編入体験談

2024年:九州大学 工学部 土木工学科

自己紹介

名前:十三
出身高専:A高専
学科順位:1年次:32位,2年次:1位,3年次:1位,4年次:1位
受験年:2023
受験大学(受験科目):九州大学工学部土木工学科
併願大学:熊本大学(不合格),岡山大学(合格),徳島大学(合格)
部活や資格:TOEIC570,英検2級(CSE2093),学生副会長,学寮副寮長,陸上競技部
Email:sssssinx(あっと)gmail.com

なぜ編入をしようと思ったか

学位を取得するため。

学年ごとの勉強内容

1~3年

特になし。
個人的に,3年次までは特別に編入試験対策を行う必要はないと考えており,日々の授業内容+αを自分なりに理解することが1番の編入試験対策ではないかと感じます。

4年

3年の春休みまでに大学調べを終えて,自分の学力や学びたい分野(水工学)と照らし合わせ,数学と専門科目が一般入試の試験科目である九州大学,熊本大学,徳島大学を受験することにしました。物理,化学が試験科目となる大学(名大,東北大,北大など)に関しては,早々から諦めました。

受験する大学は決めたものの,以下の各項に示した通り,しっかり対策を行っていたというわけではなく,空き時間に基礎固めを行っていた程度で,主には九州大学の推薦入試を受験するための席次キープに注力しました。1日の勉強時間は,平均して2~3時間でした。

数学

「編入数学徹底研究」の微分積分,線形代数の範囲(12章まで)に取り組みました。高専の授業内容だけでは太刀打ちできない問題を優先的に解き進め,微分積分,線形代数に関しては幅広く対応できる基礎力を身につけることができました。
応用数学(ベクトル解析,複素解析,フーリエ解析)に関しては,とある授業の定期試験対策のために嫌になるほど徹底研究の該当ページを周回したため,気づかないうちに対策が完了していました。鬼畜な授業を開講していただいた○○先生には感謝してもしきれません。

専門科目

授業で扱った重要語句・公式+αを自分なりにまとめた赤シートで復習可能なノートを作成し,このノートを用いて口頭試問の対策を行いました。
また,授業内容を理解し,後から無駄な復習時間を費やさないように努めることも,十分対策になったと考えています。

英語(TOEIC)

12月に初めてTOEIC公開テストを受験したのですが,その2週間前から勉強を始めて本番に臨んだところ,570点(L260,R310)であったため,「600点もうすぐいけそうやな」とTOEICを舐めて対策を怠ってしまい,結局570点のまま提出することになりました。早め早めからTOEIC対策を進めておけばよかったと後悔しています。

春休み

いよいよ編入対策に本腰を入れるようになりましたが,春休みまでに基礎固めに取り組んでおいたおかげで余裕があったため,他の受験生のように1日中勉強はせず,適度に息抜きしつつ,ストレスにならない無理しない程度の勉強をしていました。1日平均5時間くらいだったと思います。

なお,コロナ感染で5日ほど寝込んでしまい,この間は全く勉強することができませんでした。受験生は体調管理も重要であると改めて気づかされました。

数学

「編入数学過去問特訓」に取り組むことも考えましたが,図書館で一読した際に,今から取り組んでも意味がないと感じたため,徹底研究(12章まで)を春休み中に2周しました。また,九州大学,徳島大学の出題傾向を鑑み,6章(偏微分),7章(重積分),8章(微分方程式),12章(固有値とその応用)に重点的に取り組み,これらの章に関してはさらに何周もしました。なお,応用数学に関しては,春休み中は対策を行わず,九州大学の推薦入試に落ちた場合に再び対策を始めることにしていました。

専門科目

口頭試問対策

春休み中に4年次までに学習する内容を網羅した対策用ノートを作り終え,赤シートを用いて,語句や公式について口頭で説明する練習を行いました。暗記できていない語句や公式に関しては,口頭説明と同時にその内容をノートに書き出し,目と耳を用いて無理やり頭にねじ込むようにしました。

問題演習

土質力学と水理学を徳島大学の一般入試で選択する予定であったため,主にこれらの対策を行いました。土質力学と水理学は,いずれの大学においても難問や奇問が出題されることが少ない(出題しにくい)ため,とにかく多くの問題に触れるようにしました。徳島大学の一般入試で選択しない予定であった構造力学に関しては,九州大学の一般入試で毎年出題されているというQ図,N図,M図を描くなどしていました。

5年前期

4月

春休みにある程度できた各大学の一般入試の対策は程々にして,友人や先生方と面接や口頭試問の対策を重ねるなど,九州大学の推薦入試の対策に全力で取り組むようになりました。

