編入体験談

2022年:東北大学 工学部 電気情報物理工学科

自己紹介

名前:どらやき
出身高専:長野高専 電気電子工学科
学科順位:3年次:1位,4年次:1位
受験年:2021年(2022年度編入学)
受験大学(受験科目):受験大学:東北大学 工学部 電気情報物理工学科(合格)
受験科目:数学,物理,化学,英語(TOEICスコアを願書とともに提出)
併願大学:筑波大学 理工学群 工学システム学類(合格)
部活や資格:囲碁・将棋部(1年次~),TOEIC:655点(L:335,R:320)

なぜ編入をしようと思ったか

大学や高専の教員になりたいと思っていて,そのために大学で最低7年間学び,博士号を取得する必要があるからです。

学年ごとの勉強内容

1~3年

基本的に授業の後は復習し,分からないところは次の授業までに先生に聞きに行きました。数学と英語を中心に予習もしていました。4年生まで皆勤で,課題・レポートは期限までに提出するなど,テスト前でなくても勉強する習慣を付けました。3年の7月に,進学することを決めました。このときは,推薦がもらえる大学や専攻科を考えていました。

4年前期

何人かの先生に進路相談をしていましたが,推薦で行くと決めていたため,編入の勉強はまったくしていませんでした(学校の勉強はしっかりとやっていました)。4月に初めて受けたTOEICは,1ヵ月勉強して455点でした。

4年後期

いろいろな大学を調べていく中で選択肢が増え,もっとも悩んだ時期でした。東北大学に自分が入りたい研究室がありましたが,このころは行きたい気持ちよりも,次のような不安で押しつぶされそうでした。

  • 勉強を今から始めて間に合うのか?
  • 試験は8月,友人の進路が決まっても自分だけ続けられるか?
  • 合格できなかったら?

強気な自分と弱気な自分が闘った結果,一度は学力での受験をあきらめました。それくらい辛かったです(10~11月)。しかし,自分が下したネガティブな決断の理由に納得がいかず,本当にあきらめて良いのか,さらに悩みました。

冬休みに仙台を訪れ,大学周辺や住む場所を知れたことで編入後のイメージを持つことができました。12月には東北大学を受験する決意を固め,弱気な自分に打ち勝ちました。

受験勉強を始める準備(過去問収集,先生への相談,苦手な分野の把握など)はしていましたが,学校の勉強をおろそかにしたくなかったので,受験勉強の時間があまり取れませんでした。

春休みから本格的に受験勉強を開始し,1日7.1時間(3月の平均)勉強しました。2月はTOEIC,3月は数学と化学がメインでした。特に数学と化学は,1ヵ月で大きく伸びました。TOEICは2月末に655点を取りましたが,目標の700超えは達成できませんでした。

自分のモチベーションを最大限維持できるよう,毎日の学習時間とその内容を記録するなどの工夫をしました。勉強に集中できない時は半日休憩することもありました。自分には1日8時間が限度で,それ以上やると翌日の進み具合が悪くなりました。

3月にはZENPEN様とナレッジスター様による編入数学模試を受験しました。出題傾向があまりない大学を受験する私にとって,初めて見る問題を制限時間内に解き,そして第三者に採点していただける貴重な機会でした。

5年前期

物理の勉強は4月から本格的に始めました。遅いスタートでしたが,冬から数学を始めた自分にとっては,これが限界のペースでした。数学と化学を優先させたのは,1年のころから物理が好きで基礎はできていると思ったからです。それでも,編入の過去問は初見では解けず,教科書を読み直すなど復習から始めました。

多くの人が推薦で早々に合格が決まっていき,5月末には孤独を感じるようになりました。勉強を教え合える人がいなかったので,質問は基本的に先生にしました。6月の平均勉強時間は,学校の課題をやる時間を入れて6.6時間でした。授業を大事にしていたので,いわゆる「内職」はしませんでした。

ここまで読んでいてお気づきかもしれませんが,私はメンタルが弱いです。分からない問題に出合うたびに不安でいっぱいになり,1人で泣き崩れることもありました。しかし,後悔はしませんでした。6月の時点で,ここまでやってきて本当に良かったと思っていました。簡単に合格していたら見ることのなかった問題にたくさん出合うことができ,大変ではありましたが,数学や物理の世界が広がった気がしました。

