編入体験談

2020年度入学:東北大学工学部材料科学総合学科

自己紹介

名前:い
出身高専:久留米高専 材料工学科
学科順位:3年次:7位 4年次:5位
受験年:2019年度
受験大学(受験科目):東北大学工学部材料科学総合学科
併願大学:専攻科
Twitter ID:@imtm__ba

なぜ編入をしようと思ったか

スピントロニクス材料の研究に携わりたいから

科目ごとの勉強方法

数学

東北大学の数学は過去問を見る限り

  • 数列
  • 微積
  • 空間図形
  • 行列

が出題される傾向にあるようです。「編入数学徹底研究」「編入数学入門」「大学編入のための数学問題集」で勉強しました。

数列

「編入数学入門」が身につきやすいです。数列では主に漸化式の問題を扱っているようですがこの教科書をしっかりやり込めば直ぐに受験のレベルには到達するのではないかと思います。
基礎が理解できたら以下のサイトも力をつけるのにもってこいです。
https://examist.jp/category/mathematics/recurrence-formula/

微積

微積では基本から応用まで出題されます。「編入数学入門」と「編入数学徹底研究」と「大学編入のための数学問題集」でしっかり全範囲を理解しました。「高専の数学」は時間がかかる割に身につきにくいと自分は思ったのでやりませんでした。
どこからでも出ます。穴がないように満遍なく抑えましょう。級数も忘れないようにしましょう。

空間図形

空間図形は「大学編入のための数学問題集」のベクトルのところを何周かやれば戦えると思います。発想が難しいように感じますが、2線が垂直、平行になる条件などベクトルの性質を理解すれば大体の問題は解けます。
また、難しいようであれば「編入数学入門」の[空間図形の方程式]の章にわかりやすく基本が載っているのでそれを確認しましょう。

行列

東北大学の行列は固有値ベクトル、一次変換、直行ベクトルなど基礎的なことが出題されています。ここが一番の点数の稼ぎどころです。根本的な理解を深めたいときは「スバラシク実力がつくと評判の線形代数キャンパス・ゼミ」一次変換やケーリーハミルトンなどの計算は「編入数学入門」固有値の応用、直行化などは「編入数学徹底研究」で完全に抑えれます。

逆にやらなかった範囲もあります。これは個人的にやらなくても大丈夫と思ったところなので判断はゆだねます

  • 「編入数学入門」…[複素数と方程式] [複素数平面] [色々な曲線] [場合の数] [確率] [確率分布] [統計]
  • 「編入数学徹底研究」…[ベクトル空間と線形写像] [微分方程式] [確率] [複素解析] [フーリエ変換] [ラプラス変換] [ベクトル解析]
  • 「大学編入のための数学問題集」…上記に準ずる範囲

また、数学の過去問は何度も解きました。問題の傾向が似てるので過去問を解くのは有効だと思います。

物理

東北大学の物理は

  • 力学
  • 電磁気
  • 波動
  • 熱力学

が毎年出題されています。物理は「基礎物理学演習Ⅰ」「基礎物理学演習Ⅱ」「電磁気学演習」「リードα 物理基礎・物理」「物理のエッセンス」「標準問題の解き方物理ー物理完全理解の140題」で勉強しました。物理を学ぶにあたってベクトル解析を先に理解するべきか悩みましたが時間がなかったので勉強しませんでした。しかし、勉強した友人と理解力の差を感じたのでやったほうがいいのかもしれません。あと「映像授業Try it」はものすごくわかりやすいのでオススメです。

力学

なんでも出ます(ラザフォード散乱、ケプラーの法則、こまの歳差運動はよくわからなかったのでやってません)
最初は「基礎物理学演習Ⅰ」だけやっていましたが、力学ではいろんな種類の問題に触れることが大事だと思い、「リードα 物理基礎・物理」や「標準問題の解き方物理ー物理完全理解の140題」などとにかく量にこだわりました。
「基礎物理学演習Ⅰ」では微分方程式を用いた力学の計算やモーメントの計算を身につけるには適していますが運動量保存の法則や慣性の法則などの問題数がかなり少ない気がします。そこでリードαや標準問題140題がかなり役に立ちました。力学で大事なのは自分が理解していないところを探し出すことだと思います。そこで過去問で解けない分野を見つけ、徹底的に理解するのを繰り返し、どんな問題が出ても対応できるようにしました。何より基礎が大事です。