5月

4月と同じく,推薦入試の対策に取り組む傍ら,徳島大学の一般入試を受験する予定であった友人と答え合わせをするため,徳島大学の過去問を週に1,2回解いていました。また,口頭で説明する能力が高められると考え,その友人が受験する山口大学の過去問を解説したりもしました。

なお,岡山大学の一般入試が口頭試問のみで受験でき,入学確約書の締切日も遅いと知って,出願開始1週間前になって,急きょ岡山大学を受験しようと決意したのはこの5月です。書類の作成など,先生方には多大なるご迷惑をおかけしました。

6月

10日に九州大学,17日に岡山大学の入試があったため,これらの試験が終わるまでは口頭試問の対策に集中しました。これらの試験が終わった後は,22日の徳島大学の試験に向けて,4日間で過去問や出そうな問題を解きまくりました。なお,この間にあった中間試験はほとんど対策せずに臨み,何とか赤点を回避することができました。

7月・8月

九州大学不合格のメンタルへのダメージはやはり大きく,また,全落ちするのではないかという不安も少なからずあったため,8日の熊本大学に向けた対策が全く手につきませんでした。九州大学一般入試の出願も7日までに行う必要がありましたが,「もう一度不合格になってしまうのではないか」と怖気づいてしまい,書類は準備していたものの発送できずにいました。最終的には,なんとか出願締め切りの前日に書類を発送しましたが,この時出願していなかったらと思うとゾッとします。

しかし,このメンタルへのダメージも10日に岡山大学に合格したと分かってからはすっかり癒えて,ここから九州大学合格へ向けてラストスパートをかけました。数学に関しては,後回しとしていた応用数学をはじめ,過去問の傾向から出題されるだろうと推察される内容のみ問題演習を行い,無駄な時間を省くよう努めました。なお,確率の勉強を全くしていないことに気づくというハプニングもあったものの,これはできる問題を確実にとれるようにするという方法で対処しました。専門科目に関しては,過去問は公開されていないものの,九州大学においても難問や奇問は出題されないという情報を先輩から得ていたため,とにかく多くの問題に触れ,どんな問題が出題されても対応できるように対策しました。

試験内容

推薦入試

面接官は4名でした。圧迫感はなく,むしろ,こちらが過度に緊張しないよう配慮していただいたように感じます。所要時間は約30分で,うち約20分が口頭試問でした。受験者数は5名でした。

面接

  • なぜ,大学進学という進路を選択したのか
  • なぜ,九州大学か
  • 卒業研究ではどのようなことを行っているか
  • 河川工学の研究を選択した理由について
  • 得意な科目とその理由について
  • 印象に残った講義について
  • 長所について
  • 高専時代,学業以外で頑張ったことについて
  • 将来,どのような職に就きたいか
  • 希望する研究室に配属されなかったらどうするか
  • 逆質問

口頭試問

数学
  • 微分方程式は,土木工学においてどのように活用されているか
物理
  • 滑らかな床において,球が先端についた自然長のばねを x だけ引っ張り手を離すと,球はどのような運動をするか
  • 物体がもとに戻ろうとする力を何と言うか
  • バネ定数 k ,球の質量 m を用いると,単振動の周期はどのように表されるか
構造力学
  • 提示された梁のM図について
  • 提示された構造の静定・不静定について
  • 断面2次モーメントについて
地盤力学
  • 雨が降った時,斜面が崩壊するメカニズムについて
  • 斜面崩壊を防止するために,どのような対策が行われるか
水理学
  • 高専では「水理学」と「水工学」が開講されているが,それぞれの科目でどのようなことを学んだか
  • 「水工学」の授業のうち,河川工学についてはどのようなことを学んだか
  • 定常流とは
  • 等流,不等流とは
  • 不等流において,流速が変化すると水深はどのように変化するか
  • 卒業研究で用いる解析モデルはどのような流れか
コンクリート工学

なし

土木計画学
  • パーソントリップ調査とは
  • OD表とは
環境システム工学
  • 生態系サービスは,具体的にどのようなサービスから成り立っているか
  • 持続可能性を表すために用いられている指標を1つあげ,それについて説明せよ
  • ライフサイクルアセスメントとは

