら勉強をすすめていきましたが,やはり定期試験前であっても毎日欠かさず英語の勉強をやってきたその努力というのは報われるのだと改めて実感しました.自分は,TOEICにテクニックはないと考えています.
いろいろ書きましたが,TOEICの点数を上げる一番の近道は.毎日欠かさず英語に触れること.それに尽きると思います.
以下,東京大学編入試験の英語対策に使用した参考書を取り上げる.なお,勉強期間は5年次に進級してからの3ヶ月のみであり,大急ぎで勉強してしまったので,もっと早い段階で余裕を持って英語対策をしている先輩方の体験談を参考にされた方が望ましいと考えている.TOEICはできる限り早い段階で高得点を取得し,東京大学編入試験の英語対策にあてるべきであると考えている.(私は間に合いませんでした.)
なぜなら,TOEICの問題と東京大学編入試験に出題される英語の問題は全くの別物と考えるべきだからである.(TOEICは,英問英答のみだが,東京大学編入試験に出題される英語の問題は,英文和訳,和文英訳等が出題され, TOEICとはまた別の対策が求められる.)
(1) 東大英単語熟語・鉄壁/5年次/やや難
他の英単語帳に比べ,ボリュームのある英単語帳であるが,なんとか3ヶ月で暗記し,本番でもある程度対応できた.
(2) ポレポレ英文読解のプロセス50/5年次/やや難
英文和訳の対策に利用した.歯応えのある英文和訳の問題が50個収録されている.最初は,自分の力で訳を書き,訳例をみてどこまで訳ができたか採点し,著者の西きょうじ先生の解説動画を見て理解を深め,プロセスに従って訳ができるように練習した.毎日継続して例題を解いていくと,だんだん力がついてきていることが実感できた.
(3) ドラゴン・イングリッシュ基本英文100/5年次/普通
和文英訳の対策に利用した.あまり時間がなかったので,英訳するときに気をつけておくべき事項だけざっと目を通した程度で,例文の暗唱等は行なっていない.実際本番では,気をつけておくべき事項に基づいてある程度英訳に対応できたが,ここは完全に勉強不足である.
(4) Scientific American(科学的な内容の英文記事)/5年次/やや難
東京大学編入試験の英語は,科学的な英文和訳に関する問題,科学的な和文英訳に関する問題,科学的な英文の長文読解問題の大問3問構成であるので,スマートフォンのアプリケーションとしてScientific Americanを導入し,毎日1つの記事を読み,科学的な英文を読むことに慣れる練習をした.初めは自力で英文を読み,次に日本語訳で文章を読んで,どこまで自分は英文を読めているのかを把握し,読めていなかった所は読めるようになるまで復習を行なった.
専門科目
特になし
試験当日
試験内容
例: 設問番号: 出題分野(個人的な試験の出来/主観的難易度)
ホテルは,第1次試験と第2次試験共に,Ueno First City Hotelに宿泊した.(受験生がよく泊まっているフォーレスト本郷の方が試験会場からは近いが,私はそのホテルの予約ができず,歩いて15分ほどのところにあるUeno First City Hotelを選んだ.若干遠かったが,特に不満はなかった)
東京大学編入試験の問題は,英語数学物理共に,大問1あたりの解答時間の限度を30分に区切ることをお勧めする.
英語については,昨年度は大問1の傾向がやや変わっていたが,今年は2年前までの傾向に戻っていた.
数学については,私は確率の問題を苦手としていたので,本番では1→3→4→2の順番で解いた.
若干うろ覚えの部分があるため,実際の試験問題は過去問を参照たれたし.東京大学編入試験の過去問は個人で請求することが可能である.詳細は東京大学工学部ホームページを参照.
英語 (試験時間90分)
大問1: 英文和訳(5割/やや難)
地域によって建物の耐震基準が違うといった旨の話であった.例年に比べ,単語がやや難化し,和訳量も多いように感じた.
大問2: 和文英訳(5割/やや難)
大問2については,どんな内容であったかは忘れてしまったが,ドラゴンイングリッシュのテクニックを沢山取り入れることができた.
大問3: 長文読解(5割/やや難)
大問3についても,どんな内容であったかは忘れてしまったが,まるばつ問題は簡単に思えた.しかし,narrativeは何を指しているか?という設問については全くわからなかったと記憶している.
数学(試験時間120分)
大問1: 微分方程式(10割/易)
今年の微分方程式の問題は,例年に比べてかなり易しく感じた.(1)は定数係数3階同次微分方程式,(2)は誘導付きの変数変換して解を求める1階線形微分方程式,(3)はEuler型の微分方程式の問題であった.
