編入体験談

2021年:九州大学 芸術工学部 芸術情報設計学科

自己紹介

名前:JD.
出身高専:徳山高専 情報電子工学科
学科順位:1年次 : 34位 2年次 : 7位 3年次 : 7位 4年次 : 14位
受験年:2020
受験大学(受験科目):九州大学 芸術工学部 芸術情報設計学科 → 数学,TOEIC,面接
併願大学:東京大学 (不合格),筑波大学 (不合格),京都工芸繊維大学 (不合格)
部活や資格:硬式テニス部,SA,基本情報技術者,TOEIC公開テスト : 840点 (2020.9)
TwitterID:@takuyajodai

なぜ編入をしようと思ったか

工学学士を持っておけばビザ取得や海外就活でも役に立つと考えたから.また,単純にもう少し勉強・研究をしたかったから.就職をすると異なる分野の人間と出会いにくくなると思ったから.

学年ごとの勉強内容

1~3年

1年次

田舎を極めたような土地出身だったので,井の中の蛙状態で入学し,周りの学生の賢さに絶望していました.成績も振るわず,34位で始まった高専生活の中でなぜか「編入するか~」と思いました?とはいえ,英語もできない,数学もできない,部活だけは一丁前に入学翌日に爆速参加していたのでテニスを頑張っていた1年次でした.

寮生でもあったので,理不尽なルールの中で友達の助けも借りながらなんとか乗り越えました.

2年次

転機が訪れたのはこの年でした.寮の相部屋の子が勉強熱心で,それに啓発された僕は休日に10時間勉強し出すなど,不可解な行動をとり始め,その結果,席次が7位まで伸びました.(それだけ勉強したのに7位なのはご愛嬌)

そして,初めての海外となるオーストラリアへの短期留学に行きました.1ヶ月程度だったため,特に英語が上達するわけでもなく,話せるようになった訳でもないですが,英語を勉強したくなりました.

初めて受けたTOEICは420点でしたが,あまりの難しさに驚いたことは記憶に新しいです.

3年次

順調にことが運んでいきました.この時は,編入の対策等は全く考えておらず,自分のやりたいこと,興味を純粋に追求していたように思います.基本情報技術者はこの年の春に取得しました.また,高専カンファの運営に携わったり,インターンに行くなど,学外での関わりが強くなった年でもあります.

4年前期

この年は一番頑張りました.機会とチャンスは全てYES一択で受けて行った結果,同時並行で詰め込み過ぎて自分のキャパを知りました.ここでもまだ編入の勉強は初めていません.

学生会と寮生会を兼任し,高専プロコンに出ながら,エストニアの企業で,リサーチエンジニアとしてインターンをさせて頂き,トビタテ留学JAPANに合格し,総務省主催のハッカソンで優秀賞をもらうなどした上で,クリプトリサーチャーとしてバイトを始めました.我ながらなかなか頑張ったと思います.その反面,特にインターンなどでは自分の実力不足をひしひしと実感し,社会の求める当たり前のレベルの高さ,自分の甘い考えを再認識しました.

この頃から,のちに不合格となる東京大学のシステム創成学科を第一志望に据え,数学の教科書を携えてエストニアへ発ちました.

留学前にTOEICは665点でした.

4年後期

4年後期ではないですが,間に休学を挟んでいるのでここに記述します.

エストニアという国に1年弱研究留学をしました.ここでかなり英語の力は伸びたと思います.帰国後にTOEICがどれだけ伸びているか楽しみにしていましたが,COVID-19の影響で全く受けることが出来ずに受験を迎えることになります…

5年前期

4月

帰国時で3月だったため,数学の勉強をようやく開始しました.時はすでに5年の4月でした.正直間に合わないだろうなと思いながら大学の出願を始めました.東大のシス創の他に,筑波大の社会工学類,京都工芸繊維大の情報工学課程,九州大の芸術工学部に出願しました.

出願の際に考えていたのが,情報+αで学べる学科です.僕は情報のみで専門性を高めるのが自分に合っていないと感じていたので,興味のあった経営や,ハッカソン等でデザイナーを兼任することが多く,自分に向いていると感じた芸工を選択しました.

一先ず,数学の教科書の復習から始めることにしました.1年次の内容もかなりの部分を忘れており,得意な科目でもなかったので時間が掛かりました.しかし,COVID-19の影響で遠隔授業のみだったため堂々と内職をしながら勉強を進めることができました(先生ごめんなさい)

<数学>
高専の数学の教科書/ワーク
<英語>
なし

5月

受験生御用達の「大学編入試試験問題 数学/徹底演習」を開始しました.分量がかなりある上に,難度も高く,回答を見ても理解できない部分は徹底的に先輩や先生に質問しました.東大の受験が迫っていたので出題範囲に絞って解きました.

この時期に他の学生の編入記を見ると,過去問を回し,徹底演習をn周したなどの記述があり,非常に焦りを感じていました.

英語に関しては,帰国してからすぐにTOEICを受けようと考えていましたが,悉く中止に.かなりの絶望でした.

<数学>
大学編入試試験問題 数学/徹底演習
<英語>
なし

6月

東大の入試がありました.落ちました.英語も受験科目でしたが,数学に全振りしていたため過去問しかやっていません.

<数学>
東大編入試 過去問
大学編入試試験問題 数学/徹底演習
<英語>
東大編入試 過去問

7月・8月

次は8月末,9月上旬に行われる工芸繊維大と筑波大に向けて対策を始めました.これらもCOVID-19の影響でスケジュールがかなり遅れて実施されました.