一般入試

受験者数は学部全体で44名,土木工学科は3名でした。

数学

固有値とその応用

ごく一般的な内容でした。

微分方程式

1階線形微分方程式の問題が3問出題されました。

ベクトル解析

(1) 勾配,発散,回転
(2) 線積分
(3) 面積分
(2)までは徹底研究の知識で解ける問題でしたが,(3)は無理でした。

確率

(1) (2) 正規分布表から確率を求める問題
(3) (4) 仮説検定
(1),(2)に関しては,4年次の「確率統計」において学んだことがそのまま出題されました。仮説検定はまさかの出題で,他の受験者と話したところ,解けた人いないのではないかという感じでした。

土木基礎

構造力学

(1) ゲルバー梁のQ図,M図
(2) 不静定構造の支点反力

水理学

(1) 粘性係数の次元解析
(2) 水圧
(3) ベルヌーイの定理

地盤力学

(1) 土の基本的物理量の公式
(2) 有効応力,土圧
(3) ???

コンクリート工学

(1) 骨材に関する問題
・表面乾燥飽水状態とは
・粗粒率を求めよ
・???
・吸水率,絶乾状態,表乾状態の関係性
(2) スランプ試験の方法について
(3) コンクリートの性質に関する問題
・圧縮強度,曲げ強度,引張強度を小さい順に並べよ
・引張強度試験の方法について
・エントレインドエアはコンクリートの性能にどのような影響を及ぼすか
・コンクリートの応力-ひずみ曲線を描き,静弾性係数の求め方を示せ

土木計画学

(1) 都市計画に関する正誤問題
(2) 交通工学に関する正誤問題

環境システム工学

(1) 上水道に関する正誤問題
(2) 下水道に関する正誤問題
(3) 廃棄物処理に関する正誤問題
(4) ???
(5) ???

面接

面接官は,推薦入試と同じ4名で,圧迫感はありませんでした。所要時間は約20分で,内容は以下の通りとなります。

なぜ,大学進学という進路を選択したのか

  • なぜ,九州大学か
  • 他大学の併願状況は
  • すべて合格した場合,どこへ進学するか
  • 卒業研究ではどのようなことを行っているか
  • 卒業研究で印象に残ったことについて
  • 印象に残った講義について
  • 自然環境の保全と人間環境の両立のためにはどのような策があるか(印象に残った講義で環境工学と答えたため)
  • グリーンインフラを治水政策に導入するにあたって生じる問題について(志望動機にグリーンインフラが含まれるため)
  • 専門科目の試験の出来はどうだったか
  • 専門科目の試験は難しかったか
  • 長所について
  • 九州大学に進学した場合,どのようなことを学びたいか
  • 「プロジェクトものづくり」と「プロジェクトまちづくり」のどちらを選択したいと考えているか(前の質問で興味がある科目として言及したため)
  • 学部卒業後の進路について
  • 学業以外で頑張ったことについて
  • 学外における活動について
  • 逆質問

後輩に伝えたいこと

1. 併願校選びの重要性

私は,第一志望の九州大学と試験科目が重なる且つ試験が簡単そうな大学を併願校として選択しており,対策する科目や内容を絞ることで効率よく対策が進められ,九州大学,岡山大学,徳島大学の3校に合格できたと考えています。私が九州大学の推薦入試に落ちたように,第一志望に合格できるとは限りませんし,全落ちの危機を回避するためにも,早めに受験する大学を決めて対策を進めることをおすすめします。

また,前述した通り,「第一志望に落ちたとしても進学する大学がある」という事実は,変な不安や焦りを取り除くことができ,メンタルの安定につながるため,精神的な観点からも,併願校選びを抜かりなく行ってよかったと感じました。なお,私は「試験科目の少なさ,易しさ」,「入学確約書の提出期限」,「その大学に進学する目的があるか」の3点を軸にして併願校を選択しました。

2. 推薦入試に受かると思わないこと

推薦入試は受かるものだと勘違いしていたため,落ちたと分かった時にメンタルに大きなダメージを受け,ついでに油断して対策していなかった熊本大学にも落ちました。推薦入試に受かると勘違いして油断していると,全落ちしてしまうかもしれないので気をつけましょう。

3. ちゃんと対策すること

編入試験は一般的な大学入試と比べて圧倒的に楽ではあるものの,対策を怠っていると普通に落ちます。5年次からではなく,4年次から対策を進めましょう。

4. 出題傾向を分析すること

出題傾向を分析し,それに沿った対策を進めることで,効率よく合格することができました。時間は有限であるため,すばやく傾向を分析し,無駄な時間を費やさないようにしましょう。