電磁気学

これに一番時間がかかりました。辛かったです。「電磁気学演習」から手をつけましたが、一周するのに1ヶ月かかってしまいました。また、ベクトル解析の問題を見るたびに不安に襲われながら飛ばしていました。3周ほど終えてようやく基礎が身についたと感じたので「基礎物理学演習Ⅱ」の演習問題、応用問題に手をつけ、2周したところで試験に臨みました。
H20の過去問の電磁気を見ると現代物理学の章にありそうな問題があり、かなり焦りましたが「リードα」とYoutubeの「映像授業 Try it」でわかりやすく解説してました。

波動

「基礎物理学演習Ⅰ」の波動はハードルが高いと感じたのでまず「物理のエッセンス」を軽く一周して「リードα」「標準問題140題」の波動を何周かしました。これらの教科書に載っている問題を解いておけば本番で「あ、やったことある問題だな」と感じるようになると思います。
また波動は「映像授業Try it」が最高です。

熱力学

熱力学が一番何が出るか予想できませんでした。「リードα」「標準問題の解き方140題」を何周か解きましたが僕の学科では授業で取り扱うのであまり勉強しませんでした。

物理では毎回問題の範囲が変わってくるので過去問を解きまくるのはあまり有効ではないように感じます。ただ、前述したように自分に何の知識が足りてないのか見つけるには最適です。また阪大の過去問や九大の過去問も軽く解き、いろんなパターンの問題の解き方を身につけました。

化学

化学では

  • 理論
  • 無機
  • 有機

が出ます。

6月20日くらいから触れましたが1日2時間を毎日やるようにしてたらすぐに終わりました。勉強時間は90時間程度です。使った教科書は「橋爪のこれだけで合格!」の無機、有機と「リードα化学」「照井俊の化学 有機化学の解き方がよくわかる本」「化学基礎問題精講」です。東北の編入生にはおなじみですね。ただ化学は覚えやすく忘れやすいので反復が重要になってきます。

理論

最近の理論化学は文章問題が多く、読めばわかるようになっているようです。今年もそんな感じでした。しかし、いきなり以前のように高校化学の化学理論が出てもおかしくないのでとにかく全部解けるようになっている必要があります。
「リードα」をメインに何周かし、試験前の復習で「化学基礎問題精講」を確認程度にやりました。「リードα」の計算は重く、試験前に解くと疲れて他の勉強に手が回らなくなったためです。

無機

無機はある特定の物質に関する知識を問う問題が多いような気がします。逆に工業的製法などが出てるのはあまり見たことがないですね。
「橋爪のこれだけで合格!」の無機を最初に3周ほどやって全部覚えたところで「リードα」に移り「化学基礎問題精講」で復習しました。無機は好きなので苦を感じることなく勉強できました。暗記科目ではありますがパターンを掴むと覚えやすく、また範囲もそんなに広くないのでそんなに時間をかけなくてもいいと思います。

有機

芳香族化合物までは勉強しました。高分子やアミノ酸などは見ただけで嫌な気持ちになったのでやってません。
ただ、最近の問題で高分子が出たと聞いていたのでやるべきとは思います。
「橋爪のこれだけで合格!」で無機と同じように覚えた後、「照井俊の化学 有機化学の解き方がよくわかる本」を軽くやって「リードα」に移り、「化学基礎問題精講」で復習という流れで勉強しました。

化学は授業で取り扱うのであまり時間をかけずにすみました。過去問は見ただけで一切解いていません。

英語

英語はTOEICで評価されます。595点で提出しました。周りの受験生はもう少し高いと思いますが600点で8割になるという噂があるのでなんとかなると考え、違う勉強に時間を割きました。TOEICはもともと395点だったのでさすがにやばいと思い、受験勉強始める前に一ヶ月英語だけ勉強したら200点上がりました。TOEICはなんとかなります。(体験記見てると700点台の人がほとんどで正直気が気でなかったです。僕の先輩は400点台で受かってたのでそのぶん筆記が解ければいいと思います。)

