編入体験談

2021:京都大学 工学部 情報学科

自己紹介

名前:221
出身高専:豊田高専
学科順位:1,2年時:10位台、3年次:6位、4年次:3位
受験年:2020年
受験大学(受験科目):京都大学情報学科計算機科学コース 合格
受験科目:英語、数学、物理、化学
併願大学:豊橋技術科学大学(合格)、東北大学(合格)
部活や資格:陸上競技部、TOEIC875点(L460,R410)、TOEFL75点(R15,L22,S18,W20)
TwitterID:@NITTC_221

この体験記自体、備忘録として自分用に書いた物でもあるので長いです。

編入の動機

専門の知識をもっと身に着けたかったからです。

勉強熱心な人の多い環境に身を置きたかったので、そういう学生が多そうなレベルの高い大学に行こう!という考えはありましたが、具体的な志望校は住みたさやネームといった不純な基準で決めてました。

学年ごとの勉強内容

1~3年生

編入の為の勉強は何もしてませんでした。
学校の勉強もサボらずやってた割に成績も特に良くなかったので、自分の地頭が如何にゴミであるかを痛感してました。2週間前から勉強した数学科目でCを取った時はマジで泣きそうになりました。

3年生の時に1年間フィンランドに留学しましたが、そのお陰で英語力の土台を作ることが出来ました。
そして留学を機に少しずつ成績が伸び始めました。
帰国時のTOEICの点数は515点です。

勉強時間 0 [h/day]

3年春休み

TOEICの勉強をしました。編入の為というよりは友達に勝ちたいからとかそんな動機で勉強をしてたと思います。
4月に730点を取りました。

勉強時間 2 [h/day]

4年前期

たまーにTOEICの勉強をするくらいでした。
編入することは決めてたので、情報収集を少ししてました。

勉強時間 0 [h/day]

4年夏休み

9月のTOEICに向けて金フレ、文法でる1000、精選問題集をひたすら周回してました。
最終目標を800点に設定してましたが、9月の段階では達成出来ないと感じたのでこのタイミングで11月のTOEICも申し込みました。
しかし予想に反して850点を取得出来たので、11月分の受験が残っていましたがTOEICの勉強はここで止めてTOEFLの対策を始める事にしました。

9月の初旬に友人と共にZENPENの関東説明会に行き、これをきっかけに完全に編入勉強にスイッチが付きました。特に何も考えず、ノリで友人と一緒に「東大行くぞ!」と言った感じに志望校を東京大学に決めました。
結局直ぐに東大は諦めて志望校を京大と名大に変えましたが、これもノリです。
滑り止めは技科大GACコースと信州に決めました。

勉強時間 2.5 [h/day]

4年秋

まず徹底研究とマセマの線形代数に手を付け始めました。難しすぎて泣いてました。
色々な体験談では「徹底研究は入門に最適」と言ってたので、当時の僕は「やっぱ俺はマジでバカなんだな…」って落ち込んでたのですが、そんな初めからこの本をバリバリ進めれる人の方が少ないのではないかと今になってみると思います。

TOEFL対策は英単語3800とTOEFL TEST対策 iBTシリーズを行いました。そもそもTOEFLはTOEICとは比べ物にならない程難しいですが、このシリーズは本番より遥かに難易度の高い問題しか載ってないので初学者にとっては全くおススメ出来ません。当時そのことを知らなかった僕はボロボロになりながらやってました。

10月下旬からは物理も触れ始めましたが、この時期は文化祭などもあり勉強が中々進めれませんでした。
11月のTOEICで875点を取りました。

勉強時間 4 [h/day]

4年冬

数学は過去問特訓と大学編入の為の数学問題集、あと細野の確率に取り組みました。解けない問題ばっかりでした。また微分方程式の理解が足りてなかったので、マセマの微分方程式で補強しました。この本はかなりおススメですが、3章までやれば十分です。

物理は演習力学と電磁気学演習(黄色いの)を始めました。電磁気は本当に難しくて黄色い本の交流の章に辿り着くまでに3か月掛かりましたが、その頃には序盤の内容を丸忘れしてました(アホ)

英語は今までの本に加え、TEDとドラゴンイングリッシュを行いました。
英単語3800のPart3,4を覚えるかどうかは良く議論になっていますが、時間にゆとりがあるならやはり全部覚えたほうが良いです。結局単語さえ知ってれば問題は解けます。

年末年始には部活の主要な大会が終了して時間的な余裕が生まれたので、この時期から勉強時間が少しずつ増えていきました。

勉強時間 5 [h/day]