5. 高専で学業以外も頑張ること

面接や調査書,推薦書などの内容を考えるときに楽になります。

6. 調査書や推薦書の内容は春休み中に考えておくこと

5年次が始まってから考えましたが,授業,課題,編入対策と並行して行うのはかなりしんどかったです。よって,春休み中に調査書や推薦書に書いてもらう内容を決めておいた方がいいでしょう。自身の性格や長所,学習や課外活動における取り組みがどのようにアドミッションポリシー等を満たしているのかアピールできるような内容にすればいいと思います。

7. 出願は早めにすること

受験番号は出願順に割り当てられ,面接は受験番号順で行われます。推薦入試の際は私が最後であったため,約2時間も待機することになりました。待ち時間が嫌いだという人は,早めに出願書類を提出しましょう。

8. おすすめ宿泊先はHOTEL AZ 糸島店

HOTEL AZ 糸島店は,九州大学伊都キャンパスの最寄り駅である九大学研都市駅から3駅の糸島高校前駅の目の前にあるホテルです。一泊5,200円で朝食バイキング付きと,コスパ良く宿泊することができました。
他の受験生は,天神,姪浜,前原など,宿泊先はバラバラでした。姪浜,前原に宿泊した場合はJR筑肥線,昭和バスを乗り継いで九州大学へ向かうことになりますが,天神からは西鉄バスが九州大学行きの路線を運航しているようです。天神の方が観光しやすいし,ホテルも探しやすそうですね。
なお,九州大学伊都キャンパスの立地は絶望的(九大学研都市駅から徒歩50分)であるため,時間に余裕をもって移動する必要があり,これがストレスでした。なお,伊都キャンパス近くに宿泊施設はありません。諦めてください。

9. 絶対に時計を持っていくこと

試験会場に時計が設置されていないため,時計を持参しないと時間配分で詰みます。

10. 観光も楽しむこと

編入試験は普段行けない地域を観光するチャンスでもあると考えています。福岡は何を食べても美味しいです。福岡ではサバを生で食べる文化があるようで,胡麻サバの美味しさには感動しました。うどんはもちもちでコシがなく,普段食べているうどんとは全く異なりました。その地域の風土を知ることもできるため,試験が終わった後にはぜひ観光を楽しんでください。

11. 情報の重要性

編入試験は情報が少ない分,得た情報が多いほど有利になります。日頃からあらゆる手段を用いた情報収集に努めてください。また,編入試験を通じて情報の重要性を実感した方は,zenpenに体験談を投稿するなどして,自らが情報源となり,後輩たちを助けてあげましょう。

オススメの参考書

数学

編入数学徹底研究

森北出版の「大学編入試験問題 数学/徹底演習」と悩みましたが,編入試験の数学は,A高専の授業内容のみでは太刀打ちできない問題が多いため,非常に易しく解説されている徹底研究を選択しました。多くのA高専生にはこちらをお勧めしたいです。

構造力学

構造力学徹底演習(鈴木基行 著)

特にQ図,N図,M図の演習に役立ちました。243問すべては解いていませんが,幅広く問題に触れることができます。

土質力学

「地盤工学基礎」の演習問題集

http://geotech.eng.niigata-u.ac.jp/lecture/pastq.html

新潟大学で開講されている「地盤工学基礎」の演習問題集です。

水理学

水理学演習(有田正光 著)

問題数が豊富で,丁寧な解説がなされています。丁寧な解説により,問題を解く際のポイントを理解することができます。

わかる水理学(井上和也 著)

本当に分かります。この本を読んで,あまり理解が深められていなかった分野をしっかり理解することができました。演習問題も豊富です。水理学に苦手意識がある方は,ぜひご一読ください。

土木工学全般

土木職公務員試験 専門問題と解答(必修科目編)

土木職の公務員を目指している方に向けられた三力学の演習書です。これ一冊で構造力学,土質力学,水理学を学ぶことができます。しかし,公務員対策の本ということもあり,編入試験の頻出問題が載っていないことがあるので,その内容に関しては他の本で補う必要があります。

土木学会誌

土木に関する知識をつけるために読みましょう。

お役立ちサイト

編入学試験日程検索ページ

https://www.cyuouzemi.co.jp/search/

京都中央ゼミナールの編入学試験日程検索ページです。

在校生向けの進路情報

https://www.gunma-ct.ac.jp/next_stage/information/

群馬高専の学生向け情報ですが,外部の人でも閲覧可能とのことです。大学編入学情報ページ内の入試日程等のExcelファイルが見やすいです。

Wolfram Alpha

色々な計算をしてくれる便利なツールです。

Yahoo!知恵袋

ここに質問すれば,大抵の場合は何とかなります。