専門科目

材料化学総合学科では面接の時に材力、物化、物性の口頭試問があります。一番不安で、一番勉強方法がわからなかった科目です。

材力

「ビジュアルアプローチ 材料力学」がわかりやすいです。また材力の先生にどんな問題が出そうか予想していただきました。「片持ち支持ばりについて」「モーメントがかかる時の応力分布」などドンピシャで当ててくださったので本当に助かりました。

物化

「入門化学熱力学」と「物理化学まとめました」というサイトで勉強しました。東北大学で3セメスターまでに物理化学はどの範囲をするのかを調べ、その範囲を重点的に勉強しました。(あんまり意味なかったです)

物性

これが本当にしんどかったです。「物性ってどこからどこまでが物性なの?」と何を勉強していいか本当にわからなかったのでノー勉で挑みました。口頭試問を受けた結果から言うと物化と材力以外全般です。久留米高専でいうと金属材料学、金属物理学、材料組織学、材料物性学などがこれに当たるようで、フィックの第一法則、第二法則を聞かれて失神しそうになりました。
授業を復習するのが一番だと思います。

試験当日

試験内容

当日は早めに試験会場につきました。「橋爪の」シリーズを見返してる人が多かったです。僕は直前で見直したところが出ることはないと思っていたので試験が始まるまでボーっとしてました。

数学(7割)

1教科目は数学でした。問題を開けた瞬間行列を解く作戦を実行したところ計算ミスしてしまい時間配分ミスってしまいました。出来は微妙です。

大問1 空間図形
傾向どおり出てくれましたが計算があわず全部は解けませんでした。しかし考えこんでしまうような問題なので先に行列を解いたのは正解でした。

大問2 定積分の漸化式
前日にホテルで復習してた時に「なんかこれ出そうだな〜もっかいやっとこ」と思っていたら本当に出てくれたのでしっかり解けました。4問中最後の1問は時間かかりそうだったので捨てました。

大問3 行列
案の定固有ベクトルや直交行列の計算でした。問題量が多かったですがシンプルな問題は埋まってると思うので時間がないときは取捨選択が大事だと思います。

物理 (8割)

大問1 力学
滑車に糸を巻いた問題が出ました(詳しくは覚えてないです)見たことある問題だったので落ち着いて解けました。

大問2 電磁気学
ガウスの法則を用いて電場を求める問題と静電エネルギー密度を用いた問題でした。基礎、大事。

大問3 波動
熱力学じゃなくて心底ホッとしました。物質に光を入射する問題でした。自信はあまりないですがなんとか埋めました。

化学(9割)

大問1 理論化学
化学の問題は材料の先生が作っているのかと思うくらい僕の学科には有利でした。クラペイロンクラジウスの導出問題が出ましたが授業で何度か導出を学んでいたのでラッキーでした。

大問2 無機化学
鉄について詳しく出題されました。これも授業で何度もやったことがあるので簡単でした。

大問3 有機化学
芳香族化合物の性質については知識が曖昧だったのですが、その他アゾ化合物の性質などはしっかり勉強したところが出ました。

テストが終わると友人同士で答え合わせする方がいますがメンタルすごいですよね。

面接

2日目に面接及び口頭試問がありました。面接5分、口頭試問30分です。
部屋に入ると先生方が3人座られていてその前に椅子、椅子の後ろにホワイトボードがありました。先生は3人とも優しい方でした。
メモる気力がなかったのであまり覚えていないですが聞かれたことを記します。

面接で聞かれたこと

・学校と名前
・志望動機
・部活はやってるか
・英語は大丈夫?
・将来の夢
・東北大学をどうやって知ったか
・なぜ九州大学じゃないのか
・大学に入ってやりたいことは→原理知ってる?

時間が余っていたようで、口頭試問の前後で聞かれました。
口頭試問で聞かれたことはネットに載せていいものか不安なのでツイッターで聞いてくれれば答えます。
口頭試問は正直5割くらいしか答えれませんでした。しかし、面接と学校の成績と合わせての評価なのでそんなに気にしていませんでした。

後輩に伝えたいこと

TOEICや口頭試問で諦めるのは勿体ないです。

勉強をstudyplusで記録するとやる気につながるのでおすすめです。また使い終わったノート溜めるようにすると積み上がっていくたびに幸せな気持ちになります。

オススメの参考書

色々な参考書を紹介しましたが、やはり「リードα」はすごく使い勝手がいいです。難易度も高めだと思います。