4年春休み

春休みは頑張りどころだと思ったので必死に勉強しました。
必死に勉強しんといけないのに、Vtuberに鬼のようにハマってしまいました(は?)
勉強との両立が危ぶまれましたが、配信を作業用BGM的に観ながら勉強することで何とか折り合いを付ける事が出来ました。意外と集中力も落ちず(授業中の内職みたいな感じ)、休憩が実質要らなくなったので逆に良かったのかもしれません。

数学は引き続き過去問特訓と数学問題集をしました。解けた問題にはチェックを入れ、チェックの付いていない問題だけを解く方針をとり、解けない問題をじわじわ減らして行きました。
統計と複素の勉強もしましたが、最近の京都では複素は出ないので今思うとこれは無駄でした。統計分野もここ8年くらい出てないので、もうやらなくていいのかもしれません。

物理は弱点克服シリーズを買いました。編入試験に出るような問題が沢山乗っているのでとてもおススメです。この本のお陰で電磁気が少しずつ出来るようになりました。

英語は先述した本を無限に周回してました。ご飯を食べるときにTEDを観たり寝る前にNature読んだりと、取り合えず日常を英語漬けにする事を心掛けました。TOEFLにおいてはリスニング力が極めて重要となるので(W,SのIntegrated taskなど)、これらの対策には特に力を入れました。

大学の橋渡しシリーズを買い、大学化学の勉強も始めました。
京大化学は大学範囲からの出題ですが、高校範囲を知らずにいきなり大学化学から始めると絶対に僕みたいにつまずくので、軽くでいいので高校化学で基礎を作ってから取り組みましょう。

そして、コロナが流行り始めました。

勉強時間 11 [h/day]

5年4,5月

地獄の春休みがようやく終わったと思ったらコロナの所為で更に2か月休校となってしまったので、心が折れそうになりました。1人ぼっちで何ヶ月も勉強はアホ辛いです。友達と通話勉強とかして何とか飢えを凌ぎました。勉強内容は春休みとほぼ同じですが、遂に京大過去問を解き始めました。数学は年によっては良い感じでしたが、物化はまだあまり解けませんでした。

4月のTOEFLで75点を取れたので「英語の勉強はこれにて終了!!!」と思って踊ってましたが、結果が返ってきた数日後に、コロナの影響により今年の編入試験はTOEFLを使わずに筆記で行うとの発表があり、無事メンタルが逝きました。落ち込み過ぎて2日くらい勉強をやめました。いじけていても仕方がないのでTOEFL移行前の過去問を元に傾向を掴もうとしたりもしましたが、今年もこの形式になる保証も無かったので結局英語のモチベは上がりませんでした。

TOEICも3月から中止になってたので、今年はスコア提出を要求しない大学が増えるだろうと感じました。しかしせっかく取ったスコアはどうしても活かしたかったので、この時点で募集要項が出ており今年もTOEICを使用すると明記されていた東北大学に志望校を変えました。名大はここで諦めました。今年の名大は、TOEICどころか筆記も無くなり面接だけの試験という異次元っぷりだったので、この選択は正解でした。これはもはや試験というより宝くじです。

試験事情で志望校を変えた割に、調べれば調べる程東北大に行きたい気持ちが強くなってきました。更にこの頃は自分の学力的に京大は合格出来ない気がしてたので、いつしか東北大が第一志望になっていました。

余談ですが、京都も東北も試験は4科目なので併願するにはかなり相性がいいと思います。

勉強時間 10 [h/day]

5年6,7月

東北大に向けて、熱・波動・高校化学の勉強を始めました。物理の教科書を読んだのちに名問の森で対策をしました。

高校化学は理論→有機&無機の流れで勉強しました。有機無機と大学範囲の化学は全部覚えようとするとキリがないので、ノルマは決めずに本番までに覚えれるだけ覚えるという戦法を取りました。東北は傾向がはっきりしているので、ヤマを張ったりもしました。

空間図形や漸化式といった高校数学の対策もしました。高校範囲はインターネットに良問が無限に転がってるので参考書を買う必要は無いです。おススメは受験の月と京極一樹の数学塾です。

6月でようやく受験校の試験範囲を全て学び切ることが出来たので、7月からの勉強は復習がメインでした。様々な大学の過去問を解き、苦手な分野を各参考書を用いて補強しました。

滑り止めの豊橋技科大のGACコースで無事合格を貰いました。
もう1つの滑り止め校である信州大学はコロナのせいで10月受験になってしまいました。

勉強時間 10 [h/day]