編入数学徹底研究にでてくる微分方程式の問題が全て解けるのなら,つまずくことなく解答できると思われる.
大問2: 離散的な確率(5割/普通)
(1)は簡単な確率の問題,(2)以降は確率漸化式を4式立てて,解を導き,操作を無限回行った時に確率がどの値に収束するかという典型的な問題であった.途中凡ミスに気づき,修正をしたり等で時間をたくさん浪費し,終了時間間近となったので,解を導く所からは方針のみ記述した.
大問3: 複素解析(6割/やや難)
(1)は複素関数を微分し,zのみで表せという問題.長い計算を進めていったが,最後zのみで表すことができず終わった.
おそらくどこかで計算ミスをしていたのだと思われる..
(2)は留数定理を使った積分に関する問題.3種類の積分領域が与えられ,それぞれについて,積分値を計算する問題であった.
領域と極の配置がシビアであり,正確に領域図を書く必要があったが,特に難しいことはなく,容易に解くことができた.
(3)は実積分への応用に関する問題.前半は,Jordanの定理を用いて積分値が0になることを証明する問題で,これは容易であったが,後半の積分値を求める問題は,特にアイデアが浮かばず(実は簡単だった可能性有り),大体の方針のみ書いて飛ばした.
大問4: 線形代数(10割/易)
個人的には,微分方程式に続いて,この大問4についても例年に比べ易しく感じた.例年出題されている固有値に関する問題で,対角化の条件を用いたり,Gram-Schmidtの正規直行化法をつかって対称行列を直行行列によって対角化し,直交行列の各列ベクトルのなす角(勿論90度)を求める流れであった.
部分点を狙う為,対称行列の性質についての説明を最後に加えた.
物理(試験時間90分)
大問1: 剛体力学(7割/やや難)
倒立振子の運動の解析に関する問題であった.例年に比べやや難化しているように思えたが,誘導に乗ることができれば,一番最後の問題以外はあっさり解けたように感じた.
途中で,減衰振動となる条件を求める問題があり,高専で制御工学や電気回路の過度現象に関する講義などで扱っていた為,そのときの記憶を元に詳しく説明を加えた.また,倒立振子の問題自体は,ロボット工学と呼ばれる講義で類似の系を扱っていたいうこともあり,高専で学習した知識を総動員し,活かすことができた大問であった.
大問2: 電磁気学(8割/普通)
球型導体に電荷を加えた時に,導体の周りが作る電界の大きさ,電位が変位と共にどう変化するかをグラフに示す問題.
内側の球型導体の周りに外殻の導体があり,内側の導体を接地した時に,電界はどうなるか? また,導体間の静電容量はどうなるか?電荷を加えるとどうなるか?半分だけ誘電体に沈めた導体があり,そのときの静電容量はどうなるか?といった問題の他,仮想変位の原理によって物体間に及ぼしている力を求める問題など,様々な問題が出題された.(詳細は過去問を参照されたし)
出題された問題はいずれも,演習電気磁気学(森北出版)と詳解電磁気学演習で練習していた問題であった為,自信をもって解答することができた.
更に,少し時間があったので,異なる誘電体に対して,境界面と並行な成分の電界の大きさは等しいことを,Maxwellの方程式を用いて証明した.(この法則を利用する問題があった為,証明をすることによって部分点を狙った.)
大問3: 光学(4割/前半普通,後半難)
前半では,薄膜による干渉に関する問題が出題された.光路差を求め,波の干渉条件を使って,反射光が強め合うときの波長の値を求めるといった基本的な問題であった.私は編入試験対策ではあまり触れていなかった分野ではあったが,高専の物理の講義で扱ったことがあったので,その記憶だけを頼りになんとか解くことができた.
試験終了後,光路差の求め方を若干誤っていたことに気づいたが,方針自体は合っていたので,部分点はもらえるだろうと考えた.後半は,大問3らしい難しい問題が出題された.電界の反射と透過に関する問題だったと記憶しているが,こんな解答になりそうだという案だけを書いて後は白紙である.後で,高専の電気回路の講義で若干触れていた分野だったことに気づき,少し後悔した.
面接
面接は10分程度で終わった.面接官は10人程度いたが,非常に和やかな雰囲気で,特にメインで進行する面接官の愛想が良かった.面接開始時刻は人によって様々で,私は20人のうち2番目の面接受験者であった.面接室までは,担当のスタッフが案内してくださり,中待合のようなところ(1人)で数分待った後,面接室に入る.