試験当日

試験内容

前日に会場の下見をして,1日目は私服で行きました。大学のページを見ると過去問の扱いは慎重にしたほうが良さそうなので,大問ごとの自分の出来具合(体感)のみにしておきます。過去問は,高専経由で請求できました。10年分解きました。

【数学(90分)】
問題1(8割),問題2(6割),問題3(4割)

【物理(90分)】
問題1(8割),問題2(8割),問題3(5割)

【化学(90分)】
問題1(8割),問題2(6割),問題3(3割)

数学で何問か計算ミスをした気がします。微分方程式は難しくてまったくできませんでした。直前に燃料電池を復習しておいて良かったです。化学の問題3は,知っていないと解けない問題が多くて大変でした。エアコンが効きすぎて寒く,物理のときにトイレに行きたくなりましたが,なんとか耐えました。

面接

入れ替え時間を含めて1人10分で,3部屋同時進行でした。面接官は3人で,志望動機,やってきた課外活動,得意科目,その得意科目を研究にどう活かすか(志望動機で情報系の研究室名を挙げた),卒業研究の内容,などを聞かれました。また,情報系の口頭試問がありました。途中,面接官の反応で不合格かと思いましたが,あきらめず最後まで全力を尽くしました。

後輩に伝えたいこと

悩んだら誰かに相談する

受験勉強をやっていると,思うように進まなかったり,自信が持てなかったりして辛くなることがあるかもしれません。私は何度も挫折しそうになりましたが,その時に先生方や家族が支えてくれたからこそ、ここまでやってくることができました。たくさん悩んできましたが、悩むことは悪いことではないと今では思います。悩んだら,誰かに相談しましょう。一緒に勉強できる友人がいれば,友人に相談しても良いと思います。

また,自信が持てないとき,焦りすぎて勉強が手につかなくなることがありました。そうなってしまっては悪循環なので,先のことは考えすぎず自分のペースで勉強していくほうが,結果として力は付くと思います。

悔いが残らないように

後悔しないために挑戦した方が良いという先生の言葉が力になりました。私は早くに進学先の選択肢を減らしてしまったのですが,そうしないほうが良いと思います。私は,2月に筑波大学の編入説明会(オンライン),3月に東北大学の高校生向け入学説明会(オンライン)に参加しました。そのほか,学校での進学説明会にも数多く参加しましたが,もっと早くからアンテナを張っていれば良かったです。機会があれば,できるだけいろいろな大学のイベントに参加すると良いと思います。

大学を見に行くと編入後のイメージをつかみやすい

冬休みや春休みを利用して,受験したい大学をいくつか見に行きました。昨年(2020年)はオープンキャンパスなどで大学に行くことはできませんでしたが,誰にも会わなくても,現地に行ってみると,建物の様子や大学周辺の雰囲気を感じることができました。また,編入後の自分をイメージすることで,勉強に対するモチベーションの維持にもつながりました。

ここまで,勉強よりも自分が感じたことを中心に書いてきました。長くなってしまいましたが,読んでいただき,ありがとうございました。皆さんが実力を発揮できるよう,応援しています!

オススメの参考書

私の場合,始めたのが遅かったこともあり,たくさん購入すると圧倒されてやる気を失いそうだったので,購入する参考書はネットの記事を参考にして選び,最小限にしました。基礎は高専の教科書,応用問題は参考書に頼りました。

数学

大学編入のための数学問題集

2周半しました(すべて解いたのは1周目だけ)。初見で解ける問題はほとんどありませんでしたが,「解答で勉強できる」スタイルが自分に向いていました。

物理

物理のエッセンス

熱,波動の分野の対策に役立ちました。力学と電磁気学は,誤植が少なく丁寧な解答が付いている問題集を見つけることができず,ほぼ教科書と過去問だけで勉強しました。

化学

化学 基礎問題精講

教科書と過去問中心で勉強していましたが,時間さえあれば2周くらいしたかった参考書です。過去問は,自分で解いたものを先生に添削していただきました(他の科目も)。

英語

世界一わかりやすいTOEICテストの英単語

TOEICの公式問題集

12/26開催!高専生向けのキャリアイベント