5年8月

最後の月なので、娯楽を全て絶ってひたすら勉強しました。
合否は最後の1ヶ月で決まるといっても過言ではないと思います。

過去問や参考書を用いて全範囲の問題をランダムに説き続け、取りこぼしを埋めていきました。
面接練習も始め、情報収集したり研究室の先生に練習をお願いしたりもしました。
東北に関しては着実に合格圏内の実力が付いてきましたが、本番1週間前くらいになると緊張と不安でメンタルがヤバくなりました。京都を合格できる自信は無かったので、東北が落ちたら後が無いことも大きなプレッシャーになりました。

東北の入試(8/17)はコロナの為オンラインで行われました。
出来は英語10割(TOEIC),数学6割,物理10割,化学7割程だと思います。合格を確信し切れない出来だったので、東北を終えてから合格発表(京大面接日と同日)までの1週間は生きた心地がしませんでした。

東北も無事(?)終わり、ラストの一週間は京大に向けてひたすら勉強しました。
最初の2日で確率・大学有機・ベクトル空間の補強をし、後は時間が許す限り広く浅くの復習を続けました。

勉強 12 [h/day]

試験当日

試験内容

数学

微分方程式、重積分、確率、固有値からの出題でした。微分方程式と確率はコロナをテーマにした問題で面白かったです。固有値の問題が難しく小問1までしか解けませんでしたが、解けてない人も多そうだったので何とか耐えたかなと言った感じでした。数学の後は昼休憩でしたが、物化で殺されないことだけを祈ってました。易化。

出来:7.5割

物理

力学は振り子と物体の振動問題、電磁気は電磁誘導と回路の融合問題でした。立式してその後は解析的に考察するような京大らしい問題でした。例年に比べて難しかったです。電磁誘導は、銅線自体に抵抗のある閉回路という見たことないタイプの問題でしたが、取り合えずそれっぽい式を書いて答案を埋めました。計算ミスをしたり、化学でモタついたりしてた所為で時間が足りず、全体の半分程度しか解答できませんでした。この物理の出来のせいで不合格を確信しました。(大問1は4/6、大問2は3/6だけ埋めました

出来:5~6割

化学

理論化学は熱サイクル(もはや熱力学)と極限構造式と熱方程式、有機化学はニトロフタル酸(?)の合成、何かの反応の起こりやすさと異性体の安定性、あと塩化チオニルの生成かなんかの問題が出ました。
理論はまさかの熱サイクルからの出題で焦りましたが、東北大対策で熱力を触れていたお陰で何とか解くことが出来ました。有機化学は例年と比べて簡単でしたが、最後の問題が解けませんでした。
物化共に記述量の多い問題が多かった為、時間との勝負でした。

出来:7割

英語

どんな問題が出るのか見当も付かなかったので非常に不安でしたが、予想と反して極めて簡単な問題ばかりでした。TOEIC700点,TOEFL50点帯なら確実に満点近くが取れる難易度だと思います。
長文問題3つと英作文(図を見て150語以上の英文で説明)の問題でした。コロナ関連の英文はありませんでした。

出来:9~10割

感想

今年は近年のようにマクスウェルや電磁波のような特異な分野からの出題も無く、ある程度勉強した人がしっかりと点を取れるような問題が多かった気がします。
試験終了時点では受かる気はあまりしてませんでしたが、勉強の成果を全て出し切ることが出来たので悔いは本当に無かったです。

面接

計算機科学と数理工学で面接室が分かれていました。数理工学は1人20分の時間制限があったそうですが、計算機科学の時間配分は多分適当です。控室に全員待機し受験番号順に面接室へ向かうという流れでした。

1人目の面接がまさかの5分で終了したにも拘らず、2人目の面接は10分程度でした。面接時間で合否を仄めかされてる様な気分になり、背筋が凍りました。実際その通りの合否になりました。面接時間的に口頭試問は無さそうだったのでそれに関しては安心出来ました。

余談ですがこの日の夕方に東北大の合格発表も控えていたため、緊張で失神しそうになってました。

以下面接内容(うろ覚えなので順不同です)

  • この大学の志望理由は?
  • そもそも何でjuliusを選んだ?(卒研で用いているJuliusの開発者が京大に在籍していることを志望理由で触れた為)
  • 研究と開発は少し違うけどどう思う?
  • 大学でやりたい事と大学で出来ることの間に差異を感じたらどうする?
  • 合格して学部を卒業したらどうしたい?
  • (院に行くと答えたら)最終的に何処に就職したい?
  • 高専を選んだ理由は?
  • 留学をした理由とフィンランドを選んだ理由は?
  • 留学によって1年周りと後れを取ったことについてはどう思うか?