面接室に入ると面接官10人ほどが L字に座っており,手前においてある机に座る.その机に座る前にリュックサック(荷物)を後ろの机に置いてくださいと指示される.面接が終わった後は,また担当のスタッフが出口まで案内してくれる.
面接内容について.まずは第1希望(物理工学科)と第2希望(電気電子工学科)の志望動機を聞かれ,次に志望調査票に基づいていくつか質問された.(その時,メインの面接官から,「あなたの志望調査票は読んでて非常にわくわくします」と褒めてくださった)
- レーザに関わる研究室はたくさん存在しているが希望の研究室に所属できなくても大丈夫か?
- 核融合科学研究所(インターンシップで2週間研修を行った研究所.ここでは詳細は控える.)の研修内容について.
- 核融合科学研究所の研修を通じて得たことについて.
- 課外活動以外に何の活動をしているか?
の4つを聞かれた.面接練習はしていたので,流暢に質問に対し答えることができた.
面接官からも,「非常によくわかりました」とコメントをいただけた.
ここ数年,面接試験で落ちている人はいないので,自信を持って面接に臨めば良いと思う.東京大学編入試験はほぼ筆記試験の点数で合否が決まると思って差し支えないと思われる.
後輩に伝えたいこと
私は,進学に特化していない高専に在学しており,塾にもいかず,東大の先輩とのつながりもなく,編入仲間も作らず,唯一高専の先生やYouTubeに頼りながら(過去問の添削など),編入の勉強を進めてまいりました.
もともとコミュニティに所属することはあまり好きではなく,自分一人で東大編入対策ができるかどうか不安な部分もありましたが,先輩が書いてくださっている体験談(ZENPEN,note,高専から東大編入!など)を参考にし,参考書を購入して計画をたて,東大受験に向けて努力を重ねてきました.
結果合格しましたが,今僕と同じく,難関大学に編入したいが,チームに入ることが苦手で自分一人でやっていこうとおもっている方へ,自信を持って一人で受験勉強していったら良いと思います! チームで勉強している人を見たり聞いたりして,強そうだなと思うこともあると思いますが,全然一人でも合格を掴み取ることができます!
そのためには,周りの誘惑に流されず,高専の講義をしっかりと聞き,編入対策をしっかり行い,継続して勉学に励む必要があります.
2024年2月,高専テクノゼミさんの第1回編入模試を受験させていただきました.現在,科目は数学のみですが,全国ランキングも出してくれるので,客観的に自分の学力がどれくらいなのかを把握することができるのでここでお勧めしておきます.個人で参加できます.私は第1回編入模試(応用問題)で全国9位でした.
私は,割と珍しいとは思いますが,東京大学に合格し,大阪大学(基礎工学部)は不合格という結果となりました.試験の難易度,合格率両者とも東大の方が厳しく,実際本番でも,試験の出来を考えて,東大は不合格で阪大に合格するだろうと思っていましたが,まさかの逆の結果となり,大変驚きました.あくまで推測ですが,東大は本番の試験の点数で合格者を決めており,阪大は研究の進捗度も加味して合格者を決めているのかもしれません.
私は,勉学には熱心に取り組んできましたが,これといって何か没頭している研究はありませんでした.そんなこともあるので,少しでも学力に自身のある方は是非,東大にチャレンジしてみてください.私も非常に先輩の残してくださっている体験談にはお世話になったので,今回,できる限り詳しく体験記を書かせていただきました.何かお役に立つことができれば嬉しいです.
点数開示
第1次試験の点数開示を以下に示します.
英語: 165/300(55%) 数学: 282/400(70%) 物理: 243/300(80%) TOTAL: 690/1000(69%)
英語がかなり低く,数学は普通,物理は割と高めの点数となりました.この英語力だと,入学してからが不安なので,現在は,主に英語の勉強をしております.
オススメの参考書
今回ご紹介した参考書のほか,先輩が体験談等でよく名前にあがっているような参考書を使用するので十分かと思います.先輩方がよくその参考書の名前をあげているということは,その参考書は,編入試験向きかつわかりやすく解説されている参考書であることが多いです.ただ,同じ参考書でも,どのように勉強するのかは人によって様々なので,自分はどういった勉強スタイルが一番力がつくのかは,きちんと分析する必要があります.勿論,自分の気に入っている参考書で勉強するのもありです.