数学に加え,受験科目であった情報の対策を始めました.基本情報技術者の本を引っ張り出してきて復習をしました.数学は偏微分や重積分あたりがよく出ていたので重点的に学びました.

<数学>
大学編入試試験問題 数学/徹底演習
京都工芸繊維大編入試 過去問
<英語>
なし
<情報>
京都工芸繊維大編入試 過去問
基本情報を受験したときの参考書

9月

京都工芸繊維大の翌週に筑波大学の試験がありました.面接もあったため,内部生の方に連絡をとって,面接対策などをしてもらいました.非常によくしていただいただけに不合格で申し訳なかったです.

この時期から,大学に全落ちしたら寺で修行しようと本気で思うようになりました.

京都工芸繊維大,筑波大 両方の大学から不合格通知をもらいました.寺かな〜と確信しました.TOEICをこの時期まで受けることができず,665点で提出したのが多少悔やまれます.

<数学>
大学編入試試験問題 数学/徹底演習
筑波大編入試 過去問
<英語>
なし

10月・11月

九州大芸術工学部の受験だけ11月と大幅に遅れたスケジュールになっていました.周りが続々と進路が決まる中,ただ一人進路が寺になっていたので本当に焦っていました.(受け入れ先の寺は確保していました)

受験科目は数学,TOEIC,面接.

受験まで1ヶ月あったので,苦手意識のあった線形代数を1からやり直すことにしました.苦手だったのが得点源になり,非常に良かったです.数学に関しては,過去問15年分を2周と更に徹底演習をもう一周することにしました.勉強をして,休憩の合間にヨビノリを見て積分をするという生活でした.

数学の勉強がうまく進んだ要因として寮生の助けがありました.毎晩のように数学の質問をぶつけ,理解を深めていきました.

そして,この時期にTOEICをようやく受験することができました.留学から時間がかなり経っていましたが,自分を信じて受験しました.ここで840点を取ることができ,受験の自信につながりました.
面接に関しては,内部生の方に協力して頂き,面接対策と,ポートフォリオの作成に取り掛かりました.

<数学>
マセマ 線形代数
九州大学編入試過去問 15年分*2
大学編入試試験問題 数学/徹底演習
ヨビノリ
<英語>
TOEIC公式問題集
<面接>
ポートフォリオ作成

試験当日

試験内容

英語

1時間目はTOEICでした.これはTOEICを受けられたなかった人の為の救済措置でIPテストを開いてくださったもので,僕自身もスコアを提出はしていましたが,念のため受験しました.820点でした.

数学

2時間目は数学です.例年だと九大芸工の数学は基本的には易しい問題が多いです.しかし,昨年度一気に難化し,今年度も非常に不安視していました.

以下問題情報です.

制限時間 : 90分
問題枚数 : 1枚
問題情報
大問① : 行列の固有値問題 全2問 (例年通り)
大問② : 3次列ベクトルと直線の方程式・余因子展開とか図示とか 全3問
大問③ : 定積分・広義積分 全2問
大問④ : 導入つきの重積分等 全4問

パッと見た感じ,全体的に解けそうな感じがしていました.実際に解いていくと大問②で躓き,自分には完答できないことに気がつきました.昨年度の件があるので,落ち着いて次の問題に進みました.その他の問題は落ち着いて回答することができ, 大問②を残して50分近く余りました.その後じっくり考えましたが,結局解けず,手応えとしては8割ちょい程度だと思います.

面接

面接は穏やかな雰囲気だと聞いていたので,安心して自分の番を待っていました.僕を含めて半数程度がポートフォリオを持参していたと思います.

以下面接情報です.

面接時間 : 15分弱
面接官 : 3名 (本来はもう一人いる予定だったそうです)
雰囲気 : やや圧迫気味?
面接内容
志望動機
● 何でそれがやりたいの?
● うちの学科の内容とマッチしてるの?
● なんのデザインがやりたいの?
● 入学してからどんなことがやりたい?
● 君のやりたいことはうちの学科だけだと出来ないと思うけど,他の学科のこととか調べた?
● 日本の電子化って技術的にではなくて,電子化すると不利益を被る人間がいるから進まないと思うんだけど,どうするの?
● 留学ではどんなことをしたの?
● 院進予定はある?
etc…

ポートフォリオは割と作り込んでいったつもりでしたが,志望動機を中心に深掘りされて,これまでに作った作品等を見せることができませんでした.なぜそれがやりたいのか,九大芸工との関わりは?等の質問に対して自分の考えをしっかり伝えられたとは思いますが,持ち込んだポートフォリオをほとんど見せることが出来なかったので,面接終了後はかなり落ち込みました.

後輩に伝えたいこと

僕が受験に合格することが出来たのは99%周りの人のお陰です.先生,友人,受験大学の編入生の先輩など,頼れる人はどんどん頼っていくべきだと思います.今回はイレギュラーな編入試かつ,僕自身のスケジュールも普通とは異なるものでしたが,本質は変わらないです.

しっかり勉強をする.これを満たすためにも勉強以外の不安要素はしっかり取り除いておくべきだと思います.質問や,相談等,TwitterでDMを飛ばしてくれれば何でも受け付けますので是非合格を目指して頑張ってください!

オススメの参考書

高専の数学の教科書を完全にやり込むとかなり力になると思います.