僕の面接時間は10分程度でした。

面接の雰囲気自体は和やかで笑いが起きる事もありましたが、飛んでくる質問は容赦ないです。鋭い質問は自分の答えた内容から返ってくる事が多いので、京大に限らず面接では論理を気にしながら話を組み立てるようにしましょう。教授陣はちょっとした論理の隙間を無限に突いて来ます。

数理工学を受けた友人は、「君は高専の学習に物足りなさを感じてこの大学を志望したのに、化学の点が芳しくないのは準備不足のせいというのは奇異」と言われてたそうです(怖過ぎ)

後輩に伝えたい事

僕の行ったZENPEN関東説明会で東大に合格した先輩が仰ってた、「2000時間勉強すれば何処にでも受かる」という言葉をただ真に受けて、この1年で2400時間勉強しました。

勿論勉強時間が全てではないですが、どんだけ地頭カスでも努力すれば幾らでもチャンスがあるという事を伝えたいです。これだけシビアな条件下で勉強を強いられる事なんてこの先滅多に無いと思うので、1年くらい我慢して頑張りましょう。

試験についてですが、やはり化学は捨てずに勉強すべきです。勿論化学が0点でも他科目で満点近く取れれば合格は可能ですが、京大の試験は年によって難易度にばらつきがあるので、安定して完答出来るレベルまで実力を付けるのは至難です。数物の完成度を8割から10割に持ってく時間があれば化学をゼロから8割に出来ます。併願校に化学を試験科目に持つ大学を選び、化学を勉強せざるを得ない環境を無理やり作り上げるのも良いと思います。

あと、京大の試験は激ムズと思われがちですが、全体で6割程度取れれば十分合格圏内に入れますし特に近年は全体的にかなり易化傾向です。京大編入試は一般で入るより大分コスパの良い入学方法だと思います。是非挑戦してみてください。

最後に、編入勉強は情報が最重要です。2000時間勉強の話をしましたが、結局無駄な努力をしてては1点にも繋がりません。ZENPENや京大高専会といった有用なサイトが他にも沢山あるので、是非これらを頼りまくって情報を増やして下さい。そして色んな人に聞きまくって下さい。僕自身もZENPENでID上げてる色々な人にDM飛ばして聞いたり過去問を頂いたりと、非常にお世話になりました。

という事で、何か質問などがあれば是非(@NITTC_221)までDMを飛ばしてください!

先輩方にお世話になった分、みなさんの役に少しでも立てれば幸いです。

主に使用した参考書

特におススメな物に★をつけときます。

英語

  • TOEFL TEST対策 iBTシリーズ
  • TOEFLiBT TEST(リーディング/リスニング)のエッセンス
  • ★TOEFLテスト英単語3800
  • ★TOEICテスト新形式精選模試(1,2)
  • ★TOEIC L&Rテスト文法問題 でる1000問
  • ★出る単特急 金のセンテンス
  • TOEICテスト スーパー英単語
  • ヒビスピ
  • 京大入試に学ぶ和文英訳の技術
  • ドラゴンイングリッシュ 基本英文100
  • 基礎英文問題精講
  • ★英語耳
  • 一億人の英文法
  • ★TED,Nature,Wiredなど

数学

  • ★編入数学徹底研究
  • ★編入数学過去問特訓
  • 大学編入試験問題 数学/徹底演習
  • ★大学編入のための数学問題集
  • ★細野真宏の確率が本当によくわかる本
  • マセマシリーズ(線形代数・複素関数・常微分方程式)
  • 弱点克服 大学生の確率・統計
  • 受験の月

物理

  • ★名門の森1,2
  • リードα 物理基礎・物理
  • 基礎物理学演習(黄色いの)
  • ★電磁気学演習(黄色いの)
  • 基礎物理学演習(青いの)
  • マセマシリーズ(力学・電磁気学)
  • ★弱点克服 大学生の電磁気学,初等力学
  • 詳解 力学演習,電磁気学演習

化学

  • ★リードα 化学基礎・化学
  • ★橋爪の理論化学 25題
  • ★鎌田の有機化学の講義
  • ★福間の無機化学の講義
  • ★有機化学演習
  • マクマリー 有機化学概説
  • 基礎有機化学演習
  • ★大学への橋渡し 有機化学,一般化学
  • ライフサイエンスの物理化学演習
  • ★理系なら知っておきたい化学の基本ノート 物理科学編
  • 薬学web

web

  • Yukiko Omori|サイト復活と編入試験と解答例について
  • 大学編入学(工学部)試験 数学問題集(平成8年度~)
  • Rocket Answer
  • 高専からの大学編入 過去問置き場
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